海南
名前変換
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(仕事が終わらない。)
生徒会の予定表をみて、依紗は頭を抱えていた。
「ん…?」
牧はまだ明かりのついている教室を見つけ、立ち止まる。
「牧さん帰りましょーよ!」
清田が声を掛けるが、「先に帰ってくれ」と告げ、その教室に向かって行った。
「入るぞ。」
短く告げ、扉を開けると、女子生徒が1人机に突っ伏して座っていた。
「依紗?」
名前を呼んでみたが、返事はなく、規則正しい寝息を立てていた。
(寝てる…。)
牧はバッグを置き、羽織っていたブレザーをその肩にかけてやると、前の席の椅子に座る。そして机に散乱した企画書眺めた。
(…文化祭に体育祭、次の生徒会選挙まで。いったいいくつ企画書を作っているんだ…?)
健やかな寝顔を見つめ、その髪に触れる。
「あまり無理をするなよ。」
優しい感触に、意識が呼び戻される。
静かに目を開けると、男子の制服のブレザーが肩に掛かっているのがわかった。
体を起こすと、正面に見慣れた顔があった。
「紳一くん…?」
牧は微笑んで、
「こんな所で寝ていては駄目だろう。」
と、咎めるのではなく、労うように言った。
「お疲れさま。練習おわったのね。」
「ああ。依紗もお疲れ。まだかかるか?」
「……ううん、帰ろうかな。せっかく紳一くんが来てくれたんだもの。」
そう言ってブレザーを肩から外し、返す。牧は受け取ると羽織った。
それをみて依紗は残念そうに笑うと、
「もう少し、これ掛けてればよかったな。」
紳一くんの香りがした。とはにかんで笑う。
「…そういう可愛らしいことを急に言わないでくれ。」
牧は口元に手をやり、目を逸らす。頬を少し赤らめていた。
やがて牧は表情を戻すと、依紗に手を差し伸べた。
「依紗、帰ろうか。」
「うん。」
手を繋いだ時、牧が少し屈んで唇を重ねた。
つつまれたい。
(香水使ってるわけじゃないよね?)
(使ってない。柔軟剤の香りだろうか。)
(紳一くんなら使ってても違和感ないなあ。)
(…それはどういう意味なんだ。)