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身も心もきんぴかなのかも。
「大の言い方が曖昧だでかんのだわ。」
「曖昧ぃ?俺はっきり言っとっただろ。」
待ち合わせは銀時計、いわゆる新幹線口。スタバのある待合室がある方の改札の前辺り。情報量が多くて軽くパニックだ。
そもそも金時計よりはマシだから銀時計の前にしようと言ったのは私。スタバのある待合室がある側の改札と言ったのは大。
私はその「スタバのある待合室」っていうのを、てっきり、うまいもん通りのスタバだと思った。
在来線の乗り換えが出来る方の、とか、南側の、とか…同じ改札を指すにももっと何か言い方があったはずなんだ!
「私そんな新幹線乗り慣れてないからわかんないよ。」
「…そっか。」
「そもそもなんで名駅なの、金山の方が良くない?」
「俺もそう思った。なんでだ、みなと祭行くのに名駅って…。」
「それは…。」
「…。」
閑散としたあおなみ線の改札前で言い合った挙句、口を噤んでしまう。言いながら間違いに気付いた。会場の最寄り駅である築地口駅へは、あおなみ線を使うものだと私が勘違いしてしまったのだ。正しくは名港線、金山総合駅から出ている地下鉄の駅だ。JRで言えば名古屋駅のひとつ南の駅だ。
私の勘違いで待ち合わせ場所を名古屋駅に決めて、結果行き違いが起きて互いに探し回る羽目になって、馬鹿みたい。
しかも、大はすぐに察してこっちに来てくれたんだ。私なんて右往左往するばかりでここから動いちゃいない。
「銀時計のスタバだから、間違いじゃないか…。」
責めるでもなく、そんな風に苦笑いして。でもなぜかその余裕に腹が立って、私は子どものように詰ってしまった。
ほんの冗談のつもりだった。でも、さすがの大も頭にきたみたいで、冒頭の通りだ。
「…はっきり言ったけど、情報が多過ぎてわけわかんねーよな。悪い。」
その割に、あっさり謝る。こういうところ、すごく尊敬しているし、その…好き。
ねえ、どうしたらそんな風になれるの?私も君みたいになりたいよ。
「…私こそ、勘違いで名古屋駅にしちゃって、ごめん。それと、感じわるくて…ごめんね。」
「ううん、わかんねえと不安になるよなぁ。会えてよかった。」
「…ありがと。」
「どーいたしまして!どうする、金山まで行く?稲永から30分歩く?」
「30分歩くのはやだよ…。」
「じゃあJR乗るか。」
そう言って、こちらに手を差し出す。
「下駄、痛くねえ?浴衣いいな、依紗によく似合ってるよ。」
歯の浮くような台詞をさらっとたたみかけて、きれいに笑うから手に負えない。
私がどんなに子どもみたいにすねたって言いがかりをつけてみたって、笑顔で受け止めてくれるんだ、この男は。
悔しいけど、すき。
きらきらぼし
花火よりも君の笑顔の方がうんと眩しい。
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ワンライ参加作品
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