第三話 懐古
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目を覚ますとまず視界に入ったのは白い天井だった。ぼんやりする頭で視線だけ動かすと、薬品棚に白い布でできた仕切り。
(…病院?あれ、あの後どうなったんだっけ。)
窓の外に目を向けると、空はすっかり茜色に染まっており、時刻は夕方くらいかな…とナマエが考えていると、ふと左手が妙に暖かいことに気づいた。
(恵…ずっと付いててくれたのかな。自分だって怪我してるのに。)
左側を見ると、ナマエの手を握ったままベッドの縁にうつ伏せで寝息を立てる恵の姿があった。頭に巻いている包帯が痛々しい。
怪我はしたものの恵も無事だということは、ちゃんとあの呪霊は祓えたらしい。
(そうだ、恵の顔見て安心しちゃって…それでそのまま寝ちゃったんだ。)
拘束されてない方の腕を天井に翳してみたが、さっきの傷が嘘のようにキレイさっぱりなくなっている。不思議に思っていると、カラカラと扉の開く音がした。そこには呪術界では貴重な反転術式を相手に施せる、術師であり医師でもある家入硝子の姿があった。そうか、治してもらったんだ、とこの傷ひとつない腕の理由が分かった。ということは、全身に付いた傷もきれいにしてくれたんだろう。自身の体に痛みひとつない様子から、改めて家入の凄さを身をもって感じた。
「起きたか。体調はどうだ?」
「硝子ちゃん…てことは、ここ……」
「高専の医務室だよ。傷は術式で消えてるから安心しな。どっか痛いとこない?」
「頭がぼんやりするくらいで何ともないよ。硝子ちゃん、ありがとう。」
「ったく。初任務で早速怪我しちゃって。先が思いやられるよ。」
あの頃よりもだいぶ濃くなった隈が心配ではあるが、当時と変わらない言い草の家入に苦笑いをこぼした。口ではこう言いつつも昔からずっと優しい憧れのお姉さんである。
「伏黒…は、まだ寝てんのか?部屋に戻っていいって言ったんだけど、頑として動かなかったんだよ。私らがこんだけ話してても起きないくらいはこの子も疲れてるだろうにね。」
「……そっか。」
「伏黒が起きたらもう寮に戻っていいよ。今日はこのまま休めって五条も言ってたしね。」
まだ仕事あるからまたね、そう言って背中を向けた家入にお礼を言ったナマエは、左手ぎゅっと握り、そのままゆっくりと目を閉じた。それでもまだ起きない恵は本当にお疲れらしい。
(……恵、ありがと。)
心の中でお礼を言いつつ、今日の任務について思い返していた。
最後の最後に呪力を限界まで上げて出した『鎌鼬』。あれが打てるようになった事で、高専への入学を許可してもらえた。それもこれも、泣いても喚いても特訓をやめてくれなかった七海のお陰である。自分からお願いしたとは言え、あれはかなりのスパルタだった。
(いつもはすんごく優しいのにあの時は別人みたいだったなー……)
当時の七海の様子を思い出したナマエの口元は緩く持ち上がった。
__建人くん。私の、先生になってください!
___…はい?
ナマエは目を瞑ったまま七海に修行のお願いをした時のことを思い出していた。
(…病院?あれ、あの後どうなったんだっけ。)
窓の外に目を向けると、空はすっかり茜色に染まっており、時刻は夕方くらいかな…とナマエが考えていると、ふと左手が妙に暖かいことに気づいた。
(恵…ずっと付いててくれたのかな。自分だって怪我してるのに。)
左側を見ると、ナマエの手を握ったままベッドの縁にうつ伏せで寝息を立てる恵の姿があった。頭に巻いている包帯が痛々しい。
怪我はしたものの恵も無事だということは、ちゃんとあの呪霊は祓えたらしい。
(そうだ、恵の顔見て安心しちゃって…それでそのまま寝ちゃったんだ。)
拘束されてない方の腕を天井に翳してみたが、さっきの傷が嘘のようにキレイさっぱりなくなっている。不思議に思っていると、カラカラと扉の開く音がした。そこには呪術界では貴重な反転術式を相手に施せる、術師であり医師でもある家入硝子の姿があった。そうか、治してもらったんだ、とこの傷ひとつない腕の理由が分かった。ということは、全身に付いた傷もきれいにしてくれたんだろう。自身の体に痛みひとつない様子から、改めて家入の凄さを身をもって感じた。
「起きたか。体調はどうだ?」
「硝子ちゃん…てことは、ここ……」
「高専の医務室だよ。傷は術式で消えてるから安心しな。どっか痛いとこない?」
「頭がぼんやりするくらいで何ともないよ。硝子ちゃん、ありがとう。」
「ったく。初任務で早速怪我しちゃって。先が思いやられるよ。」
あの頃よりもだいぶ濃くなった隈が心配ではあるが、当時と変わらない言い草の家入に苦笑いをこぼした。口ではこう言いつつも昔からずっと優しい憧れのお姉さんである。
「伏黒…は、まだ寝てんのか?部屋に戻っていいって言ったんだけど、頑として動かなかったんだよ。私らがこんだけ話してても起きないくらいはこの子も疲れてるだろうにね。」
「……そっか。」
「伏黒が起きたらもう寮に戻っていいよ。今日はこのまま休めって五条も言ってたしね。」
まだ仕事あるからまたね、そう言って背中を向けた家入にお礼を言ったナマエは、左手ぎゅっと握り、そのままゆっくりと目を閉じた。それでもまだ起きない恵は本当にお疲れらしい。
(……恵、ありがと。)
心の中でお礼を言いつつ、今日の任務について思い返していた。
最後の最後に呪力を限界まで上げて出した『鎌鼬』。あれが打てるようになった事で、高専への入学を許可してもらえた。それもこれも、泣いても喚いても特訓をやめてくれなかった七海のお陰である。自分からお願いしたとは言え、あれはかなりのスパルタだった。
(いつもはすんごく優しいのにあの時は別人みたいだったなー……)
当時の七海の様子を思い出したナマエの口元は緩く持ち上がった。
__建人くん。私の、先生になってください!
___…はい?
ナマエは目を瞑ったまま七海に修行のお願いをした時のことを思い出していた。