第三十六話 共闘
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「〰〰っ!………え?」
あぁ、詰んだわ。そう覚悟してぎゅっと目を瞑った釘崎だったが、想定した衝撃は自身に起こらなかった。それどころか、ゆっくりと目を開けると目の前にはさっきまで自分に巻き付いていたタコ足。そして、体も自由になっていた。
「早く!藁人形!!!」
ナマエが放った言葉を聞いてやっと理解できたと同時に懐から藁人形を取り出してタコ足にのせて愛用のトンカチを振り上げながら釘崎も思いっきり叫んだ。
「それを先に言え!———芻霊呪法、『供鳴り』!!!」
ガキン!と釘を打つ音と同時に何もない所から雄たけびと共に血が噴き出した。釘崎の攻撃によりタコの全身からあふれ出したそれは、透明だった呪霊の輪郭を象った。
「くそっ、仕留めるまでにはいかないか。」
「ううん、十分だよ。これで終わり!」
悔しがる釘崎の横でナマエは立ち上がって大きく鉄扇を広げた後、釘崎に少し離れててと告げてから最後の大技を放った。
「いい加減くたばってよね!———『鎌鼬』!!!」
————ザフッ!
ナマエが釘崎に前述したとおり、タコ呪霊は真っ二つにされて……奇声を上げながらそのまま消滅した。透明になるというやっかいな能力はあったが、所詮はナマエよりも格下だったということだ。
「はぁ…っ、やっと…倒せた…。」
そのまま崩れるように岩場に座り込んだナマエは、釘崎の方を見ながら声を掛けた。
「釘崎さん、怪我はない?」
「っ!……バカじゃないの!?人の事よりも自分の心配しなさいよ!!」
「え?何で怒ってるの…??あ、いきなり鉄扇向けた事?あれは時間が惜しくて仕方なく……」
「そこじゃないわよ!…そこもだけど!全部よ!全部!!」
「えええぇ…。」
見当違いなナマエに腹が立つ以上に呆れて物も言えない。それでも、ナマエが居なければ今頃自分は呪霊のエサになっていた。それだけは確かだった。
「……アンタのお陰で私は死なずに済んだ。それに、私がタコに捕まらなければアンタは怪我しなくて済んだかもしれない。だから……ごめん、あと…ありがとう。」
「ううん、釘崎さんのおかげだよ。あの術式がなかったら倒せなかったから…それに、初めて呪具なしで呪霊相手に攻撃もできた。全部釘崎さんのおかげ。こちらこそありがとうだよ。」
せっかくこちらが折れているのにこの調子だ。ここはしっかり言ってやろうと思っていると、遠くから自分たちを呼ぶ声が聞こえてきた。虎杖の声だ。
「おーーーい!そっち呪霊いたーーー?」
向こうにはたいした呪霊は出なかったのか、近付いてくる男子たちは目立った怪我はなさそうでナマエは一安心だったが、近付いて来た恵と目が合った時、「ヤバ、遅かった…」と呟いた。
「血…洗い流したかったのに…。」
恵に見つかるとまた小言がうるさいと分かっていたので、こっそり血を洗い流してから合流して怪我なんてしてませんよのスタンスで乗り切るつもりだったのだが。まぁそれも釘崎によりバラされておしまいだろうがそこにはナマエは気づいていない。こちらに近付いてくるにしたがって恵の表情が険しくなってくるのを見たナマエは、諦めた。
「あー…ダメだ。詰んだ。」