第十三話 其其
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五条の能力で高専に戻り、すぐに硝子の居る医務室へとナマエを運んだ。気を揉みながら留守番をしていた二年生たちはシーツに包まれたナマエを見て、言葉を失った。顔の傷と血の気のない顔色。ナマエを横抱きにしている恵も何も言わない。誰もが最悪の結果を想像してしまった。医務室で待機していた硝子もその姿を見て無言で眉を顰めた。
「男共は全員外に出とけ。理由は…分かるな?」
「「「………。」」」
「僕は夜蛾学長に報告に行ってくるよ。さすがに内輪だけで収められる状況じゃなくなったからね。硝子…後は頼んだよ。」
「誰に言ってんの。さっさと行け。…真希、手伝ってくれる?」
「…あぁ。」
医務室から出て五条が報告の為立ち去ってからも、恵は医務室の扉をじっと見つめたままだった。居たたまれなくなったパンダが肩に手を置いて廊下の椅子へと誘導したことでやっと動いた。そして隣に腰かけたパンダが神妙な面持ちで恵に尋ねた。
「恵…あのさ、…何があったか聞いてもいいか?その…本当に言いたくないって事なら、無理にとは言わんが…。」
「………。」
「そ、そうだよな。じゃあ、あのクソヤロウがどうなったかだけでも…」
「パンダ先輩。気を遣わせてしまってすみません。…これから話すことは、ナマエが起きた時にうまいこと知らない振りをしてもらえますか。」
ナマエ自身、こんなこと周りに知られたくないだろう。だが、パンダたちがナマエのことを本当に心配しているのは分かったし、事情を知らないと、何がナマエを傷つける言葉になるか分からない。そう思った恵は、先輩たちに話すことにした。
「おう、分かった。」
「しゃけ。」
「ありがとうございます。……俺たちが到着した時、ナマエは…ベッドの上でアイツに組み敷かれてました。その…、事前か事後かは…分かりません。」
恵からぽつぽつとオブラートに包みつつ紡がれたその一部始終は、だんだんとパンダと狗巻の顔に暗く影を落とさせて俯かせ、そしてその拳をぎゅっと握らせることになる。
「……というのが事の全てです。」
「ナマエ……辛かっただろうな。痛かっただろうな。」
「たかな…。」
心なしかパンダの声は震えている。そして裃条への怒りを露わにする。
「で?クソヤロウは?置いてきて大丈夫なのか?逃げるかもしんないぞ?」
「あぁ、それは多分大丈夫です。ベッドの足に拘束してます。」
「その程度ならすぐに外されちゃうんじゃないか?」
「あー…自力では外せませんし、外せたとしても外を出歩ける状態ではないと思うんで。」
「…なんで?」
「………。」
「恵……何した?」
「…俺じゃないですよ。五条先生です。」
「いいから、何した?」
ナマエのことを話す時とは違う意味で言葉を濁す恵に、何かあると思ったパンダは恵に詰め寄った。嫌そうに舌打ちをした恵は渋々話した。
「…全裸で、その、…特殊な縛り方で海老反りになってます。」
「特殊ぅ??どんな縛り方だよ。」
「すじこ?」
「……。」
「海老反り…てことは、亀甲縛り?あれ、難しいんだぞ。悟はやっぱり変態なんだな!」
「たかなっ!」
「パンダ先輩なんで縛り方まで知ってんですか。で、狗巻先輩はなんで照れるんですか。」
顎に手をあてて首をかしげながら真面目な顔で言うパンダに、両手を頬にあてて「キャッ」とでも言わんばかりの狗巻。狗巻はともかくとして、そもそも呪骸であるパンダには絶対に必要のない知識だ。夜蛾が与えた知識だとすれば……いや、追及はやめておこう。
こんな状況でも相変わらずの二人に、恵は知らず知らずの内に力んでいた肩の力が抜けてはぁっと息を吐いた。いや、こんな時だからだろう。わかりにくいフォローをしようとする二人に、恵の眉尻は緩く下がった。
「パンダ先輩…狗巻先輩…ありがとうございます。」
「ん?ナンノコトだ?俺、パンダだからワカラナイ。」
「メンタイコ。」
「ふっ。なんで二人して片言。」
___数時間ぶりに、恵に表情が戻った瞬間だった。
「男共は全員外に出とけ。理由は…分かるな?」
「「「………。」」」
「僕は夜蛾学長に報告に行ってくるよ。さすがに内輪だけで収められる状況じゃなくなったからね。硝子…後は頼んだよ。」
「誰に言ってんの。さっさと行け。…真希、手伝ってくれる?」
「…あぁ。」
医務室から出て五条が報告の為立ち去ってからも、恵は医務室の扉をじっと見つめたままだった。居たたまれなくなったパンダが肩に手を置いて廊下の椅子へと誘導したことでやっと動いた。そして隣に腰かけたパンダが神妙な面持ちで恵に尋ねた。
「恵…あのさ、…何があったか聞いてもいいか?その…本当に言いたくないって事なら、無理にとは言わんが…。」
「………。」
「そ、そうだよな。じゃあ、あのクソヤロウがどうなったかだけでも…」
「パンダ先輩。気を遣わせてしまってすみません。…これから話すことは、ナマエが起きた時にうまいこと知らない振りをしてもらえますか。」
ナマエ自身、こんなこと周りに知られたくないだろう。だが、パンダたちがナマエのことを本当に心配しているのは分かったし、事情を知らないと、何がナマエを傷つける言葉になるか分からない。そう思った恵は、先輩たちに話すことにした。
「おう、分かった。」
「しゃけ。」
「ありがとうございます。……俺たちが到着した時、ナマエは…ベッドの上でアイツに組み敷かれてました。その…、事前か事後かは…分かりません。」
恵からぽつぽつとオブラートに包みつつ紡がれたその一部始終は、だんだんとパンダと狗巻の顔に暗く影を落とさせて俯かせ、そしてその拳をぎゅっと握らせることになる。
「……というのが事の全てです。」
「ナマエ……辛かっただろうな。痛かっただろうな。」
「たかな…。」
心なしかパンダの声は震えている。そして裃条への怒りを露わにする。
「で?クソヤロウは?置いてきて大丈夫なのか?逃げるかもしんないぞ?」
「あぁ、それは多分大丈夫です。ベッドの足に拘束してます。」
「その程度ならすぐに外されちゃうんじゃないか?」
「あー…自力では外せませんし、外せたとしても外を出歩ける状態ではないと思うんで。」
「…なんで?」
「………。」
「恵……何した?」
「…俺じゃないですよ。五条先生です。」
「いいから、何した?」
ナマエのことを話す時とは違う意味で言葉を濁す恵に、何かあると思ったパンダは恵に詰め寄った。嫌そうに舌打ちをした恵は渋々話した。
「…全裸で、その、…特殊な縛り方で海老反りになってます。」
「特殊ぅ??どんな縛り方だよ。」
「すじこ?」
「……。」
「海老反り…てことは、亀甲縛り?あれ、難しいんだぞ。悟はやっぱり変態なんだな!」
「たかなっ!」
「パンダ先輩なんで縛り方まで知ってんですか。で、狗巻先輩はなんで照れるんですか。」
顎に手をあてて首をかしげながら真面目な顔で言うパンダに、両手を頬にあてて「キャッ」とでも言わんばかりの狗巻。狗巻はともかくとして、そもそも呪骸であるパンダには絶対に必要のない知識だ。夜蛾が与えた知識だとすれば……いや、追及はやめておこう。
こんな状況でも相変わらずの二人に、恵は知らず知らずの内に力んでいた肩の力が抜けてはぁっと息を吐いた。いや、こんな時だからだろう。わかりにくいフォローをしようとする二人に、恵の眉尻は緩く下がった。
「パンダ先輩…狗巻先輩…ありがとうございます。」
「ん?ナンノコトだ?俺、パンダだからワカラナイ。」
「メンタイコ。」
「ふっ。なんで二人して片言。」
___数時間ぶりに、恵に表情が戻った瞬間だった。