第十一話 危地
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今回のお話の中には、夢主が無理矢理に乱暴をされそうになる表現が出てきます。未遂なのでR指定はしませんが、苦手な方はご注意下さい。
___ナマエ!
遠くから名前を呼ばれた気がした。恵の声だ。ピクリと瞼が動いた後、ナマエはゆっくりと覚醒した。布のようなものを顔にあてられてからの記憶がない。何かの薬を嗅がされたらしく、頭もぼんやりしている。
「やぁ、おはよう。気分はどうだい?」
声のした方に体を動かそうとしたがそれは叶わなかった。腕が痛いと思ったら、後ろ手に縛られており、両足もしっかり縛られていて、ご丁寧に口には猿轡を噛まされている。
「んんん!」
「あぁ、ごめんね。それだと話せないよね。ちょっと待ってね。」
そういって椅子から立ち上がった声の主、裃条はゆっくりとナマエに近付いてきた。ナマエはどうにか逃げようと藻掻いたが裃条は落ち着いた様子でナマエの口元に手をやった。
「んーー!!」
「こらこら、暴れないで。口のものを外さないと声も出せないだろう?ほら、じっとして。」
猿轡を外されて口だけ自由になったナマエは睨みつけながら何のつもりだと尋ねた。聞きながら、現状の把握にも努める。何らかの薬品を嗅がされて意識を失っている間にどこかに連れ去られた。そして両手両足は縄で縛られ、横向きに寝かされているのは高そうなベッド。そっと周りを見渡すとどこかの部屋のようだった。この様子だと少なくとも高専内ではないだろう。部屋の雰囲気も調度品などが飾られており、どこかの金持ちの家のような印象だ。
「言っただろう?君と二人きりになりたかったんだよ。でないとゆっくり話もできないからね。」
「話したいだけにしては、扱いがひどくないですか。」
「そうだね、悪いと思っているよ。でも、体が自由だと君は逃げ出してしまうだろう?」
「……私に、何の用ですか。」
ナマエは極力冷静であるよう努めた。そして、会話をしながらも手元を操作して縄を切ろうとしていた。ナマエの能力は風。その風を刃状に変えてしまえばこの程度の縄などすぐに切ることができる。だが、なぜか能力を出すことができない。
「あぁ、無駄だよ。今の君は呪力を練ることはできないからね。ついでに、体もうまく動かないはずだよ。」
確かに。先程から体の感覚もおかしいと思っていた。縛られているからだと思っていたが違うらしい。状況が最悪だ、という事だけは分かった。
「何か盛りましたか。」
「察しがいいね。神経に作用する薬だよ。だから体も動かせないし、呪力も使えない。でも安心してくれ。君自身をどうこうしたいわけじゃない。大人しく僕の言う事を聞いてくれればそれでいい。」
体が動かせないなら仕方がない。まずは相手の目的を知らなければ。そう思ったナマエは抵抗をやめて話を聞くことにした。少なくとも自分に危害を加えるつもりはないらしい。…今のところは、だが。冷静になれ。焦ったら負けだ。何度も言い聞かせながら深呼吸をした。
「いい子だね。君が馬鹿じゃなくて本当に良かったよ。」
「…何が…したいんですか。」
「ナマエちゃん。僕と結婚しよう。」
「……………は?」
いきなり何を言い出すのか。言葉の意味が理解できない。言葉と行動が伴っていない。まさか拘束された状態でプロポーズされるとは思ってもいなかった。
「驚くのも無理はない。でもね、君にはウンと言ってもらわないと僕が困るんだ。」
「………意味が分かりません。」
「ははは。そうだろうね。実はね、君のお兄さんにさ、見限られちゃったんだ。」
「兄様…。」
「そ。二度と君の前に顔を出すなとさえ言われたよ。」
「………。」
「そしたらね、どうなったと思う?裃条家から追い出されちゃったんだ。ミョウジ家との繋がりを作れなかったどころか、君のお兄さんを怒らせてしまったからね。裃条家はね、元々は貴族だったんだ。でも時代が変わって、どんどん廃れていった。だからね、君の所のような名家と繋がることができないと死活問題なんだよ。僕は長男ではないから。君と結婚ができないとどこにも居場所がないんだよ。」
つらつらと話すこの男が、何を言っているのかが分からない。実家に見限られたというとことろまでは分かったが、それがどうしてこんなことになるのか。
「どうしてミョウジ家なんですか。…どうして、私なんですか。」
「ん?ただ単に顔が気に入っただけだよ。どうせ抱くなら、可愛い子の方がいいだろう?不細工だと萎えちゃうからね。」
下卑た笑みを向け、横になっているナマエのすぐそばまでやってきた裃条はギシリとベッドに乗り上げてきた。そして後ろ手に縛っていた縄を解いて、そのままナマエを仰向けにした。腕を解放されたにも関わらず、薬のせいで動かすことができない。
「や…めて…下さい。」
「大丈夫。優しくするよ。」
「こんなことして…私が肯くと思いますか。」
「ふふふ…もちろん、思ってないよ。」
「どうこうするつもり…ないんですよね。」
「それは、君がウンと言ってくれた時だけだよ。まぁ、結婚も、冗談みたいなものだ。特別に…本当の事を教えてあげようか。」
ナマエに覆いかぶさりながら見下ろす裃条は、そっとナマエの頬を撫でながらとても楽しそうに言った。
「嫌がらせだよ。君のお兄さんを傷つけたいだけさ。あの人のせいで僕の居場所はなくなった。だから、復讐…かな。お兄さん自身をどうにかしようにも、きっと適わない。それなら、妹の君を…ね。」
「…こんなの…意味ない…ですよ。私がどうなっても…兄は何とも思わない。」
身の危険を感じているナマエは声を震わせながらも裃条に言う。体が動かないせいで逃げられないのに、触られている、という感触はちゃんとあるのだ。
「君は自分の価値を何も分かっていないね。まぁ、君がどう思おうと関係ないよ。」
ナマエの頬を撫でていた手がゆっくりとジャージのファスナーにかかる。ジジジジジ…ともったいぶるような動作でそれは下げられた。
「や……やめ……て…」
「そんな顔で見ないでおくれ、どうせなら君も優しくされたいだろう?…念のため聞いておくけど、君、処女だよね?まさかとは思うけど、伏黒くんと既に済ませてたりしないよね?」
「…なんで恵が出てくるんですか。」
「そうか、じゃあまだなんだね。良かった。これでお兄さんだけでなくて伏黒くんにも嫌がらせができそうだ。」
「………。」
「女の子は鈍感な方がかわいらしいけど、君は少し鈍すぎかもね。まぁ、それもどうでもいい。さて、そろそろ君のきれいな体を見せてもらおうか。時間はたっぷりあるから大丈夫だよ。ゆっくり楽しもう。」
恍惚とした表情で見下ろす裃条に、恐怖のせいかナマエは声が出せない。これから何をされるのか。経験のないナマエでも十分わかる。
「反応がないとつまらないだろう?だから、体の自由は効かないけど触覚は残る程度の濃度にしておいたよ。ほら。」
「ひっ…!」
そう言いながらTシャツの裾から手を差し込み、脇腹をツゥっと撫でた。怯えて震えるナマエを見て、ますます裃条は楽しそうに笑みを深める。そして、脇腹を撫でる手が胸元に届くという時___
_ヴーッヴーッヴーッ
裃条のスマホが着信を知らせながら震えた。
「…少しだけ待っててね。………おや?もうバレちゃったかな。____はい。もしもし。」
電話に出ながら裃条は部屋から出て行った。バクバクとうるさい心臓をどうにか落ち着けようと、ナマエは大きく息をする。どうにかしないと今のままでは…。しかし体は動かないままだ。打開策が何一つ思い浮かばない。電話の主は誰だろうか。バレたと言っていた。自分が居ないと気づいてくれた誰かかもしれない。ここがどこかは分からないが、時間はたっぷりあると言っていたことから想定すると高専から近い場所ではなさそうだ。救助が来る可能性はかなり低いだろう。
(恵……心配してるかな。ドジふんだ私の事、怒ってるかな。……怖いよ…。助けて…。)
「待たせてゴメンね。大丈夫だとは思うけど万が一という事もある。ゆっくりしてられなくなったみたいだ。でも大丈夫。ちゃんと気持ちよくしてあげるよ。乱暴に抱くような趣味はないけど、抵抗したら…わかるね?あぁ、でも。お兄さんに痛い目を見てもらうには、乱暴にした方が効果があるかな。」
そう言って、裃条は再びナマエに覆いかぶさった。
___ナマエ!
遠くから名前を呼ばれた気がした。恵の声だ。ピクリと瞼が動いた後、ナマエはゆっくりと覚醒した。布のようなものを顔にあてられてからの記憶がない。何かの薬を嗅がされたらしく、頭もぼんやりしている。
「やぁ、おはよう。気分はどうだい?」
声のした方に体を動かそうとしたがそれは叶わなかった。腕が痛いと思ったら、後ろ手に縛られており、両足もしっかり縛られていて、ご丁寧に口には猿轡を噛まされている。
「んんん!」
「あぁ、ごめんね。それだと話せないよね。ちょっと待ってね。」
そういって椅子から立ち上がった声の主、裃条はゆっくりとナマエに近付いてきた。ナマエはどうにか逃げようと藻掻いたが裃条は落ち着いた様子でナマエの口元に手をやった。
「んーー!!」
「こらこら、暴れないで。口のものを外さないと声も出せないだろう?ほら、じっとして。」
猿轡を外されて口だけ自由になったナマエは睨みつけながら何のつもりだと尋ねた。聞きながら、現状の把握にも努める。何らかの薬品を嗅がされて意識を失っている間にどこかに連れ去られた。そして両手両足は縄で縛られ、横向きに寝かされているのは高そうなベッド。そっと周りを見渡すとどこかの部屋のようだった。この様子だと少なくとも高専内ではないだろう。部屋の雰囲気も調度品などが飾られており、どこかの金持ちの家のような印象だ。
「言っただろう?君と二人きりになりたかったんだよ。でないとゆっくり話もできないからね。」
「話したいだけにしては、扱いがひどくないですか。」
「そうだね、悪いと思っているよ。でも、体が自由だと君は逃げ出してしまうだろう?」
「……私に、何の用ですか。」
ナマエは極力冷静であるよう努めた。そして、会話をしながらも手元を操作して縄を切ろうとしていた。ナマエの能力は風。その風を刃状に変えてしまえばこの程度の縄などすぐに切ることができる。だが、なぜか能力を出すことができない。
「あぁ、無駄だよ。今の君は呪力を練ることはできないからね。ついでに、体もうまく動かないはずだよ。」
確かに。先程から体の感覚もおかしいと思っていた。縛られているからだと思っていたが違うらしい。状況が最悪だ、という事だけは分かった。
「何か盛りましたか。」
「察しがいいね。神経に作用する薬だよ。だから体も動かせないし、呪力も使えない。でも安心してくれ。君自身をどうこうしたいわけじゃない。大人しく僕の言う事を聞いてくれればそれでいい。」
体が動かせないなら仕方がない。まずは相手の目的を知らなければ。そう思ったナマエは抵抗をやめて話を聞くことにした。少なくとも自分に危害を加えるつもりはないらしい。…今のところは、だが。冷静になれ。焦ったら負けだ。何度も言い聞かせながら深呼吸をした。
「いい子だね。君が馬鹿じゃなくて本当に良かったよ。」
「…何が…したいんですか。」
「ナマエちゃん。僕と結婚しよう。」
「……………は?」
いきなり何を言い出すのか。言葉の意味が理解できない。言葉と行動が伴っていない。まさか拘束された状態でプロポーズされるとは思ってもいなかった。
「驚くのも無理はない。でもね、君にはウンと言ってもらわないと僕が困るんだ。」
「………意味が分かりません。」
「ははは。そうだろうね。実はね、君のお兄さんにさ、見限られちゃったんだ。」
「兄様…。」
「そ。二度と君の前に顔を出すなとさえ言われたよ。」
「………。」
「そしたらね、どうなったと思う?裃条家から追い出されちゃったんだ。ミョウジ家との繋がりを作れなかったどころか、君のお兄さんを怒らせてしまったからね。裃条家はね、元々は貴族だったんだ。でも時代が変わって、どんどん廃れていった。だからね、君の所のような名家と繋がることができないと死活問題なんだよ。僕は長男ではないから。君と結婚ができないとどこにも居場所がないんだよ。」
つらつらと話すこの男が、何を言っているのかが分からない。実家に見限られたというとことろまでは分かったが、それがどうしてこんなことになるのか。
「どうしてミョウジ家なんですか。…どうして、私なんですか。」
「ん?ただ単に顔が気に入っただけだよ。どうせ抱くなら、可愛い子の方がいいだろう?不細工だと萎えちゃうからね。」
下卑た笑みを向け、横になっているナマエのすぐそばまでやってきた裃条はギシリとベッドに乗り上げてきた。そして後ろ手に縛っていた縄を解いて、そのままナマエを仰向けにした。腕を解放されたにも関わらず、薬のせいで動かすことができない。
「や…めて…下さい。」
「大丈夫。優しくするよ。」
「こんなことして…私が肯くと思いますか。」
「ふふふ…もちろん、思ってないよ。」
「どうこうするつもり…ないんですよね。」
「それは、君がウンと言ってくれた時だけだよ。まぁ、結婚も、冗談みたいなものだ。特別に…本当の事を教えてあげようか。」
ナマエに覆いかぶさりながら見下ろす裃条は、そっとナマエの頬を撫でながらとても楽しそうに言った。
「嫌がらせだよ。君のお兄さんを傷つけたいだけさ。あの人のせいで僕の居場所はなくなった。だから、復讐…かな。お兄さん自身をどうにかしようにも、きっと適わない。それなら、妹の君を…ね。」
「…こんなの…意味ない…ですよ。私がどうなっても…兄は何とも思わない。」
身の危険を感じているナマエは声を震わせながらも裃条に言う。体が動かないせいで逃げられないのに、触られている、という感触はちゃんとあるのだ。
「君は自分の価値を何も分かっていないね。まぁ、君がどう思おうと関係ないよ。」
ナマエの頬を撫でていた手がゆっくりとジャージのファスナーにかかる。ジジジジジ…ともったいぶるような動作でそれは下げられた。
「や……やめ……て…」
「そんな顔で見ないでおくれ、どうせなら君も優しくされたいだろう?…念のため聞いておくけど、君、処女だよね?まさかとは思うけど、伏黒くんと既に済ませてたりしないよね?」
「…なんで恵が出てくるんですか。」
「そうか、じゃあまだなんだね。良かった。これでお兄さんだけでなくて伏黒くんにも嫌がらせができそうだ。」
「………。」
「女の子は鈍感な方がかわいらしいけど、君は少し鈍すぎかもね。まぁ、それもどうでもいい。さて、そろそろ君のきれいな体を見せてもらおうか。時間はたっぷりあるから大丈夫だよ。ゆっくり楽しもう。」
恍惚とした表情で見下ろす裃条に、恐怖のせいかナマエは声が出せない。これから何をされるのか。経験のないナマエでも十分わかる。
「反応がないとつまらないだろう?だから、体の自由は効かないけど触覚は残る程度の濃度にしておいたよ。ほら。」
「ひっ…!」
そう言いながらTシャツの裾から手を差し込み、脇腹をツゥっと撫でた。怯えて震えるナマエを見て、ますます裃条は楽しそうに笑みを深める。そして、脇腹を撫でる手が胸元に届くという時___
_ヴーッヴーッヴーッ
裃条のスマホが着信を知らせながら震えた。
「…少しだけ待っててね。………おや?もうバレちゃったかな。____はい。もしもし。」
電話に出ながら裃条は部屋から出て行った。バクバクとうるさい心臓をどうにか落ち着けようと、ナマエは大きく息をする。どうにかしないと今のままでは…。しかし体は動かないままだ。打開策が何一つ思い浮かばない。電話の主は誰だろうか。バレたと言っていた。自分が居ないと気づいてくれた誰かかもしれない。ここがどこかは分からないが、時間はたっぷりあると言っていたことから想定すると高専から近い場所ではなさそうだ。救助が来る可能性はかなり低いだろう。
(恵……心配してるかな。ドジふんだ私の事、怒ってるかな。……怖いよ…。助けて…。)
「待たせてゴメンね。大丈夫だとは思うけど万が一という事もある。ゆっくりしてられなくなったみたいだ。でも大丈夫。ちゃんと気持ちよくしてあげるよ。乱暴に抱くような趣味はないけど、抵抗したら…わかるね?あぁ、でも。お兄さんに痛い目を見てもらうには、乱暴にした方が効果があるかな。」
そう言って、裃条は再びナマエに覆いかぶさった。