第七十七話 知覚
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「あり?棘は?」
「ナマエんとこ。」
「あぁ、今日もあっちか。」
2年の3人組、ならぬ2人組。真希とパンダは午後から1年生2人に体術の特訓をするため運動場へ向かっていた。
任務がない日であれば3人揃うはずだが、棘に関してはひと月ほど前からナマエとの訓練を始めたため別行動になる日が多くなっていた。
「で?ナマエはどうなんだ?」
「何があったのかは知らんが数日前からナマエが変わったって言ってた。」
「変わった?なんだそれ。」
「変わったっていうよりは、元のナマエに戻った?」
「はぁ?わけが分かんねぇ。どういう意味だよ。」
「いや、俺に聞くなって。棘がそう言ってたんだよ。」
「ふーん。」
真希とパンダは、ナマエのことを気に掛けてはいたが状況が状況なのでこちらから何かアクションを起こすのはよそうと二人で決めていた。だが、気になるものは気になる。だからある程度の話は棘から聞いていた。ナマエが自分を追い詰めてそれこそ棘が呪言で無理やり止めるまで無茶な修行をしていたこと。自分を追い込むせいなのか、
パンダの言うように何があったのかは知らないが、それが突然元に戻った。棘の話では一緒に居る棘本人もよく分かっていないらしいので、また聞きの自分たちには余計に分からない。
「ナマエのことだ。恵じゃねぇの?アイツが何か言ったんだろ。」
「俺もそうだと思って恵に聞いたんだが、どうやら違うらしい。」
ナマエの変化には大抵恵が関わっていることばかりなので今回もそうだと思った二人の予想は外れたらしい。
「へぇ……まぁ、目隠し馬鹿と七海さんも付いてんだ。……ナマエのことは任せるしかねぇよなぁ。」
「前向きにやってるなら俺たちは見守る側に徹しないとな。」
「私らは私らのやるべきことをやるしかねぇか。」
「だな。んで、肝心の1年ズは?」
「パシった。」
9月に開催される京都姉妹校交流会まであと1か月。それまでに恵と野薔薇を“使える”レベルにするため、任務や授業の合間を縫って特訓に励んでいた。その1年2人の姿が見えないと思えば真希の指示で飲み物調達に行かされていたのだった。
「大丈夫か?」
「3歳児じゃねーんだ。お遣い位できんだろ。」
「いや、そうじゃなくて。今日だろ、京都校の学長が来んの。」
「!」
パンダの言う通り、今日は交流会の打ち合わせのために東京校の夜蛾と京都校の楽巌寺が顔を合わせる予定だ。先月の少年院特級案件に1年を派遣という本来ではありえない異常事態。実は五条と犬猿の仲である高専上層部が仕組んだのではないかという噂がひそかにされていたのだ。
「京都の学長なんてモロその上層部だろ。鉢合わせでもしたらさァ……」
「標的だった1年……虎杖悠二は死んでんだ。恵達を今更どうこうするつもりもねぇだろ。京都のジジィだって表立って騒ぎは起こさねぇって。」
「教員は立場があるけど生徒はそうでもないよな。」
「…………」
パンダが気掛かりだったのは、上層部の大人たちのことではなかった。生徒……つまりは京都校の高専生徒。
「来てるって言うのか。__真依が。」
「憶測だよ。打ち合わせに生徒は関係ないからな。でもなァ……」
その生徒の中には真希の血縁、双子の妹が居る。そして、どうにも理解できない思考回路を持ち合わせた……アイツが居る。
「アイツら、嫌がらせ大好きじゃん。__東堂と真依。」