第四話 組手
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___カンッ! カンカンッ!
_____ザザザッ!
____ドガっ!
土埃を巻き上げながら互いに武器をぶつけ合うが、どちらも防御するせいで中々急所に当てる事ができない。
しなやかな動きで立ち回るナマエと真希は中々決着がつかない為かれこれ10分以上打ち合っているが、疲れた様子は一切見せずに口元には両者とも笑みさえ浮かべている。
(相変わらずスゲェな。)
真希はともかくとしてナマエはパッと見の印象とその性格からも鈍臭そうにさえ見えるのに。昨日の任務でも思ったが一度スイッチが入ると途端に別人の様になる。呪具の扱いは学生一であろう真希にも対等に立ち向かっている。
_____
「ほれ、これ使え。」
そう言って棍棒を投げて寄越した真希に、ナマエは眉を顰めた。
「私、長物なんか使った事ないよ?」
「じゃあ何使うんだよ。」
「……素手?」
「アホなのか!?リーチ違いすぎて勝負にならんわ!」
「じゃあ、鉄扇取ってきていい?」
「お前は私を殺す気か!訓練に金属持ってきてどうすんだ!」
「だってそれしか使った事ないもん!」
「「「「……。」」」」
ギャアギャアと言い合う女子二人に、男子たちは呆れて何も言えなかった。
「なぁ恵、あれ止めてこいよ。」
「しゃけ。」
「嫌ですよ。あそこに入りたくない。」
「ははは……。」
少し離れたところで体操座りしている男子四人は同じことを考えていた。別に怖いわけじゃない。巻き込まれたくないだけだ。
それでもいつまでも放置するわけにも…と思っていたら。ちょっと行ってくるよ、と勇者乙骨が動いた。
「ミョウジさん、これならどうかな?」
乙骨が差し出したのは木刀。リーチが違うことには変わりないが、素手や鉄扇を持って来られるよりはマシだろう。
「うーん。」
乙骨から木刀を受け取ったナマエは唸りながらしばらく柄の所を何度も握り直したり、ビュンビュンと振り回したりした後。
「棍棒よりはいいかも!長さも鉄扇と近いし!ありがとう、憂太先輩!」
「使えそうで良かった。……本当に。」
戻ってきた乙骨に、それぞれが賞賛の声を掛けた。
「「ナイス。」」
「ツナマヨ。」
「……収まって良かった。」
「じゃあやるぞ。ルールは一つ、これは体術の訓練だからな。呪力は使わない、オーケー?」
「オーケー!」
ナマエが普段の鉄扇を持つ時の様に木刀を構えたのを見て、真希は一度目を見開いた後、ニヤリと笑った。
「なんだ。そういう顔できんじゃねぇか。」
「手加減しないでね!」
「誰に言ってんだ。……いくぞ!」
そう言って火蓋は切って落とされた。
_____
ガンガンと打ち合う二人を見ながら、乙骨が感心したように呟いた。
「うわ。ミョウジさんって、あんなに動けるんだね。真希さんとタメ張ってるよ。正直、術式頼りだと思ってた。」
「逆っすね。本人は術式弱いっつって悩んでますから。」
「へー。人は見かけによらないね。」
「憂太、お前が言うなよ。」
「しゃけっ。」
もっとも過ぎる。と思った恵はまた二人の打ち合いに視線を戻した。
「そろそろ……疲れてきたんじゃ、ねぇの……か!」
_ガンっ!
「真希ちゃん、こそっ!……動きが鈍くなってきた…………よっ!」
__ゴッ!
ガンガンゴンゴンと打ち合う内、カッと目を見開いた両者は思いっきりそれぞれの武器を振りかぶった。
「うりゃ!」
「ハッ!」
_____ドゴッッ!!!
その一撃は一際大きな音を立てたが、それでもやはり決着はつかず、そのまま鍔迫り合いとなった。ギリギリと木の軋む音は恵たちの方まで聞こえてくるほどだ。
「降参したら、どうだ?力比べで、、、私に勝てないのは。わかってんだろっ!」
ジワジワとナマエが押されてきた頃、ニヤリと笑ったナマエは、自分の足を真希の足に掛け、そのまま思いっきり手前に引いた。つまり足払いを掛けたのだ。
「んなっ!?」
_____ズザザザッ!
突然の事に対応しきれなかった真希はそのまま仰向けに倒れ、すかさずその上にナマエが馬乗りになった。
_____ザグッ!
そして真希の顔のすぐ横に木刀を思いっきり突き立てたナマエは、満面の笑みで真希に告げた。
「勝負……あり、だね!」
「………………チッ!」
その瞬間、ナマエは「あーーー!つかれたぁぁぁ!」と言ってそのまま真希の横にゴロンと寝転がった。
「おい、今のはズリぃだろ。」
「ルール違反はしてないよ?呪力つかってないし。」
「……クソが。」
成り行きをずっと見守っていた男子たちも立ち上がり二人の元へと向かった。
「二人ともお疲れさん。でもやり過ぎ。訓練だぞ?」
「しゃけしゃけ。」
「実戦のつもりでやらなきゃ訓練になんねーだろ。」
「でも、二人とも凄かったね!勉強になったよ!」
ナマエの元に向かった恵は、そのまま見下ろすと、ほら手ェ貸せ。と言って右手を差し伸べたが。
「むりー。見てこれ。ベロンベロン。」
そう言ってこちらに向けられた手の平は確かに見事なまでに皮が剥けてしまっていた。血こそ出ていないが、見ているだけでこっちが痛くなりそうだった。
「やりすぎだ。この後はもう無理だな。」
「だって真希ちゃんだよ?本気出さなきゃ勝てないもん。」
そう言って歯を見せて笑ったナマエに眉を寄せた恵は、手の平は避けて手首を引っ張ってナマエを起こした。
「家入さんとこ行くぞ。」
「おいこら恵!次はお前だ!」
「…………。」
ついでに逃げようとした恵の目論見は大きく外れて、今度は恵がパンダに首根っこを掴まれて連れ去られることとなった。
「めんたいこ?」
「え?棘くんが連れてってくれるの?」
「しゃけ。」
「え、めちゃくちゃ一緒に行きたいけど…次恵の番だからそれ見てから行くね?」
「たーかーなー。」
「大丈夫大丈夫!とりあえず消毒だけして包帯巻いとくから!」
そう言って恵の元へと向かったナマエ。その様子を見ていたパンダ以外の二年生達は(結局は恵が一番かよ)と、二人のことを生温い目で見ていた。
_____ザザザッ!
____ドガっ!
土埃を巻き上げながら互いに武器をぶつけ合うが、どちらも防御するせいで中々急所に当てる事ができない。
しなやかな動きで立ち回るナマエと真希は中々決着がつかない為かれこれ10分以上打ち合っているが、疲れた様子は一切見せずに口元には両者とも笑みさえ浮かべている。
(相変わらずスゲェな。)
真希はともかくとしてナマエはパッと見の印象とその性格からも鈍臭そうにさえ見えるのに。昨日の任務でも思ったが一度スイッチが入ると途端に別人の様になる。呪具の扱いは学生一であろう真希にも対等に立ち向かっている。
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「ほれ、これ使え。」
そう言って棍棒を投げて寄越した真希に、ナマエは眉を顰めた。
「私、長物なんか使った事ないよ?」
「じゃあ何使うんだよ。」
「……素手?」
「アホなのか!?リーチ違いすぎて勝負にならんわ!」
「じゃあ、鉄扇取ってきていい?」
「お前は私を殺す気か!訓練に金属持ってきてどうすんだ!」
「だってそれしか使った事ないもん!」
「「「「……。」」」」
ギャアギャアと言い合う女子二人に、男子たちは呆れて何も言えなかった。
「なぁ恵、あれ止めてこいよ。」
「しゃけ。」
「嫌ですよ。あそこに入りたくない。」
「ははは……。」
少し離れたところで体操座りしている男子四人は同じことを考えていた。別に怖いわけじゃない。巻き込まれたくないだけだ。
それでもいつまでも放置するわけにも…と思っていたら。ちょっと行ってくるよ、と勇者乙骨が動いた。
「ミョウジさん、これならどうかな?」
乙骨が差し出したのは木刀。リーチが違うことには変わりないが、素手や鉄扇を持って来られるよりはマシだろう。
「うーん。」
乙骨から木刀を受け取ったナマエは唸りながらしばらく柄の所を何度も握り直したり、ビュンビュンと振り回したりした後。
「棍棒よりはいいかも!長さも鉄扇と近いし!ありがとう、憂太先輩!」
「使えそうで良かった。……本当に。」
戻ってきた乙骨に、それぞれが賞賛の声を掛けた。
「「ナイス。」」
「ツナマヨ。」
「……収まって良かった。」
「じゃあやるぞ。ルールは一つ、これは体術の訓練だからな。呪力は使わない、オーケー?」
「オーケー!」
ナマエが普段の鉄扇を持つ時の様に木刀を構えたのを見て、真希は一度目を見開いた後、ニヤリと笑った。
「なんだ。そういう顔できんじゃねぇか。」
「手加減しないでね!」
「誰に言ってんだ。……いくぞ!」
そう言って火蓋は切って落とされた。
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ガンガンと打ち合う二人を見ながら、乙骨が感心したように呟いた。
「うわ。ミョウジさんって、あんなに動けるんだね。真希さんとタメ張ってるよ。正直、術式頼りだと思ってた。」
「逆っすね。本人は術式弱いっつって悩んでますから。」
「へー。人は見かけによらないね。」
「憂太、お前が言うなよ。」
「しゃけっ。」
もっとも過ぎる。と思った恵はまた二人の打ち合いに視線を戻した。
「そろそろ……疲れてきたんじゃ、ねぇの……か!」
_ガンっ!
「真希ちゃん、こそっ!……動きが鈍くなってきた…………よっ!」
__ゴッ!
ガンガンゴンゴンと打ち合う内、カッと目を見開いた両者は思いっきりそれぞれの武器を振りかぶった。
「うりゃ!」
「ハッ!」
_____ドゴッッ!!!
その一撃は一際大きな音を立てたが、それでもやはり決着はつかず、そのまま鍔迫り合いとなった。ギリギリと木の軋む音は恵たちの方まで聞こえてくるほどだ。
「降参したら、どうだ?力比べで、、、私に勝てないのは。わかってんだろっ!」
ジワジワとナマエが押されてきた頃、ニヤリと笑ったナマエは、自分の足を真希の足に掛け、そのまま思いっきり手前に引いた。つまり足払いを掛けたのだ。
「んなっ!?」
_____ズザザザッ!
突然の事に対応しきれなかった真希はそのまま仰向けに倒れ、すかさずその上にナマエが馬乗りになった。
_____ザグッ!
そして真希の顔のすぐ横に木刀を思いっきり突き立てたナマエは、満面の笑みで真希に告げた。
「勝負……あり、だね!」
「………………チッ!」
その瞬間、ナマエは「あーーー!つかれたぁぁぁ!」と言ってそのまま真希の横にゴロンと寝転がった。
「おい、今のはズリぃだろ。」
「ルール違反はしてないよ?呪力つかってないし。」
「……クソが。」
成り行きをずっと見守っていた男子たちも立ち上がり二人の元へと向かった。
「二人ともお疲れさん。でもやり過ぎ。訓練だぞ?」
「しゃけしゃけ。」
「実戦のつもりでやらなきゃ訓練になんねーだろ。」
「でも、二人とも凄かったね!勉強になったよ!」
ナマエの元に向かった恵は、そのまま見下ろすと、ほら手ェ貸せ。と言って右手を差し伸べたが。
「むりー。見てこれ。ベロンベロン。」
そう言ってこちらに向けられた手の平は確かに見事なまでに皮が剥けてしまっていた。血こそ出ていないが、見ているだけでこっちが痛くなりそうだった。
「やりすぎだ。この後はもう無理だな。」
「だって真希ちゃんだよ?本気出さなきゃ勝てないもん。」
そう言って歯を見せて笑ったナマエに眉を寄せた恵は、手の平は避けて手首を引っ張ってナマエを起こした。
「家入さんとこ行くぞ。」
「おいこら恵!次はお前だ!」
「…………。」
ついでに逃げようとした恵の目論見は大きく外れて、今度は恵がパンダに首根っこを掴まれて連れ去られることとなった。
「めんたいこ?」
「え?棘くんが連れてってくれるの?」
「しゃけ。」
「え、めちゃくちゃ一緒に行きたいけど…次恵の番だからそれ見てから行くね?」
「たーかーなー。」
「大丈夫大丈夫!とりあえず消毒だけして包帯巻いとくから!」
そう言って恵の元へと向かったナマエ。その様子を見ていたパンダ以外の二年生達は(結局は恵が一番かよ)と、二人のことを生温い目で見ていた。