第六十五話 被呪
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夢の中でのできごとを、ナマエは七海に話した。七海自身、既にナマエが被呪者となっていることは分かっていたのでただ単に兄の夢を見ただけだろうと思っていた。昨日のナマエの様子では兄に呪われたことをどう伝えるべきか大人たちみんな考えあぐねていたので、経緯はどうあれ本人が自覚したのであればそれはそれで良かったのかもしれないとも思ったのだ。
だが、『夢』とは。睡眠中にそれがまるで現実かのように感じてしまう一種の幻覚だと七海は思っている。幻覚で被呪したことを知るなんてことがあるだろうか。
呪術の歴史は深いが、呪力に関して解明されていないことが多々あるのも事実。ミョウジの呪力がナマエの中で何かしら作用したのかもしれない。己の知識が全てではない。大人になって忘れかけていたことを七海は思い出したような感覚になった。
「建人くん。これって、つまり……私は、兄様に呪われたってことだよね。」
「ナマエ…」
「場所は…心臓あたり…かな。」
「……。」
そう言ってまたナマエは胸元に手を添えた。
「私って、これからどうなるの?憂太先輩の時も…虎杖くんの時も…秘匿死刑って言われてたよね。…私も?」
「それは…」
「あと、水島の家は?次期当主が呪いになっちゃったんだよ。しかも呪われたのは身内である私で。そんなの上層部が、呪術界が許すわけないよ。」
自覚してからの理解が早い。ほぼ正確に現状を把握できているようだ。それに、本来はそもそもが感情豊かなナマエ。それが、先ほどからピクリとも表情筋が動かないのだ。
「ナマエ、大丈夫ですか?」
「うん。なんか、割と。」
「……」
「昨日からずっと一緒にいてくれたんだね。ふふ…スウェット姿の建人くんなんて見たの何年振りだろ。あ、あと硝子ちゃんたちにもいっぱい迷惑かけちゃったな。」
「…家入さんなら隣の部屋にいますよ。念のため診てもらいますか?」
言葉では笑っているのに顔が全然笑っていない。今眼前にいるのはナマエ本人なのかどうかも疑わしいレベルだ。
「ううん、大丈夫。あ、でも。悟くんってどうしてる?処理とかで忙しいかな。」
「五条さんに何か?」
「うん、ちょっと確かめたいことがあるんだ。悟くんは万が一の保険って感じかな。」
「?……分かりました。連絡してみましょう。」
ナマエの確かめたいこと、というのが何かは分からなかったが、どこか真剣な表情のナマエを見た七海は一度医務室から出てスマホを取り出した。もともとショートスリーパーの五条には直ぐに連絡が付いたが、朝っぱらからどうのこうのとブチブチと文句を言っているのはいつも通りだった。そして、ここまでの出来事やナマエが既に被呪について理解していることも伝え、更に五条に用があることも伝えた。それまでふざけていた(通常運転の)五条は、一転真面目な声色になり、「そうか、わかった。」とだけ言った。
医務室に戻り五条の了承を得たことを伝えると、ナマエは、広くて誰にも見られないところで、多少暴れても大丈夫な場所がいいと言った。
「暴れるつもりなんですか?」
「そうじゃないけど、結果的にそうなるかもしれなくて…」
「……」
「今までやったことないし、どうなるか分かんないし。」
「はぁーー、ナマエ、そろそろ話してもらえますか?」
ずっと濁すように話をするナマエに七海はしびれを切らした。もしも危険なことをしようとしているのであれば止めなければならないとも思った。
「ご、ごめん、あのね…」
ナマエの話を聞いた七海は、それから家入にも連絡を取り、高専内で一番広い練武場の使用許可を取り付けた。そして一時間後、それぞれが練武場に集合した。時刻はまだ8時を過ぎたばかりだった。
だが、『夢』とは。睡眠中にそれがまるで現実かのように感じてしまう一種の幻覚だと七海は思っている。幻覚で被呪したことを知るなんてことがあるだろうか。
呪術の歴史は深いが、呪力に関して解明されていないことが多々あるのも事実。ミョウジの呪力がナマエの中で何かしら作用したのかもしれない。己の知識が全てではない。大人になって忘れかけていたことを七海は思い出したような感覚になった。
「建人くん。これって、つまり……私は、兄様に呪われたってことだよね。」
「ナマエ…」
「場所は…心臓あたり…かな。」
「……。」
そう言ってまたナマエは胸元に手を添えた。
「私って、これからどうなるの?憂太先輩の時も…虎杖くんの時も…秘匿死刑って言われてたよね。…私も?」
「それは…」
「あと、水島の家は?次期当主が呪いになっちゃったんだよ。しかも呪われたのは身内である私で。そんなの上層部が、呪術界が許すわけないよ。」
自覚してからの理解が早い。ほぼ正確に現状を把握できているようだ。それに、本来はそもそもが感情豊かなナマエ。それが、先ほどからピクリとも表情筋が動かないのだ。
「ナマエ、大丈夫ですか?」
「うん。なんか、割と。」
「……」
「昨日からずっと一緒にいてくれたんだね。ふふ…スウェット姿の建人くんなんて見たの何年振りだろ。あ、あと硝子ちゃんたちにもいっぱい迷惑かけちゃったな。」
「…家入さんなら隣の部屋にいますよ。念のため診てもらいますか?」
言葉では笑っているのに顔が全然笑っていない。今眼前にいるのはナマエ本人なのかどうかも疑わしいレベルだ。
「ううん、大丈夫。あ、でも。悟くんってどうしてる?処理とかで忙しいかな。」
「五条さんに何か?」
「うん、ちょっと確かめたいことがあるんだ。悟くんは万が一の保険って感じかな。」
「?……分かりました。連絡してみましょう。」
ナマエの確かめたいこと、というのが何かは分からなかったが、どこか真剣な表情のナマエを見た七海は一度医務室から出てスマホを取り出した。もともとショートスリーパーの五条には直ぐに連絡が付いたが、朝っぱらからどうのこうのとブチブチと文句を言っているのはいつも通りだった。そして、ここまでの出来事やナマエが既に被呪について理解していることも伝え、更に五条に用があることも伝えた。それまでふざけていた(通常運転の)五条は、一転真面目な声色になり、「そうか、わかった。」とだけ言った。
医務室に戻り五条の了承を得たことを伝えると、ナマエは、広くて誰にも見られないところで、多少暴れても大丈夫な場所がいいと言った。
「暴れるつもりなんですか?」
「そうじゃないけど、結果的にそうなるかもしれなくて…」
「……」
「今までやったことないし、どうなるか分かんないし。」
「はぁーー、ナマエ、そろそろ話してもらえますか?」
ずっと濁すように話をするナマエに七海はしびれを切らした。もしも危険なことをしようとしているのであれば止めなければならないとも思った。
「ご、ごめん、あのね…」
ナマエの話を聞いた七海は、それから家入にも連絡を取り、高専内で一番広い練武場の使用許可を取り付けた。そして一時間後、それぞれが練武場に集合した。時刻はまだ8時を過ぎたばかりだった。