第四十四話 呼出
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———ザフッ
「ふー…。これで最後?」
「あぁ、気配もなくなった。今ので終わりだ。伊地知さんの所へ戻るぞ。」
「おっしゃー!終わったー!」
廃ビルでの祓徐を終えた三人。今回はほとんどが三級以下の呪霊だったため特に苦労することなく任務を終えた。足場が悪くなっている階段を下りながら野薔薇が不満そうに言う。
「っていうか!ナマエは!?今日も別行動じゃない!」
「そういやずっと一緒に任務してねぇよな。伏黒なんか聞いてる?」
「今日は
「またぁ?この間は2年の準一級とじゃなかった?」
「……。」
ナマエが発作を起こしてから約一週間。あれ以来自分達と一緒に任務に行くことがほとんどなくなり、代わりに七海や狗巻など、格上の術師かつ気心の知れている者と組むことが多くなったナマエ。直接聞いたわけではないが五条の仕業ではないかと恵は思っていた。もしまた発作が起こってもフォローできるよう自分達よりも等級の高い術師と組ませているのだと。
「…任務の振り分けに文句言うな。実際今日の任務も三人で十分だったろ。呪術界はいつでも人手不足なんだから仕方ないだろ。」
「分かってるわよ!そんなこと!」
「まぁまぁ、とにかく早く帰ろーぜ!」
虎杖に宥められて文句を言いつつも三人は高専へ帰るため外で待つ伊地知の所へと戻った。
一方ナマエサイド。一級の七海と一緒という事で準一級相当の呪霊にまみえたが、最近力がついて来たのか七海の手を借りずにどうにか一人で祓う事ができてホッとしていた。そして帰りの車中にて。今日の補助監督は新田。七海にしろ新田にしろ、ナマエの大好きなメンバーで気分よく任務を遂行できた。
「はーーーー終わったー!!」
「少々危なかったですがよく一人で祓いましたね。ナマエさん、強くなってますよ。」
「ほんと!?大丈夫だった!?」
「えぇ、今のあなたなら準一級への昇級を検討してもいいかと。」
「うわぁ、建人くんにそう言ってもらえると自信になるよ!」
「五条さんに相談してみては?」
「んー。でも準一級になったら今より単独任務も増えるよね?
「単独任務は嫌ですか?」
「嫌っていうか…まだみんなと一緒に任務がしたいなーって…私情を挟んじゃだめって分かってるけど。」
「まぁ、そうですね。あなたはまだ一年ですから、焦ることもないでしょう。等級が上がれば危険な任務も増える。今は昇級よりも経験を積むことの方が大事かもしれませんね。」
「うん…ありがとう建人くん。」
「この後予定がなければたまには一緒に食事でもしますか?」
「え!ほんと?嬉しい!」
「あ!!待つっス!!」
七海のお誘いに即答しようとしていた所へ新田からストップがかかった。
「どしたの?新田ちゃん?」
「伊地知サンがナマエサンに伝言があるらしく、任務が終わったら高専へ直帰するように言われてるんスよ…」
「えー?伝言なら電話とかでよくない?」
「いやー内容知らされてないんで何とも…すみませんッス。」
「いや、新田ちゃんは悪くないよ。でも建人くんとごはん…行きたかったなぁ…」
「食事は今度にしましょう。伏黒君も誘ってぜひ一緒に。」
「……うん。」
少々歯切れの悪い返事に疑問を持った七海だったが、自分と食事に行けないことからくるものだと思い、さして気に留める事はなかったが。実のところはそうではなかった。あれからナマエは恵とまともに話せていない。キスを拒んでしまったという気まずさと、そもそも任務が重ならなかったのもある。避けているわけではないがタイミングも合わず、一週間も経ってしまった。
今のままでいいとは思っていないナマエだったが、かといってアクションを起こす勇気もない。そうじゃない人もいるだろうが、人間というのは気が乗らないことをどうしても後回しにしてしまう生き物だ…と自分に言い訳をするしかなかった。