第53話 それぞれの新年
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「相変わらずクソ広ぇ部屋だなぁ、おい。さすが大企業の課長様は住んでる部屋も贅沢なこって。おひとり様でこんなに部屋いらねぇだろ。」
「おい、そっちは寝室だ。勝手にうろつくんじゃねぇよ。」
自宅に招いて開口一番、相変わらずの悪態を付いたのは、母親に勝手に付いて来た伯父であるケニーだ。手当たり次第に部屋中を漁り始めて制止するにも一苦労だった。
「ねぇリヴァイ、ナマエちゃんはいつ来るの?」
「昼頃に来るって連絡があった。」
「あら、お昼ごはんを一緒に作るのは難しそうね。」
「まだこれ以上増やす気か。」
母親…クシェルはケニーの様子についてまるっきり放置だ。いつものことだと割り切っているらしい。
クシェルが持つ両手いっぱいのそれは重箱だった。受け取りながら中身を聞くと今回の為に節料理を頑張って作ったのだと嬉しそうに話している。だが、さすがのナマエでもびっくりの量だ。さらにここでも作るつもりだったらしい。それに―
「あいつは料理苦手だっただろう。」
そう、ナマエは料理があまり得意ではない。俺に振舞ってくれた時もスマホを片時も離さず、レシピサイトの指示通りに作っていた。そのおかげか味は悪くなかったが。
「お手伝いしてほしいんじゃなくて一緒にキッチンに立ちたいだけよ。それにお料理なら私が教えてあげられるわ。家は男所帯だったでしょう?娘と一緒にお料理するのは母親の夢なのよ。」
娘、か。クシェルは昔からやたらとナマエのことを自分の娘のように可愛がっていた。二人とも比較的穏やかな性格であるせいか馬は合っていたようだ。
「そうか。晩飯は一緒に作ればいい。」
俺がそう言うとクシェルは嬉しそうに笑った。
「おいリヴァイ!ナマエが来るまでまだ時間があるだろう。先に始めるぞ。こっち来い!」
リビングから声がしたと思ったらケニーが一升瓶を片手に手招きをしてくる。いつの間に。
クシェルに促されたこともあり少し息を吐いてから自分もリビングへと向かった。
正月の特番を見ながらそういえば二人とまともに会うのも随分久し振りだなと思う。実家にもしばらく帰っていなかった。積もる話があるかといえばそうでもないが。エレンの母であるカルラがクシェルと友人で、そうなると必然的にエレンや親戚に当たるミカサの話になる。あいつらの話は職場だけで十分だ。
「ミカサはしっかり結婚してんのにお前は何やってんだか。いつになったらナマエは嫁に来るんだ?エレンを見習えよ。俺ぁナマエのドレス姿をいつ見れるのか楽しみにしてるんだがなぁ。」
「兄さん、リヴァイ達には二人のペースってものがあるのよ。仕事の事情だってあるだろうし、ねぇリヴァイ?」
せっかくの正月ということで自宅から升を持参してきていた。こういうのは雰囲気が大事らしい。ぐいっと飲み干し口端から零した酒を手の甲で拭いながらケニーが話す内容に驚きが隠せない。エレンを見習えなど、一生聞くことのないセリフだと思っていた。それに、まさかのクシェルまでその話に乗ってくる。待て。なぜそんな話になる。
「俺たちは別にそういう約束をしてねぇし付き合ってるわけでもねぇよ。」
「んなこたぁ知ってるよ。だが、お前は嫁にしたいんだろう?ずーっと昔からな。」
「な…」
「私もナマエちゃんがお嫁に来てくれるなら大歓迎だわ。」
ケニーはともかく母親にまでそんなことを言われるとは思わなかった。クシェルは酒に弱くないはずだ。むしろ女手一つで俺を育てるために酒の相手をする仕事をしていたくらいだ。俺よりもよっぽど強い。酔っているわけではなさそうだ。
嫁に、と考えたことはもちろんある。だが、今の関係のこともあり傍にナマエがいるという事実の方が大事だった。片親で育ったせいかそこまで婚姻関係に重要性を感じたこともない。だから、いつかは…とそれこそ夢見がちな現実離れした願望を持っているくらいだった。―しかしだ。
ふと過ぎるのは仕事中ぴったりと隣を独占する、あの馬面だ。先日の宣言を気にしてないわけでもない。あいつらの仕事での息の合い様を見ていると不安を感じないわけがない。
あれから数年経った。ジャンのこともある。今のままではダメだと事情を知らない二人にまで言われている気がした。
「なーに考え込んでんだ。極悪人みてぇな面になってるぜぇ。」
「うるせぇ。ケニーほどじゃねぇよ。…その話、ナマエにはするなよ。混乱させちまう。」
「分かってるわ。あなた達の事に外野が色々と言ってはいけないわよね。余計な事を言ってごめんなさいね。兄さんも。お願いしますね?今日は楽しく過ごしましょう?」
「わーかってるよ。」
この話題がひと段落したところで。見計らったようにインターホンが鳴った。おそらくナマエだ。早く出ろと急かすケニーを制してモニターを覗くと。
確かにナマエも映っている。画面の端の方に。だが、画面一杯に映し出されたのは。
『リヴァイ課長!明けましておめでとうございます!』
『寒いから早く開けて。』
エレン、ミカサ。何故お前らがここに来てんだ。
「おい、そっちは寝室だ。勝手にうろつくんじゃねぇよ。」
自宅に招いて開口一番、相変わらずの悪態を付いたのは、母親に勝手に付いて来た伯父であるケニーだ。手当たり次第に部屋中を漁り始めて制止するにも一苦労だった。
「ねぇリヴァイ、ナマエちゃんはいつ来るの?」
「昼頃に来るって連絡があった。」
「あら、お昼ごはんを一緒に作るのは難しそうね。」
「まだこれ以上増やす気か。」
母親…クシェルはケニーの様子についてまるっきり放置だ。いつものことだと割り切っているらしい。
クシェルが持つ両手いっぱいのそれは重箱だった。受け取りながら中身を聞くと今回の為に節料理を頑張って作ったのだと嬉しそうに話している。だが、さすがのナマエでもびっくりの量だ。さらにここでも作るつもりだったらしい。それに―
「あいつは料理苦手だっただろう。」
そう、ナマエは料理があまり得意ではない。俺に振舞ってくれた時もスマホを片時も離さず、レシピサイトの指示通りに作っていた。そのおかげか味は悪くなかったが。
「お手伝いしてほしいんじゃなくて一緒にキッチンに立ちたいだけよ。それにお料理なら私が教えてあげられるわ。家は男所帯だったでしょう?娘と一緒にお料理するのは母親の夢なのよ。」
娘、か。クシェルは昔からやたらとナマエのことを自分の娘のように可愛がっていた。二人とも比較的穏やかな性格であるせいか馬は合っていたようだ。
「そうか。晩飯は一緒に作ればいい。」
俺がそう言うとクシェルは嬉しそうに笑った。
「おいリヴァイ!ナマエが来るまでまだ時間があるだろう。先に始めるぞ。こっち来い!」
リビングから声がしたと思ったらケニーが一升瓶を片手に手招きをしてくる。いつの間に。
クシェルに促されたこともあり少し息を吐いてから自分もリビングへと向かった。
正月の特番を見ながらそういえば二人とまともに会うのも随分久し振りだなと思う。実家にもしばらく帰っていなかった。積もる話があるかといえばそうでもないが。エレンの母であるカルラがクシェルと友人で、そうなると必然的にエレンや親戚に当たるミカサの話になる。あいつらの話は職場だけで十分だ。
「ミカサはしっかり結婚してんのにお前は何やってんだか。いつになったらナマエは嫁に来るんだ?エレンを見習えよ。俺ぁナマエのドレス姿をいつ見れるのか楽しみにしてるんだがなぁ。」
「兄さん、リヴァイ達には二人のペースってものがあるのよ。仕事の事情だってあるだろうし、ねぇリヴァイ?」
せっかくの正月ということで自宅から升を持参してきていた。こういうのは雰囲気が大事らしい。ぐいっと飲み干し口端から零した酒を手の甲で拭いながらケニーが話す内容に驚きが隠せない。エレンを見習えなど、一生聞くことのないセリフだと思っていた。それに、まさかのクシェルまでその話に乗ってくる。待て。なぜそんな話になる。
「俺たちは別にそういう約束をしてねぇし付き合ってるわけでもねぇよ。」
「んなこたぁ知ってるよ。だが、お前は嫁にしたいんだろう?ずーっと昔からな。」
「な…」
「私もナマエちゃんがお嫁に来てくれるなら大歓迎だわ。」
ケニーはともかく母親にまでそんなことを言われるとは思わなかった。クシェルは酒に弱くないはずだ。むしろ女手一つで俺を育てるために酒の相手をする仕事をしていたくらいだ。俺よりもよっぽど強い。酔っているわけではなさそうだ。
嫁に、と考えたことはもちろんある。だが、今の関係のこともあり傍にナマエがいるという事実の方が大事だった。片親で育ったせいかそこまで婚姻関係に重要性を感じたこともない。だから、いつかは…とそれこそ夢見がちな現実離れした願望を持っているくらいだった。―しかしだ。
ふと過ぎるのは仕事中ぴったりと隣を独占する、あの馬面だ。先日の宣言を気にしてないわけでもない。あいつらの仕事での息の合い様を見ていると不安を感じないわけがない。
あれから数年経った。ジャンのこともある。今のままではダメだと事情を知らない二人にまで言われている気がした。
「なーに考え込んでんだ。極悪人みてぇな面になってるぜぇ。」
「うるせぇ。ケニーほどじゃねぇよ。…その話、ナマエにはするなよ。混乱させちまう。」
「分かってるわ。あなた達の事に外野が色々と言ってはいけないわよね。余計な事を言ってごめんなさいね。兄さんも。お願いしますね?今日は楽しく過ごしましょう?」
「わーかってるよ。」
この話題がひと段落したところで。見計らったようにインターホンが鳴った。おそらくナマエだ。早く出ろと急かすケニーを制してモニターを覗くと。
確かにナマエも映っている。画面の端の方に。だが、画面一杯に映し出されたのは。
『リヴァイ課長!明けましておめでとうございます!』
『寒いから早く開けて。』
エレン、ミカサ。何故お前らがここに来てんだ。