第51話 宣戦布告
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『覚悟しておいてくださいね。』
何言ってんだ。何かっこつけてんだ。
今日の俺はどうかしていた。そもそもあんな場所で言うつもりなんてなかった。そしてこんなに早く伝えるつもりもなかった。もっと雰囲気のある…そう、せめてこの店ならまだマシだったかもしれない。
マスターはクセが強いが一見するとイケメンだしナマエさんの同級生と言う事もあり気心も知れているので彼女もリラックスしていただろう。この人が彼女の最初の男だということは…まぁ今は忘れておく。
落ち着いた雰囲気のBGMをバックに彼女の大好きなラフロイグを一緒に楽しみながらさりげなくも気持ちを込めて自分の想いを伝えられたらどんなに良かっただろうか。
「おいジャン。人の店で辛気臭い顔すんじゃねぇよ。お前のせいで客が減ったらどうしてくれんだ。」
「…すみませんね。元々こんな顔なもんで。」
今思っているちょっと失礼なことを目の前のこの人に伝えると機嫌を損ねてしまうことは間違いないので黙っておく。
「で?なんかあったか?」
「…別になんもないですよ。」
「なんもねぇって顔してねぇから聞いてやってんだろうが。いいから言ってみ?」
「バカにされるか笑われるのが目に見えてるんで大丈夫です。」
「ほんっと可愛くねぇ奴だな。」
「知ってます。」
ホントは誰かに聞いてもらいたい気もするが、この人は勘弁だ。だからと言って他に打ち明けられる人もいない。どうするかと思っているとファーランさんは、それなら…と餌を寄こしてきた。
「オムライス食うか?」
「奢りですか?」
「ちゃっかりしてんな。分かったよ。」
「じゃあ卵多めで。」
ほんと可愛くねぇ。と舌打ちをしながらキッチンブースへと向かったファーランさんを見て少しだが気持ちが楽になった。なんだかんだでこの人は面倒見がいいのだ。俺の様子を見て心配してくれているのは本当なんだろう。
ボールに割り入れた卵をカシャカシャとかき混ぜる後姿を見ながら俺は今日の事を思い出していた。
今日は何もかもが良くなかった。
朝の情報番組で言っていた通り記録的寒波がやってきて空模様は大荒れ、雷も止まなかった。一日中体が芯から凍りそうなほどクソ寒かったことから始まり。
いつも一緒の電車のはずのナマエさんから寝坊したから先に行って欲しいという内容のメッセージが入り嫌でも昨夜の二人のことを想像してしまったり。
出勤したらしたでリヴァイ課長の腕時計が変わっているのを発見してしまい、更にエルドさんたちの「プレゼントですか?」なんていう会話のせいでナマエさんからだと察してしまったり。
ナマエさんに朝の挨拶をした時にこれまた見たことのないネックレスをしている事でこっちもか、と思ってしまったり。
午後から向かったピクシス常務の所でまさかのピクシス常務から二人が昨晩高級ホテルでディナーに行っていたことを聞かされたり。
極めつけはその帰りだ。まさかあんなことになるなんて。
俺ってこんなに女々しい奴だったのか…と自己嫌悪に陥っている所へファーランさんが戻ってきた。
「ほれ。お望み通り卵増量キャンペーンだ。」
「っす。」
出来立てのそれは、今すぐ食ってくれと言わんばかりに俺の食欲を急上昇させた。相変わらずうまそうだ。今日は茶化した爪楊枝が刺さっていないのはファーランさんも気遣ってくれたらしい。
「いただきます。」
「食ったら話聞かせろよ。」
今日は食欲も湧かず、さっきまでは帰ったら茶漬け程度で済ませようと思っていたのが嘘みたいだ。
卵増量というだけあって食べ応えがあったがどんどん俺の胃袋に収まっていき、完食するのはあっという間だった。この人のオムライスはこれまで食べた中で二番目にうまい。一番が誰かは絶対誰にも言わねぇけど。
「ごちそうさまでした。うまかったっす。ありがとうございます。」
「はや。まぁ、どういたしまして。んで?」
終わった途端に催促された。早速か。
「…ナマエさんに、言ってしまいました。」
「何を。」
「……。」
「もしかして、告っちゃった感じ?」
「……。」
無言は肯定を受け取ったらしい。マジ?と聞かれたので、マジ。と答えた。
「いつ。」
「今日。」
「どこで。」
「エレベーターの中。」
「は?」
ファーランさんの間抜けな声を聞いて、そうなるだろうなと思った。俺でもそうなる。
「なんでそんな色気もくそもねぇ場所で。」
「俺だって言うつもりなんかなかったんすよ。でも勢いっつーかなんつーか。」
「それで?ナマエの返事は?」
「もちろんNOですよ。」
「…だろうな。で?諦めんの?」
「んなわけないでしょ。なんか最終的に宣戦布告みたいになっちまいました。」
「ははっ、何それ。詳しく話せよ。」
ここまで話したらもういいか、と思いながらファーランさんに話した。
「え!?あいつらセックスしてんの!?」
実際のセリフについてはこっぱずかしくて伏せたが、大体の流れを話した。
ファーランさんの最初の感想はこれだった。
「声がでけぇ。あと、ストレートすぎです。他の客に聞こえますよ。」
「マジか、マジか。うわー。」
聞いちゃいねぇ。
というかファーランさんは知っているとばかり思っていた。
距離感が近いだけだと思っていたらしい。そして、課長にはナマエさんに手を出す度胸がないと思っていたらしい。
「てことは…あれか。俺らは穴兄d…」
「言い方!殴りますよ。」
「…すまん。」
でかい声で更に下ネタをぶっこんでこようとしたので慌てて止めた。
「あいつらの関係はまぁ、良いとして、いや、良くねぇけど。」
「どっちですか。」
「いや、流石にセフレまがいな関係だとは思ってなかったからな。まぁ、それはいったん置いといて。お前、これからどうすんの?ナマエガッチガチになっちまったんだろ?」
それだ。ナマエさんは完全に俺に壁を作ってしまった。
どうするか…と思いながら今日のやり取りを思い返した。
何言ってんだ。何かっこつけてんだ。
今日の俺はどうかしていた。そもそもあんな場所で言うつもりなんてなかった。そしてこんなに早く伝えるつもりもなかった。もっと雰囲気のある…そう、せめてこの店ならまだマシだったかもしれない。
マスターはクセが強いが一見するとイケメンだしナマエさんの同級生と言う事もあり気心も知れているので彼女もリラックスしていただろう。この人が彼女の最初の男だということは…まぁ今は忘れておく。
落ち着いた雰囲気のBGMをバックに彼女の大好きなラフロイグを一緒に楽しみながらさりげなくも気持ちを込めて自分の想いを伝えられたらどんなに良かっただろうか。
「おいジャン。人の店で辛気臭い顔すんじゃねぇよ。お前のせいで客が減ったらどうしてくれんだ。」
「…すみませんね。元々こんな顔なもんで。」
今思っているちょっと失礼なことを目の前のこの人に伝えると機嫌を損ねてしまうことは間違いないので黙っておく。
「で?なんかあったか?」
「…別になんもないですよ。」
「なんもねぇって顔してねぇから聞いてやってんだろうが。いいから言ってみ?」
「バカにされるか笑われるのが目に見えてるんで大丈夫です。」
「ほんっと可愛くねぇ奴だな。」
「知ってます。」
ホントは誰かに聞いてもらいたい気もするが、この人は勘弁だ。だからと言って他に打ち明けられる人もいない。どうするかと思っているとファーランさんは、それなら…と餌を寄こしてきた。
「オムライス食うか?」
「奢りですか?」
「ちゃっかりしてんな。分かったよ。」
「じゃあ卵多めで。」
ほんと可愛くねぇ。と舌打ちをしながらキッチンブースへと向かったファーランさんを見て少しだが気持ちが楽になった。なんだかんだでこの人は面倒見がいいのだ。俺の様子を見て心配してくれているのは本当なんだろう。
ボールに割り入れた卵をカシャカシャとかき混ぜる後姿を見ながら俺は今日の事を思い出していた。
今日は何もかもが良くなかった。
朝の情報番組で言っていた通り記録的寒波がやってきて空模様は大荒れ、雷も止まなかった。一日中体が芯から凍りそうなほどクソ寒かったことから始まり。
いつも一緒の電車のはずのナマエさんから寝坊したから先に行って欲しいという内容のメッセージが入り嫌でも昨夜の二人のことを想像してしまったり。
出勤したらしたでリヴァイ課長の腕時計が変わっているのを発見してしまい、更にエルドさんたちの「プレゼントですか?」なんていう会話のせいでナマエさんからだと察してしまったり。
ナマエさんに朝の挨拶をした時にこれまた見たことのないネックレスをしている事でこっちもか、と思ってしまったり。
午後から向かったピクシス常務の所でまさかのピクシス常務から二人が昨晩高級ホテルでディナーに行っていたことを聞かされたり。
極めつけはその帰りだ。まさかあんなことになるなんて。
俺ってこんなに女々しい奴だったのか…と自己嫌悪に陥っている所へファーランさんが戻ってきた。
「ほれ。お望み通り卵増量キャンペーンだ。」
「っす。」
出来立てのそれは、今すぐ食ってくれと言わんばかりに俺の食欲を急上昇させた。相変わらずうまそうだ。今日は茶化した爪楊枝が刺さっていないのはファーランさんも気遣ってくれたらしい。
「いただきます。」
「食ったら話聞かせろよ。」
今日は食欲も湧かず、さっきまでは帰ったら茶漬け程度で済ませようと思っていたのが嘘みたいだ。
卵増量というだけあって食べ応えがあったがどんどん俺の胃袋に収まっていき、完食するのはあっという間だった。この人のオムライスはこれまで食べた中で二番目にうまい。一番が誰かは絶対誰にも言わねぇけど。
「ごちそうさまでした。うまかったっす。ありがとうございます。」
「はや。まぁ、どういたしまして。んで?」
終わった途端に催促された。早速か。
「…ナマエさんに、言ってしまいました。」
「何を。」
「……。」
「もしかして、告っちゃった感じ?」
「……。」
無言は肯定を受け取ったらしい。マジ?と聞かれたので、マジ。と答えた。
「いつ。」
「今日。」
「どこで。」
「エレベーターの中。」
「は?」
ファーランさんの間抜けな声を聞いて、そうなるだろうなと思った。俺でもそうなる。
「なんでそんな色気もくそもねぇ場所で。」
「俺だって言うつもりなんかなかったんすよ。でも勢いっつーかなんつーか。」
「それで?ナマエの返事は?」
「もちろんNOですよ。」
「…だろうな。で?諦めんの?」
「んなわけないでしょ。なんか最終的に宣戦布告みたいになっちまいました。」
「ははっ、何それ。詳しく話せよ。」
ここまで話したらもういいか、と思いながらファーランさんに話した。
「え!?あいつらセックスしてんの!?」
実際のセリフについてはこっぱずかしくて伏せたが、大体の流れを話した。
ファーランさんの最初の感想はこれだった。
「声がでけぇ。あと、ストレートすぎです。他の客に聞こえますよ。」
「マジか、マジか。うわー。」
聞いちゃいねぇ。
というかファーランさんは知っているとばかり思っていた。
距離感が近いだけだと思っていたらしい。そして、課長にはナマエさんに手を出す度胸がないと思っていたらしい。
「てことは…あれか。俺らは穴兄d…」
「言い方!殴りますよ。」
「…すまん。」
でかい声で更に下ネタをぶっこんでこようとしたので慌てて止めた。
「あいつらの関係はまぁ、良いとして、いや、良くねぇけど。」
「どっちですか。」
「いや、流石にセフレまがいな関係だとは思ってなかったからな。まぁ、それはいったん置いといて。お前、これからどうすんの?ナマエガッチガチになっちまったんだろ?」
それだ。ナマエさんは完全に俺に壁を作ってしまった。
どうするか…と思いながら今日のやり取りを思い返した。