第50話 聖なる夜
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コース料理も終盤、という所でナマエが思い出したように自分の荷物をゴソゴソと漁りだした。
そしてテーブルにコトリと置かれた二つの箱。
一つは小さめの正方形、もう一つは縦長の薄い箱だ。
リボンで装飾されたそれは一目で俺へのプレゼントだと分かってしまった。
「リヴァイ、改めて。お誕生日おめでとう。」
穏やかな笑顔で二つの箱をそっとこちらに寄せてきた。
「二つ…か?」
「言ったでしょ?誕生日プレゼントとクリスマスプレゼントだよ。結局何が欲しいか教えてくれなかったから自分で選んじゃった。だから、中身見ても文句禁止だよ?」
欲しいものは実は伝えているが、まぁ、分からないだろうな。それに、ナマエが自分のために選んだものだ。気に入らないわけがない。
開けていいかと一言添えて、ナマエの返事を受けてからそっと二つの箱に手を伸ばす。
まずは小さい箱から。リボンに手をかけ慎重に解く。包装紙も極力破らないよう丁寧に剥がした。そんな様子を見たナマエは眉尻を下げて「そこまで丁寧に剥がすほどのものでもないよ。」と苦笑いだ。
包装紙を解いて現れたのは、俺が欲しいと思っていた某ブランドの腕時計だった。
「これは…。」
「腕時計、最近調子悪かったでしょ?」
確かに、最近ベルト部分の緩みが気になってはいた。だが、ナマエにそのことを話した記憶はない。それに…。
「この時計が欲しいって何故分かった?」
「あ、もしかしてこの時計狙ってた?リヴァイが買う前でよかったぁ。リヴァイなら次の時計も同じブランドにするだろうなって思って、その中で一番好きそうなやつにしたんだよ。」
ニコニコと嬉しそうに選んだ経緯を話すナマエに何とも言えない気持ちになった。
時計の調子が悪かったことに気付いていたことも、俺の好みをしっかり把握していることも嬉しくてたまらない。それなのにどうして俺の気持ちだけがこいつに伝わらないのか。はっきりと言葉にしない俺自身の問題であることは百も承知だが。それ以外は何も言わなくても伝わる事ばかりなのに。
贈り物に腕時計。恐らく隠された意味までは深く考えずに選んだんだろう。
「高かっただろう。無理しやがって。」
ただ、嬉しかったことは紛れもない事実だ。素直にありがとうと言えばいいのに俺の口から出たのは相変わらずの余計な一言だった。
「今年はちょっと奮発しちゃったよ。だって、30だよ?節目じゃん。だから、来年は大したことなくても文句言わないでね?」
舌を出していたずらっぽく笑うナマエに文句なんか言うかよ、と返した。
来年も変わらず祝ってもらえるらしい。
もう一つの箱に手を伸ばそうとすると、ナマエから静止がかかった。
「あ、そっちがクリスマスプレゼントなんだけど。そっちは期待しちゃダメだよ。誕生日プレゼントの方で奮発しちゃったから!」
ナマエからの贈り物であればどんな安物でも関係ないんだが。そんなことはこいつには分からねぇだろうな。
箱の形状から何となく予想はついていたが、中身はやはりというか、ネクタイだった。
深緑をベースに紺の翼が控えめに入っているそれは、ナマエが俺に似合うものをと考えてくれたんだろう。
「ありがとうな。大切にする。」
思ったよりもすんなり口から溢れたその言葉にナマエも一瞬驚いたようだが、すぐに破顔し嬉しそうにどういたしまして、と笑った。
その後、デザートまで食べ終え、幸せいっぱいという表情のナマエをしっかり目に焼き付け。
このホテルの名前にもあるように代名詞である庭園で期間限定で飾られているクリスマスツリーやイルミネーションを二人で見た。
本館と別館を繋ぐ連絡通路のような場所に構える空中庭園と呼ばれるここは、成程周りが騒ぐだけの事はある。特に本物のもみの木を実際に持ってきたというツリーは確かに圧巻だった。
木に電球を付けて照らして何がいいんだと思っていたが、ナマエの喜ぶ顔を見て、悪くないと思えた。
何だかんだと理由をつけてナマエを家まで連れ帰り、久しぶりに体を重ねた。本来であれば心も体も満たされて、ナマエを腕に閉じ込めたまま今頃は夢の中…のはずだったが。
目を閉じてすやすやと眠るナマエのつむじを見ながら俺はずっと考え事をしていた。
これまでも、事に及ぶ前は照れたり少し抵抗したりということはあった。今回もそれは変わらなかったが。でも、どこかが違う。具体的にというと分からないが、何かが違う。
…いや、そうじゃない。気付きたくないだけだ。
自分とナマエとの距離の変化に。
そう言えばと、ベットのサイドテーブルの引き出しに入れていた物をナマエを起こさないように取り出す。
小さな花をモチーフにしたネックレス。クリスマスプレゼントとして買った。モルガナイトと呼ばれるピンクの石が花の芯の部分にあしらわれた、ナマエに似合いそうだと思ったそれ。初め見た目で選んだそれは偶然にもナマエの誕生石でもあることが分かり、迷わず購入した。
本当は起きている時に渡すつもりだったそれを、そっとナマエの首に通す。月明かりだけの薄暗い部屋でもナマエの白い肌によく似合っていることが見て取れ、そっと息を吐いた。
店員から石の意味についても聞かされた。
花言葉に強いナマエが石についてどこまで詳しいかは知らないが、気付いて欲しい気持ちとそうでない気持ちが混ざり合い。
情けねぇな…と思わず独りごちた。
目を瞑り無理矢理にでも眠りにつかないと、このままだとこいつのつむじを眺めながら朝がやってきてしまいそうだ。
腕の中で寝息を立てるナマエがこれ以上離れていかないように。せめて物理的には離さまいとぐっと抱き寄せ、そのまま目を閉じた。
そしてテーブルにコトリと置かれた二つの箱。
一つは小さめの正方形、もう一つは縦長の薄い箱だ。
リボンで装飾されたそれは一目で俺へのプレゼントだと分かってしまった。
「リヴァイ、改めて。お誕生日おめでとう。」
穏やかな笑顔で二つの箱をそっとこちらに寄せてきた。
「二つ…か?」
「言ったでしょ?誕生日プレゼントとクリスマスプレゼントだよ。結局何が欲しいか教えてくれなかったから自分で選んじゃった。だから、中身見ても文句禁止だよ?」
欲しいものは実は伝えているが、まぁ、分からないだろうな。それに、ナマエが自分のために選んだものだ。気に入らないわけがない。
開けていいかと一言添えて、ナマエの返事を受けてからそっと二つの箱に手を伸ばす。
まずは小さい箱から。リボンに手をかけ慎重に解く。包装紙も極力破らないよう丁寧に剥がした。そんな様子を見たナマエは眉尻を下げて「そこまで丁寧に剥がすほどのものでもないよ。」と苦笑いだ。
包装紙を解いて現れたのは、俺が欲しいと思っていた某ブランドの腕時計だった。
「これは…。」
「腕時計、最近調子悪かったでしょ?」
確かに、最近ベルト部分の緩みが気になってはいた。だが、ナマエにそのことを話した記憶はない。それに…。
「この時計が欲しいって何故分かった?」
「あ、もしかしてこの時計狙ってた?リヴァイが買う前でよかったぁ。リヴァイなら次の時計も同じブランドにするだろうなって思って、その中で一番好きそうなやつにしたんだよ。」
ニコニコと嬉しそうに選んだ経緯を話すナマエに何とも言えない気持ちになった。
時計の調子が悪かったことに気付いていたことも、俺の好みをしっかり把握していることも嬉しくてたまらない。それなのにどうして俺の気持ちだけがこいつに伝わらないのか。はっきりと言葉にしない俺自身の問題であることは百も承知だが。それ以外は何も言わなくても伝わる事ばかりなのに。
贈り物に腕時計。恐らく隠された意味までは深く考えずに選んだんだろう。
「高かっただろう。無理しやがって。」
ただ、嬉しかったことは紛れもない事実だ。素直にありがとうと言えばいいのに俺の口から出たのは相変わらずの余計な一言だった。
「今年はちょっと奮発しちゃったよ。だって、30だよ?節目じゃん。だから、来年は大したことなくても文句言わないでね?」
舌を出していたずらっぽく笑うナマエに文句なんか言うかよ、と返した。
来年も変わらず祝ってもらえるらしい。
もう一つの箱に手を伸ばそうとすると、ナマエから静止がかかった。
「あ、そっちがクリスマスプレゼントなんだけど。そっちは期待しちゃダメだよ。誕生日プレゼントの方で奮発しちゃったから!」
ナマエからの贈り物であればどんな安物でも関係ないんだが。そんなことはこいつには分からねぇだろうな。
箱の形状から何となく予想はついていたが、中身はやはりというか、ネクタイだった。
深緑をベースに紺の翼が控えめに入っているそれは、ナマエが俺に似合うものをと考えてくれたんだろう。
「ありがとうな。大切にする。」
思ったよりもすんなり口から溢れたその言葉にナマエも一瞬驚いたようだが、すぐに破顔し嬉しそうにどういたしまして、と笑った。
その後、デザートまで食べ終え、幸せいっぱいという表情のナマエをしっかり目に焼き付け。
このホテルの名前にもあるように代名詞である庭園で期間限定で飾られているクリスマスツリーやイルミネーションを二人で見た。
本館と別館を繋ぐ連絡通路のような場所に構える空中庭園と呼ばれるここは、成程周りが騒ぐだけの事はある。特に本物のもみの木を実際に持ってきたというツリーは確かに圧巻だった。
木に電球を付けて照らして何がいいんだと思っていたが、ナマエの喜ぶ顔を見て、悪くないと思えた。
何だかんだと理由をつけてナマエを家まで連れ帰り、久しぶりに体を重ねた。本来であれば心も体も満たされて、ナマエを腕に閉じ込めたまま今頃は夢の中…のはずだったが。
目を閉じてすやすやと眠るナマエのつむじを見ながら俺はずっと考え事をしていた。
これまでも、事に及ぶ前は照れたり少し抵抗したりということはあった。今回もそれは変わらなかったが。でも、どこかが違う。具体的にというと分からないが、何かが違う。
…いや、そうじゃない。気付きたくないだけだ。
自分とナマエとの距離の変化に。
そう言えばと、ベットのサイドテーブルの引き出しに入れていた物をナマエを起こさないように取り出す。
小さな花をモチーフにしたネックレス。クリスマスプレゼントとして買った。モルガナイトと呼ばれるピンクの石が花の芯の部分にあしらわれた、ナマエに似合いそうだと思ったそれ。初め見た目で選んだそれは偶然にもナマエの誕生石でもあることが分かり、迷わず購入した。
本当は起きている時に渡すつもりだったそれを、そっとナマエの首に通す。月明かりだけの薄暗い部屋でもナマエの白い肌によく似合っていることが見て取れ、そっと息を吐いた。
店員から石の意味についても聞かされた。
花言葉に強いナマエが石についてどこまで詳しいかは知らないが、気付いて欲しい気持ちとそうでない気持ちが混ざり合い。
情けねぇな…と思わず独りごちた。
目を瞑り無理矢理にでも眠りにつかないと、このままだとこいつのつむじを眺めながら朝がやってきてしまいそうだ。
腕の中で寝息を立てるナマエがこれ以上離れていかないように。せめて物理的には離さまいとぐっと抱き寄せ、そのまま目を閉じた。