第48話 俺の名前は
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今日は別段難しい仕事もなく、無事定時に業務を終わらせる事ができた。課長からバーの場所を聞き出した俺とペトラは、課長から雷を落とされているアシュロフさんを横目に早々に会社を出た。
とにかくジャンとナマエさんよりも先にバーに着くため俺たちは急いでいたから、アシュロフさんがどうなったのかは知らない。
グンタは課長に呼び止められていた。どうやら今夜はエレンと3人で食事に行くらしい。課長一人だとエレンは手に負えないからと言って誘われていた。
オルオに関してはペトラが追い返していた。かわいそうだとは思ったが確かにオルオはうるさいので今回に関しては邪魔になりそうだ。
課長から聞いたその場所は、繁華街から少し外れた郊外のとあるビルにあった。地下にあるその店は、ウエスタンドアが印象的な落ち着いた雰囲気だ。
ウエスタンドアを潜り出迎えてくれたのは、金髪がよく似合う明るい笑顔が印象的なマスターだった。どうやらこの人が課長たちの同級生らしい。課長の友人にしては明るくて社交的な人だと思った。いや、別に課長が暗いとかそういうことは断じて言っていない。断じて。
横でペトラが「イケメン…眩しい。」と呟いていた。確かに整った顔立ちだ。課長には負けるが。
カウンターにするかと聞かれたが、それだとジャンたちに一発で見つかるのでその後ろのソファ席に座ることにした。ここなら覗き込まれない限りは見つからないし、カウンターに2人が座ってくれればばっちり見る事ができる。
向かい合わせに座らずに2人ともカウンターから背を向けて座る様子を見て、マスターに不思議がられたが気にしないでくださいと言って凌いだ。
マスターは、仲がいいんだなと言っていたのでカップルだと思われたらしい。まぁいいか。
「とりあえずお腹空かない?ここ、フードメニューが充実してるらしいしさ。」
「先に飯食っとくか。」
マスターにメニューを貰い広げてみると、確かに品数が豊富だ。一見パスタやドリアなどの洋食が目立つが、よく見ると親子丼や味噌煮込みうどん、さらには麻婆豆腐にエビチリとジャンルお構いなしのメニューに正直驚いた。本当にここはバーか?
注文の際にマスターに聞いてみた。
「あぁ、うちの常連っつーか知り合いにな、ワガママな食いしん坊がいてな。あれ食いたいこれ食いたいってうるさいんだよな。それが思いの外他のお客さんにも好評でさ。気づいたらこんなメニューになってたんだよ。」
知り合い…。マスターは文句を言いつつもすごく優しい顔をしているので、なんとなくだがナマエさんの事かもしれないと思った。
マスターのオススメであるオムライスを2人とも注文したが、言われるだけあってかなり美味かった。
よくオシャレな店で出されるような半熟トロトロオムレツを割り開くようなやつではなく、ラグビーボールみたいに整った形でやってきたそれは、昔母親が作ってくれたような、チキンライスとケチャップがよく合う懐かしい味だった。
ちなみに俺のオムライスにはお子様ランチみたいに爪楊枝で作った国旗がささっており、ペトラのオムライスにはケチャップでハートが書かれていたので思わず笑ってしまった。「女の子限定な」と白い歯を見せて惜しげもなくイケメンスマイルを出していたが、彼氏らしき俺が居るのにこういうことをサラッとできるこのマスターは強者だ。と思った。
食事を終えて、ペトラと酒を酌み交わしながら2人の登場を待っているが、これがなかなか来ない。今日は2人とも急ぎの仕事は無かったはずだが。
「ねぇ、まさか今日来ないとかじゃないよね?」
「どうだろうな。でもナマエさんはここに来たいって言ってたぞ。」
「でも、遅くない?」
不安に駆られながら待っていたら、ようやく入り口のウエスタンドアの軋む音がした。
「おぅナマエ!来てくれたのか!…って、またお前か。しばらくここには来ねぇんじゃなかったか?ジャン坊。」
「それ、やめて下さい。ったくアルミンの奴余計なこと話しやがって。ナマエさんがどうしてもって言うんで付き合ってるだけですよ。」
「相変わらずかわいくねぇなぁ。俺はお前よりもリヴァイに会いたかったよ。なぁナマエ、最近あいつ来てねぇから次はジャンとじゃなくてリヴァイと来いよな!」
「あははっ、ごめんねファーラン。リヴァイも誘おうかと思ったんだけど今日は別の用事があったみたいだよ。また今度連れてくるね!」
「俺はナマエさんと2人だけの方がいいですけどね。」
「またそういうこと言う!ほら、座ろう?」
((………。))
とりあえず、俺とペトラは顔を見合わせた。
俺たちの座るソファは背もたれが高めなのでなんとかバレずに済みそうだ。
いや、そんなことはどうでもいい。
「(ねぇ、さっき…)」
「(あぁ、確かに聞こえた。)」
ナマエさんが、課長の事を名前で呼んでいた。なんの違和感もなく。
確かにおかしいと思っていた。いくら上司とはいえ、同期であり学生時代の同級生だ。
「(プライベートでは名前で呼ぶって実は親密ですって感じでアダルトな雰囲気なんだけど。)」
「(なんつー解釈してるんだ。)」
「(だってだって!プライベートで課長にリヴァイって話しかけてる所想像しただけでなんか鼻血出そう…)」
実は課長とナマエさんって、私たちが思うよりいい感じなんじゃない?
そう言うペトラはハンカチで口元を抑えている。
…ほんとに鼻血出すなよ?
それよりも俺が気になったのは、ナマエさんだ。ジャンのあのストレートなセリフにも顔色一つ変えず返していた。本当になんとも思ってないのか、ジャンが日常的にああいう事を言っているからなのか。なんとも思ってないとしたら、なかなかこの人は手強そうだ。
再び二人の様子を見ると、ナマエさんがコートを脱ぐのをジャンが手伝い、そのコートをラックに掛けてやっていた。更には椅子を引いてナマエさんを座らせた上におしぼりまで渡してやっている。
…至れり尽くせりか。
どうやらジャンは好きな女に尽くすタイプらしい。どっちかというと普段の性格から亭主関白ぽいのを想像していた。
「(ちょっとエルド!ガン見しすぎ!こっそり観察しなきゃダメでしょ。)」
「(あぁ、すまん。)」
俺たちは再び2人の様子を伺う為に、大人しく耳を傾けた。気配を消すってのがどうするのかは分からないが、俺たちは今存在感がかなり薄いと思う。
「ナマエさんさっきの店だけで晩飯足りました?昼だってほとんど食ってねぇし。なんか頼みます?」
「ううん、大丈夫だよ。今日は食べるよりも飲みたい気分なんだー。あ、ラフロイグ…」
「ダメです。ナマエさんこの間一晩で空けたでしょ。あれはご褒美かお祝いの時だけにしましょうね。」
「えーーケチ。」
「ケチじゃねぇ。」
遅かった理由は晩飯を食っていたかららしい。
「(ほとんど食べてないって言った?ローストビーフ丼、結構多かったよね?)」
「(だな。マスターの言う食いしん坊はナマエさんの事なんだな。)」
「何してんの?いきなり大人しくなったな。」
おかわりを持ってきてくれたマスターに怪しまれてしまった。そりゃそうだ。俺たちは体を縮こませてコソコソしていたから。
「(お気になさらず!)」
俺たちの意味不明な返答に首を傾げながらもマスターはそっとしておいてくれるようだ。よかった。
「あのね、キルシュタインくんは気にするなって言ってたけど、結局今朝の事って何だったの?お昼休みにもあの人たちによくわからない事言われたし。」
「まぁ、そりゃ気になりますよね。簡単に言うと、ナマエさんの良くない噂流してたのはアシュロフさんだったんですよ。」
話は例の噂のことになっていた。それは俺も気になる。ナマエさんみたいな人にあんな下世話な噂が流れるなんて俺たち営業部みんな信じられなかったから。
ペトラも気になっていたんだろう。少し表情を暗くしながらも2人の会話に耳を傾けていた。
とにかくジャンとナマエさんよりも先にバーに着くため俺たちは急いでいたから、アシュロフさんがどうなったのかは知らない。
グンタは課長に呼び止められていた。どうやら今夜はエレンと3人で食事に行くらしい。課長一人だとエレンは手に負えないからと言って誘われていた。
オルオに関してはペトラが追い返していた。かわいそうだとは思ったが確かにオルオはうるさいので今回に関しては邪魔になりそうだ。
課長から聞いたその場所は、繁華街から少し外れた郊外のとあるビルにあった。地下にあるその店は、ウエスタンドアが印象的な落ち着いた雰囲気だ。
ウエスタンドアを潜り出迎えてくれたのは、金髪がよく似合う明るい笑顔が印象的なマスターだった。どうやらこの人が課長たちの同級生らしい。課長の友人にしては明るくて社交的な人だと思った。いや、別に課長が暗いとかそういうことは断じて言っていない。断じて。
横でペトラが「イケメン…眩しい。」と呟いていた。確かに整った顔立ちだ。課長には負けるが。
カウンターにするかと聞かれたが、それだとジャンたちに一発で見つかるのでその後ろのソファ席に座ることにした。ここなら覗き込まれない限りは見つからないし、カウンターに2人が座ってくれればばっちり見る事ができる。
向かい合わせに座らずに2人ともカウンターから背を向けて座る様子を見て、マスターに不思議がられたが気にしないでくださいと言って凌いだ。
マスターは、仲がいいんだなと言っていたのでカップルだと思われたらしい。まぁいいか。
「とりあえずお腹空かない?ここ、フードメニューが充実してるらしいしさ。」
「先に飯食っとくか。」
マスターにメニューを貰い広げてみると、確かに品数が豊富だ。一見パスタやドリアなどの洋食が目立つが、よく見ると親子丼や味噌煮込みうどん、さらには麻婆豆腐にエビチリとジャンルお構いなしのメニューに正直驚いた。本当にここはバーか?
注文の際にマスターに聞いてみた。
「あぁ、うちの常連っつーか知り合いにな、ワガママな食いしん坊がいてな。あれ食いたいこれ食いたいってうるさいんだよな。それが思いの外他のお客さんにも好評でさ。気づいたらこんなメニューになってたんだよ。」
知り合い…。マスターは文句を言いつつもすごく優しい顔をしているので、なんとなくだがナマエさんの事かもしれないと思った。
マスターのオススメであるオムライスを2人とも注文したが、言われるだけあってかなり美味かった。
よくオシャレな店で出されるような半熟トロトロオムレツを割り開くようなやつではなく、ラグビーボールみたいに整った形でやってきたそれは、昔母親が作ってくれたような、チキンライスとケチャップがよく合う懐かしい味だった。
ちなみに俺のオムライスにはお子様ランチみたいに爪楊枝で作った国旗がささっており、ペトラのオムライスにはケチャップでハートが書かれていたので思わず笑ってしまった。「女の子限定な」と白い歯を見せて惜しげもなくイケメンスマイルを出していたが、彼氏らしき俺が居るのにこういうことをサラッとできるこのマスターは強者だ。と思った。
食事を終えて、ペトラと酒を酌み交わしながら2人の登場を待っているが、これがなかなか来ない。今日は2人とも急ぎの仕事は無かったはずだが。
「ねぇ、まさか今日来ないとかじゃないよね?」
「どうだろうな。でもナマエさんはここに来たいって言ってたぞ。」
「でも、遅くない?」
不安に駆られながら待っていたら、ようやく入り口のウエスタンドアの軋む音がした。
「おぅナマエ!来てくれたのか!…って、またお前か。しばらくここには来ねぇんじゃなかったか?ジャン坊。」
「それ、やめて下さい。ったくアルミンの奴余計なこと話しやがって。ナマエさんがどうしてもって言うんで付き合ってるだけですよ。」
「相変わらずかわいくねぇなぁ。俺はお前よりもリヴァイに会いたかったよ。なぁナマエ、最近あいつ来てねぇから次はジャンとじゃなくてリヴァイと来いよな!」
「あははっ、ごめんねファーラン。リヴァイも誘おうかと思ったんだけど今日は別の用事があったみたいだよ。また今度連れてくるね!」
「俺はナマエさんと2人だけの方がいいですけどね。」
「またそういうこと言う!ほら、座ろう?」
((………。))
とりあえず、俺とペトラは顔を見合わせた。
俺たちの座るソファは背もたれが高めなのでなんとかバレずに済みそうだ。
いや、そんなことはどうでもいい。
「(ねぇ、さっき…)」
「(あぁ、確かに聞こえた。)」
ナマエさんが、課長の事を名前で呼んでいた。なんの違和感もなく。
確かにおかしいと思っていた。いくら上司とはいえ、同期であり学生時代の同級生だ。
「(プライベートでは名前で呼ぶって実は親密ですって感じでアダルトな雰囲気なんだけど。)」
「(なんつー解釈してるんだ。)」
「(だってだって!プライベートで課長にリヴァイって話しかけてる所想像しただけでなんか鼻血出そう…)」
実は課長とナマエさんって、私たちが思うよりいい感じなんじゃない?
そう言うペトラはハンカチで口元を抑えている。
…ほんとに鼻血出すなよ?
それよりも俺が気になったのは、ナマエさんだ。ジャンのあのストレートなセリフにも顔色一つ変えず返していた。本当になんとも思ってないのか、ジャンが日常的にああいう事を言っているからなのか。なんとも思ってないとしたら、なかなかこの人は手強そうだ。
再び二人の様子を見ると、ナマエさんがコートを脱ぐのをジャンが手伝い、そのコートをラックに掛けてやっていた。更には椅子を引いてナマエさんを座らせた上におしぼりまで渡してやっている。
…至れり尽くせりか。
どうやらジャンは好きな女に尽くすタイプらしい。どっちかというと普段の性格から亭主関白ぽいのを想像していた。
「(ちょっとエルド!ガン見しすぎ!こっそり観察しなきゃダメでしょ。)」
「(あぁ、すまん。)」
俺たちは再び2人の様子を伺う為に、大人しく耳を傾けた。気配を消すってのがどうするのかは分からないが、俺たちは今存在感がかなり薄いと思う。
「ナマエさんさっきの店だけで晩飯足りました?昼だってほとんど食ってねぇし。なんか頼みます?」
「ううん、大丈夫だよ。今日は食べるよりも飲みたい気分なんだー。あ、ラフロイグ…」
「ダメです。ナマエさんこの間一晩で空けたでしょ。あれはご褒美かお祝いの時だけにしましょうね。」
「えーーケチ。」
「ケチじゃねぇ。」
遅かった理由は晩飯を食っていたかららしい。
「(ほとんど食べてないって言った?ローストビーフ丼、結構多かったよね?)」
「(だな。マスターの言う食いしん坊はナマエさんの事なんだな。)」
「何してんの?いきなり大人しくなったな。」
おかわりを持ってきてくれたマスターに怪しまれてしまった。そりゃそうだ。俺たちは体を縮こませてコソコソしていたから。
「(お気になさらず!)」
俺たちの意味不明な返答に首を傾げながらもマスターはそっとしておいてくれるようだ。よかった。
「あのね、キルシュタインくんは気にするなって言ってたけど、結局今朝の事って何だったの?お昼休みにもあの人たちによくわからない事言われたし。」
「まぁ、そりゃ気になりますよね。簡単に言うと、ナマエさんの良くない噂流してたのはアシュロフさんだったんですよ。」
話は例の噂のことになっていた。それは俺も気になる。ナマエさんみたいな人にあんな下世話な噂が流れるなんて俺たち営業部みんな信じられなかったから。
ペトラも気になっていたんだろう。少し表情を暗くしながらも2人の会話に耳を傾けていた。