第45話 噂の真相
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あれから、エレンの爆弾発言など無かったかのように和やかに時間は過ぎて言った。ミカサから学生時代のナマエさんの話が聞けたり、ケーキをおいしそうに頬張るナマエさんを見れたりで俺は大満足だった。
ただ一つ、エレン の余計な一言さえ無ければ。
いや、いいんだ。俺は何も聞いていないから。
そして、残念なことがもう一つ。いつもなら頬に食べたものをつけるナマエさんが今日に限って綺麗にケーキを食べるのだ。一切顔を汚さない。頬にクリームでもつけてくれれば彼女に触れる口実ができるのに。指で拭ってあわよくばそれを…(←変態)
「ナマエさん、そろそろ。夕飯の買い物に行かないと。」
「本当だ!もうこんな時間だね。」
「晩御飯も一緒に食べるんですか?」
「そうなの。今日はイエーガー夫妻を家に招待してるんだ。ここの食べ放題に付き合ってくれたお礼にね。あ!良かったら二人も来る?今日はキムチ鍋だよ!」
…それはぜひ行きたい。とても行きたい。二日酔いにキムチ鍋とかめちゃくちゃキツイがそんなことはどうでもいい。
ナマエさんの家に上がれるまたとないチャンスだ。しかもナマエさんの手料理。つっても鍋だが。
行きますと返事をしようとしたら、まさかのアルミンが遮った。
「すごく行きたいのは山々ですが、実はこの後僕たち予定があるんです…。すみません。」
「そっかぁ。予定があるなら仕方ないね。また今度お誘いするね!」
「はい!楽しみにしてますね!」
おい…おいおいおいおい何断っちゃってくれてんだ。何てことしてくれんだとアルミンの方を向き睨んだ。
「(そんな睨まないでよ。後で説明するから。)」
小声でそう言ったあと、
「じゃあそろそろ僕たちはお暇しますね。今日はご一緒できて良かったです!ありがとうございました!」
「こちらこそ楽しかったよ!ありがとう!」
「ナマエさん、また月曜に会社で。」
「うん、お疲れ様。」
後ろ髪をこれでもかと引かれながら、俺たちは先に店を出た。
「かんぱーい!」
「…なんでまたここに来てんだ。」
そう、俺たちは今日もファーランさんの店に来ている。アルミンがどうしてもと言うので来たが、店に入ってファーランさんと顔を合わせた瞬間に、ものすごく嫌な顔をされた。あれは客に対してする顔ではない。
「あーあ。今頃あいつら旨い鍋食ってんだろうなぁ。いいなぁ。手料理。」
「ごめんって。でも、やめといた方がいいと思うよ。今日のエレン見ただろう?あのまま一緒に居たらまた聞かなくていい余計な話を聞くことになりそうで僕も怖いよ。」
「…確かに。」
「後は、ナマエさんが僕の事をアルミンくんって呼ぶ度に君に睨まれるのも勘弁だし。ね?キルシュタインインくん?」
こいつ…全部分かってて言ってやがる。めちゃくちゃいい笑顔で。
これだから頭のいい奴は嫌いなんだ。
「それにね、僕このお店がすごく好きになったんだ!お酒も料理もすごくおいしいし、マスターもいい人だしね!」
「お!アルミンお前、かわいいやつだな!一杯奢るよ!」
「わぁ!ありがとうございます!」
ファーランさんがこっちに来るタイミングで言いやがった。こういうのを世渡り上手って言うんだな。目を細めてファーランさんの方を見ると、「お前はナシな。」と言って別の客の方へ行ってしまった。
…分かってたよ。
「んで?話て何だよ。」
「あぁ、うん。ナマエさんの事だよ。というか、あの噂について、かな。発信源が分かったんだ。」
そうしてアルミンが話し出した内容を俺は黙って聞き続けた。途中アルミンの考察も一部入っていたようだが、大筋は合っていそうだ。
「あれ…あんまり驚かないんだね。」
「まぁな。犯人ってか、発信源は大体想像がついてからな。ま、動機までは分からなかったし、アホらしすぎて想定外だったが。」
アルミンの話はこうだ。
ある日、アシュロフさんは営業部 の係長が今年いっぱいで退職するという情報を掴んだ。恐らくイーゼルさんの父であるシガンシナの常務から。そこで、次期係長を狙った。これはリヴァイ課長からも聞いていた話なので、全く驚かなかった。
次期係長争奪戦でのライバルはナマエさんだと思ったアシュロフさんは、焦った。なぜなら、彼女が現在自分より上の立場である主任だという事実と、周りからの信頼も実績も兼ね備えていたから。ポッと出の自分では分が悪いと思ったらしい。そこで思いついたのが、ナマエさんについての良くない噂を立てて彼女を貶めること。せめて信頼だけでも地に落ちれば昇進はないだろうと。そして実績をナマエさんよりも出せば次期係長は自分に違いないと。あの人本当に課長たちと同い年か?考えが幼稚で短絡的すぎる。
「しょーもな。」
グラスの酒を煽って呟いた俺に、アルミンも「だよねぇ。」と零した。
「それにしても、なんで人事部のお前がそんなこと知ってるんだ?」
「あぁそれはね、うちの部署にいる何でも知ってる情報通の先輩と、秘書課のミーナだよ。人事部と秘書課は密に繋がってるからね。」
「ミーナって、俺たちの同期の?」
ミーナはアシュロフさんと合コンをした時に、本人が噂を流している所に居合わせていたらしい。そういえばアシュロフさんは一時秘書課がお気に入りだった気がする。ライナーもあそこで噂を聞いたって言ってたな。
つーか何でも知ってる情報通って誰だよ。うさん臭さ満載で怪しすぎる。それよりも、だ。
「秘書課、完全に歩くスピーカーじゃねぇか。」
「ははっ。全く秘めてないよね。」
秘書課にはミカサ、クリスタ、そしてミーナと意外と多くの同期が在籍している。今回もあいつらがまき散らしたわけではないと思うが。あいつらの前ではあまり余計な事を話さないようにしよう。そう心に誓った。
「この話、他に知ってるやついんのか?」
「エレンとミカサにはこの間話したよ。ナマエさんのことすごく心配してたしね。」
そうか。エレンに至っては「信じてねぇから!」とタイミングを完全にミスっていたがそれでも真っすぐにナマエさんのことを案じていたのは分かった。
「どうする?ナマエさんを貶めた犯人は分かったけど。仕返しする?協力するよ?」
いやぁ…仕返しつっても。魔術師ネタでもバラまくか?そういや前にナマエさんもそんなこと言ってたな。あのネタで強請ろうとしていたナマエさんを思い出して思わず苦笑いをした。
「どうしたの?」
「いや、何でもねぇよ。仕返しって言っても、同じことするのは癪だしな。何か考えるよ。」
「そう?…でもねジャン。君は何もしなくても、彼には近々天罰が下ると思うよ。」
「あ?どういうことだ?」
アルミンがゲスい笑顔でこっちを見てきた。ゲスミン…。
「だって、ジャンが言ったんだよ。『秘書課は歩くスピーカー』だって。」
「まさか…。お前そのためにミカサにも話したのか?」
「ふふっ。昨日ライナーが魔術師のことをエレンの前で話したのも、どう影響するか楽しみだね。」
アルミンが笑みを濃くした。怖い。怖すぎる。
「おいお前ら。全然酒が進んでねぇじゃん。」
「アンタのせいで俺は二日酔いなんすよ。」
「弱!肝臓よっわ!若ぇくせに情けないやつだな。せめてリヴァイくらいは飲めねぇとそんなんじゃナマエと酒なんか飲めねぇぞ。」
うるさい。心配されなくてもいつも楽しく飲んでますよ。だが言い返せないので無視することにした。
「でもさすがにお腹はすいたよね。ファーランさん、フードメニュー見せてもらってもいいですか?」
ほらよと寄こしてきたメニューを俺も覗き込む。…どんだけあんだ。品数多すぎだろ。ここ、バーだよな?
「僕はパスタの気分かな。ジェノベーゼにします!ジャンは?あ、オムライスあるよ!確か大好きだったよね。」
「え?なにお前、オムライスが好物なの!?ぶぁっはっは!子供みたいだな!かーわーいー!」
ヒーヒーと腹を抱えて笑うこの人を見て、俺は決めた。
しばらくここには来てやらねぇ。
ファーランさんが自ら作ったというオムライスにはてっぺんに爪楊枝が刺さっていて、どこぞの国旗が書かれた紙が巻かれている。バカにしやがって。明らかにお子様ランチのような盛り付けでやってきたそれは。
悔しいので絶対言ってやらねぇが、めちゃくちゃ旨かった。
ただ一つ、
いや、いいんだ。俺は何も聞いていないから。
そして、残念なことがもう一つ。いつもなら頬に食べたものをつけるナマエさんが今日に限って綺麗にケーキを食べるのだ。一切顔を汚さない。頬にクリームでもつけてくれれば彼女に触れる口実ができるのに。指で拭ってあわよくばそれを…(←変態)
「ナマエさん、そろそろ。夕飯の買い物に行かないと。」
「本当だ!もうこんな時間だね。」
「晩御飯も一緒に食べるんですか?」
「そうなの。今日はイエーガー夫妻を家に招待してるんだ。ここの食べ放題に付き合ってくれたお礼にね。あ!良かったら二人も来る?今日はキムチ鍋だよ!」
…それはぜひ行きたい。とても行きたい。二日酔いにキムチ鍋とかめちゃくちゃキツイがそんなことはどうでもいい。
ナマエさんの家に上がれるまたとないチャンスだ。しかもナマエさんの手料理。つっても鍋だが。
行きますと返事をしようとしたら、まさかのアルミンが遮った。
「すごく行きたいのは山々ですが、実はこの後僕たち予定があるんです…。すみません。」
「そっかぁ。予定があるなら仕方ないね。また今度お誘いするね!」
「はい!楽しみにしてますね!」
おい…おいおいおいおい何断っちゃってくれてんだ。何てことしてくれんだとアルミンの方を向き睨んだ。
「(そんな睨まないでよ。後で説明するから。)」
小声でそう言ったあと、
「じゃあそろそろ僕たちはお暇しますね。今日はご一緒できて良かったです!ありがとうございました!」
「こちらこそ楽しかったよ!ありがとう!」
「ナマエさん、また月曜に会社で。」
「うん、お疲れ様。」
後ろ髪をこれでもかと引かれながら、俺たちは先に店を出た。
「かんぱーい!」
「…なんでまたここに来てんだ。」
そう、俺たちは今日もファーランさんの店に来ている。アルミンがどうしてもと言うので来たが、店に入ってファーランさんと顔を合わせた瞬間に、ものすごく嫌な顔をされた。あれは客に対してする顔ではない。
「あーあ。今頃あいつら旨い鍋食ってんだろうなぁ。いいなぁ。手料理。」
「ごめんって。でも、やめといた方がいいと思うよ。今日のエレン見ただろう?あのまま一緒に居たらまた聞かなくていい余計な話を聞くことになりそうで僕も怖いよ。」
「…確かに。」
「後は、ナマエさんが僕の事をアルミンくんって呼ぶ度に君に睨まれるのも勘弁だし。ね?キルシュタインインくん?」
こいつ…全部分かってて言ってやがる。めちゃくちゃいい笑顔で。
これだから頭のいい奴は嫌いなんだ。
「それにね、僕このお店がすごく好きになったんだ!お酒も料理もすごくおいしいし、マスターもいい人だしね!」
「お!アルミンお前、かわいいやつだな!一杯奢るよ!」
「わぁ!ありがとうございます!」
ファーランさんがこっちに来るタイミングで言いやがった。こういうのを世渡り上手って言うんだな。目を細めてファーランさんの方を見ると、「お前はナシな。」と言って別の客の方へ行ってしまった。
…分かってたよ。
「んで?話て何だよ。」
「あぁ、うん。ナマエさんの事だよ。というか、あの噂について、かな。発信源が分かったんだ。」
そうしてアルミンが話し出した内容を俺は黙って聞き続けた。途中アルミンの考察も一部入っていたようだが、大筋は合っていそうだ。
「あれ…あんまり驚かないんだね。」
「まぁな。犯人ってか、発信源は大体想像がついてからな。ま、動機までは分からなかったし、アホらしすぎて想定外だったが。」
アルミンの話はこうだ。
ある日、アシュロフさんは
次期係長争奪戦でのライバルはナマエさんだと思ったアシュロフさんは、焦った。なぜなら、彼女が現在自分より上の立場である主任だという事実と、周りからの信頼も実績も兼ね備えていたから。ポッと出の自分では分が悪いと思ったらしい。そこで思いついたのが、ナマエさんについての良くない噂を立てて彼女を貶めること。せめて信頼だけでも地に落ちれば昇進はないだろうと。そして実績をナマエさんよりも出せば次期係長は自分に違いないと。あの人本当に課長たちと同い年か?考えが幼稚で短絡的すぎる。
「しょーもな。」
グラスの酒を煽って呟いた俺に、アルミンも「だよねぇ。」と零した。
「それにしても、なんで人事部のお前がそんなこと知ってるんだ?」
「あぁそれはね、うちの部署にいる何でも知ってる情報通の先輩と、秘書課のミーナだよ。人事部と秘書課は密に繋がってるからね。」
「ミーナって、俺たちの同期の?」
ミーナはアシュロフさんと合コンをした時に、本人が噂を流している所に居合わせていたらしい。そういえばアシュロフさんは一時秘書課がお気に入りだった気がする。ライナーもあそこで噂を聞いたって言ってたな。
つーか何でも知ってる情報通って誰だよ。うさん臭さ満載で怪しすぎる。それよりも、だ。
「秘書課、完全に歩くスピーカーじゃねぇか。」
「ははっ。全く秘めてないよね。」
秘書課にはミカサ、クリスタ、そしてミーナと意外と多くの同期が在籍している。今回もあいつらがまき散らしたわけではないと思うが。あいつらの前ではあまり余計な事を話さないようにしよう。そう心に誓った。
「この話、他に知ってるやついんのか?」
「エレンとミカサにはこの間話したよ。ナマエさんのことすごく心配してたしね。」
そうか。エレンに至っては「信じてねぇから!」とタイミングを完全にミスっていたがそれでも真っすぐにナマエさんのことを案じていたのは分かった。
「どうする?ナマエさんを貶めた犯人は分かったけど。仕返しする?協力するよ?」
いやぁ…仕返しつっても。魔術師ネタでもバラまくか?そういや前にナマエさんもそんなこと言ってたな。あのネタで強請ろうとしていたナマエさんを思い出して思わず苦笑いをした。
「どうしたの?」
「いや、何でもねぇよ。仕返しって言っても、同じことするのは癪だしな。何か考えるよ。」
「そう?…でもねジャン。君は何もしなくても、彼には近々天罰が下ると思うよ。」
「あ?どういうことだ?」
アルミンがゲスい笑顔でこっちを見てきた。ゲスミン…。
「だって、ジャンが言ったんだよ。『秘書課は歩くスピーカー』だって。」
「まさか…。お前そのためにミカサにも話したのか?」
「ふふっ。昨日ライナーが魔術師のことをエレンの前で話したのも、どう影響するか楽しみだね。」
アルミンが笑みを濃くした。怖い。怖すぎる。
「おいお前ら。全然酒が進んでねぇじゃん。」
「アンタのせいで俺は二日酔いなんすよ。」
「弱!肝臓よっわ!若ぇくせに情けないやつだな。せめてリヴァイくらいは飲めねぇとそんなんじゃナマエと酒なんか飲めねぇぞ。」
うるさい。心配されなくてもいつも楽しく飲んでますよ。だが言い返せないので無視することにした。
「でもさすがにお腹はすいたよね。ファーランさん、フードメニュー見せてもらってもいいですか?」
ほらよと寄こしてきたメニューを俺も覗き込む。…どんだけあんだ。品数多すぎだろ。ここ、バーだよな?
「僕はパスタの気分かな。ジェノベーゼにします!ジャンは?あ、オムライスあるよ!確か大好きだったよね。」
「え?なにお前、オムライスが好物なの!?ぶぁっはっは!子供みたいだな!かーわーいー!」
ヒーヒーと腹を抱えて笑うこの人を見て、俺は決めた。
しばらくここには来てやらねぇ。
ファーランさんが自ら作ったというオムライスにはてっぺんに爪楊枝が刺さっていて、どこぞの国旗が書かれた紙が巻かれている。バカにしやがって。明らかにお子様ランチのような盛り付けでやってきたそれは。
悔しいので絶対言ってやらねぇが、めちゃくちゃ旨かった。