第27話 仮病
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あれからリヴァイ課長とナイル部長の計らいで、ナマエさんは包帯が取れるまでの間は会社を休むことになった。なぜなら、今回の件は表沙汰にしないと会社の方針で決まったからだ。会社を、延いてはナマエさん自身を守るために。それなのに頭に包帯を巻いたナマエさんが出社なんてしてしまったらそれこそ大騒ぎだ。
清掃業者側は社員の逮捕を受け、謝罪と称し手土産を持って入院中のナマエさん本人の元へとやって来た。今回の事をどうにか穏便に済ませて社会的打撃を回避するための手土産。それはつまり、『袖の下』というやつだった。
それに誰よりも怒りを露にしたのは、他でもないリヴァイ課長で。
その時の様子はとてもじゃないが言葉には表せない。よく、大人しいヤツほどキレると怖いなどと聞くが…元々そのポテンシャルを持っている人の場合、キレると手が付けられなくなるということを身を持って知った瞬間だった。
当然リヴァイ課長がそいつらを追い返し、その話は課長から部長、部長から常務…と、瞬く間に幹部に伝わり、ついにはザックレー会長の耳にまで入ることになる。
会社としてはその清掃業者に社会的制裁を与えてやりたいところだったが、ナマエさんへの心的、外的影響を考慮し公表しないことになった。
もちろん、その業者との契約は打ち切り。清掃業者はグループ企業としてうちと提携していたが、関連会社含めて全て契約解除となった。社会的制裁は与えられなかったが、経済的制裁を存分に与えることができたのだった。
事の顛末を聞いていたナマエさんは、会長までが出てきて、会社同士の契約に関わる事にまで発展したと知り完全に畏縮してしまっていた。
「なんだか…かなり大ごとに…なってませんか?」
「気にするな。そういう業者だったと早めに気付けて逆に良かったくらいだ。」
「確かにそれはありますね。ある意味ナマエさんのお陰ってとこですね。そもそもこっちは怪我までさせられてんです。当然っすよ。」
「ええぇ…。」
俺たちの言葉にナマエさんは困惑しつつも納得してくれた。
「それもあってだが。ナマエ。お前はしばらく盲腸で入院だ。」
「…はい?」
「休む理由が要りますからね。でも課長、ナマエさんがいつか本当に盲腸になったらどうするんすか?」
「問題ねぇ。こいつは大学の時に既に一度掛かってる。その時に虫垂を取り除いちまってるから二度と盲腸にだけはならねぇよ。」
そんなことよく覚えてますね…。とナマエさんがため息をついた。
「お二人って確か同級生でしたっけ。大学が一緒だったんですね。」
「いや、高校からだ。」
へぇ。じゃあ、二人はかれこれ十五年来の付き合いってことか。高校生のリヴァイ課長…想像がつかない。いつから恋人同士だったのかが少し気になるが、何にせよ歴史を感じる。
「せっかくの休暇だ。存分に羽を伸ばしておけよ。ただし、ヘタに外は出歩くな。誰に見つかるか分からねぇからな。必要な物があれば俺が用意する。」
「それなら俺も協力しますよ。課長一人だと大変でしょうし。」
「ただでさえ忙しいのにそこまでしてもらう訳には…。オンラインで買い物もできるので大丈夫ですよ。でも…すみません…半期末の忙しい時にこんなことになってしまって…。」
ここ数日、ナマエさんからは謝罪の言葉ばかりが出てくる。謝るなと何度伝えても直らない。
「ナマエさん、自分が悪くない時は謝らないんじゃなかったんすか?こういう時は何て言うんでしたっけ?」
すみませんはもう聞き飽きましたよ…わざとらしくため息をついてそう伝えると、ナマエさんは目を丸くしてパチパチと数回瞬きをした。そして、やっと気付いたようで。
「そうだったね、ありがとう、だね。」
課長も、ありがとうございます。そう言ってナマエさんは深々と頭を下げた。
課長は、あぁ、と返事をしつつも、何の事だ?と首を傾げていた。
事件から約一週間、ナマエさんの包帯が取れて、傷も目立たなくなるまで回復したため、ついに復帰することになった。
「ナマエさん!おかえりなさい!お体はもう大丈夫なんですか!?盲腸って聞いてビックリしましたよ!」
「あ…うん、迷惑かけてごめんね、もう大丈夫だよ!」
心底心配している様子のペトラさんに返事をする彼女はどこか表情が硬い。嘘をついていることに罪悪感があるんだろう。全く、隠し事のできない人だとつくづく思う。
ナマエさんが不在の状態での業務は正直キツかった。猫どころか犬の手も借りたいくらいの忙しさだったが、本人に気付かれるとまた気にしてしまうので黙っておくことにする。
「ナマエ、復帰早々だが伝えておくことがある。ちょっといいか。」
ジャン、お前も来い。そう言って会議室に来るよう促される。ナマエさんは不思議そうな顔をしていたが、俺は恐らくあの話だろうと察して、ナマエさんを促し共に会議室へと向かった。
「早速だが、人事異動が出た。心配しなくても人は減らねぇ。寧ろ増員だ。」
「本当ですか!?このところ人手が足りないと感じていたので有り難いですね!」
嬉しそうなナマエさんに対して、リヴァイ課長は難しそうな表情をしている。
「どうしたんですか?何か、問題でも?」
課長は、意を決したようにナマエさんに告げた。
「増員は二人。…シガンシナ支部からだ。」
その瞬間、ナマエさんの顔から一気に表情が消えたのが分かった。
リヴァイ課長から事前に聞いていた通りだ。
しばらく彼女は黙っていたが、一度目を閉じ一呼吸置いた後、スッと課長の方を見据えて…
「分かりました。」
その一言だけを、発した。
清掃業者側は社員の逮捕を受け、謝罪と称し手土産を持って入院中のナマエさん本人の元へとやって来た。今回の事をどうにか穏便に済ませて社会的打撃を回避するための手土産。それはつまり、『袖の下』というやつだった。
それに誰よりも怒りを露にしたのは、他でもないリヴァイ課長で。
その時の様子はとてもじゃないが言葉には表せない。よく、大人しいヤツほどキレると怖いなどと聞くが…元々そのポテンシャルを持っている人の場合、キレると手が付けられなくなるということを身を持って知った瞬間だった。
当然リヴァイ課長がそいつらを追い返し、その話は課長から部長、部長から常務…と、瞬く間に幹部に伝わり、ついにはザックレー会長の耳にまで入ることになる。
会社としてはその清掃業者に社会的制裁を与えてやりたいところだったが、ナマエさんへの心的、外的影響を考慮し公表しないことになった。
もちろん、その業者との契約は打ち切り。清掃業者はグループ企業としてうちと提携していたが、関連会社含めて全て契約解除となった。社会的制裁は与えられなかったが、経済的制裁を存分に与えることができたのだった。
事の顛末を聞いていたナマエさんは、会長までが出てきて、会社同士の契約に関わる事にまで発展したと知り完全に畏縮してしまっていた。
「なんだか…かなり大ごとに…なってませんか?」
「気にするな。そういう業者だったと早めに気付けて逆に良かったくらいだ。」
「確かにそれはありますね。ある意味ナマエさんのお陰ってとこですね。そもそもこっちは怪我までさせられてんです。当然っすよ。」
「ええぇ…。」
俺たちの言葉にナマエさんは困惑しつつも納得してくれた。
「それもあってだが。ナマエ。お前はしばらく盲腸で入院だ。」
「…はい?」
「休む理由が要りますからね。でも課長、ナマエさんがいつか本当に盲腸になったらどうするんすか?」
「問題ねぇ。こいつは大学の時に既に一度掛かってる。その時に虫垂を取り除いちまってるから二度と盲腸にだけはならねぇよ。」
そんなことよく覚えてますね…。とナマエさんがため息をついた。
「お二人って確か同級生でしたっけ。大学が一緒だったんですね。」
「いや、高校からだ。」
へぇ。じゃあ、二人はかれこれ十五年来の付き合いってことか。高校生のリヴァイ課長…想像がつかない。いつから恋人同士だったのかが少し気になるが、何にせよ歴史を感じる。
「せっかくの休暇だ。存分に羽を伸ばしておけよ。ただし、ヘタに外は出歩くな。誰に見つかるか分からねぇからな。必要な物があれば俺が用意する。」
「それなら俺も協力しますよ。課長一人だと大変でしょうし。」
「ただでさえ忙しいのにそこまでしてもらう訳には…。オンラインで買い物もできるので大丈夫ですよ。でも…すみません…半期末の忙しい時にこんなことになってしまって…。」
ここ数日、ナマエさんからは謝罪の言葉ばかりが出てくる。謝るなと何度伝えても直らない。
「ナマエさん、自分が悪くない時は謝らないんじゃなかったんすか?こういう時は何て言うんでしたっけ?」
すみませんはもう聞き飽きましたよ…わざとらしくため息をついてそう伝えると、ナマエさんは目を丸くしてパチパチと数回瞬きをした。そして、やっと気付いたようで。
「そうだったね、ありがとう、だね。」
課長も、ありがとうございます。そう言ってナマエさんは深々と頭を下げた。
課長は、あぁ、と返事をしつつも、何の事だ?と首を傾げていた。
事件から約一週間、ナマエさんの包帯が取れて、傷も目立たなくなるまで回復したため、ついに復帰することになった。
「ナマエさん!おかえりなさい!お体はもう大丈夫なんですか!?盲腸って聞いてビックリしましたよ!」
「あ…うん、迷惑かけてごめんね、もう大丈夫だよ!」
心底心配している様子のペトラさんに返事をする彼女はどこか表情が硬い。嘘をついていることに罪悪感があるんだろう。全く、隠し事のできない人だとつくづく思う。
ナマエさんが不在の状態での業務は正直キツかった。猫どころか犬の手も借りたいくらいの忙しさだったが、本人に気付かれるとまた気にしてしまうので黙っておくことにする。
「ナマエ、復帰早々だが伝えておくことがある。ちょっといいか。」
ジャン、お前も来い。そう言って会議室に来るよう促される。ナマエさんは不思議そうな顔をしていたが、俺は恐らくあの話だろうと察して、ナマエさんを促し共に会議室へと向かった。
「早速だが、人事異動が出た。心配しなくても人は減らねぇ。寧ろ増員だ。」
「本当ですか!?このところ人手が足りないと感じていたので有り難いですね!」
嬉しそうなナマエさんに対して、リヴァイ課長は難しそうな表情をしている。
「どうしたんですか?何か、問題でも?」
課長は、意を決したようにナマエさんに告げた。
「増員は二人。…シガンシナ支部からだ。」
その瞬間、ナマエさんの顔から一気に表情が消えたのが分かった。
リヴァイ課長から事前に聞いていた通りだ。
しばらく彼女は黙っていたが、一度目を閉じ一呼吸置いた後、スッと課長の方を見据えて…
「分かりました。」
その一言だけを、発した。