第23話 秘密の
夢小説設定
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静まり返った病院の個室。ゆっくりと足を踏み入れた。
先ほどまでリヴァイ課長が座っていた椅子に腰かける。ナマエさんは依然として目を覚まさない。命に別状はないと聞いていても、起きる気配のないナマエさんを見ているとどうしても不安になってしまう。
「ナマエさん…何してんだよ…起きろよ。」
『もう!またそんな言い方するんだから!』
後輩らしからぬ話し方をしても、いつものような突っ込みは返ってこない。
まさかナマエさんの周りの異変に気付いたその日にこんな事が起こるなんて、想像すらしていなかった。詳しい話が聞けていないので分からないことはたくさんあるが、アニが言うにはナマエさんの知らないヤツだったってことはずっとコソコソ遠くから見ていたんだろう。ただでさえずっと怯えさせていた上にこんな事まで。きっと叶わないだろうが犯人の顔を拝んで、できる事ならナマエさんと同じ目に合わせてやりたい。
「…クソっ。」
思わず口をついて出てしまう。
「……ン…。」
悶々と考え事をしていたら、消え入りそうなほど小さな音だったが、ナマエさんから声が漏れた。
「…ナマエさん?」
ナマエさんの声を何とか拾うため耳を顔の近くに寄せるが、苦しそうな表情で眉をしかめて少し身じろぎした後、スゥっと息を吐いてまた元の状態に戻ってしまった。
医療の事はサッパリだが、目を覚ますまであと少しだと思っていいんだろうか。
さっきの身じろぎで少し髪が乱れてしまったようだ。触りますよ、と返事のないナマエさんに一声かけてから髪を梳く。こうやって髪に触れるのは初めてだが、柔らかそうだと思っていたナマエさんの髪は思った通りで俺の指をするすると抜けていった。本人に何も言われないのをいいことに、乱れた所を直したあともずっと撫で続けた。この感触は病みつきになりそうだ。包帯があることで耳のあたりからにはなるが、毛先までするすると撫でる事を続けていたせいで、枝毛だろうか、一部の毛先のザラつきまで発見して思わず笑ってしまった。
「ナマエさん、毛先、傷んでますよ。仕事ばっかりしてるからですよ。」
当然、返事はない。それでもどうでもいいことをずっと話しかけ続けた。ドキュメンタリーかなんかで、植物状態の人間にずっと話しかけ続けたことで奇跡が起こったとかなんとかというのを見たことがある。ナマエさんは別に植物状態じゃねぇけど。
そういえば、その人はずっと手のマッサージしてたって言ってたな。目線をナマエさんの右手に移す。白くて小さなその手は、今は力なくベッドの上に置かれているだけだ。
「ナマエさん…手、握っていいですか?」
返事がないことは分かっていたが、念のため聞いておく。
やはり返事はないので、握りますね、と一応断りを入れてから右手に触れた。
「やっぱちっせぇな。」
背が低いナマエさんはやはり手も小さい。意識がないのが関係あるのか、そもそもなのか、少し体温が低い。それでも少し低めのこのぬくもりが、今、ナマエさんがちゃんと生きているということを教えてくれて少なからず安心した。左手で髪を撫でながら、右手はナマエさんの手の指と指の間に自分の指を絡め、にぎにぎと開いたり閉じたりしてみた。何かしらの刺激が起きるきっかけになればいいと思いながら。
それからずっと手を動かしながらナマエさんの様子を伺っていたら、ナマエさんの目尻に光るものを見つけた。
…涙?
「ナマエさん?」
「…ン」
また、何か声を出した。慌てて顔を近づける。
「ナマエさん?聞こえますか?ナマエさん!」
少し大きめの声で話しかけると、眉をしかめて何かをつぶやいた。
「……ヴィン…」
そう言った後、一筋の涙がナマエさんの目から伝った。
…ヴィン?ビン?なんだ?意味が分からない。
ナマエさんはずっと苦しそうな顔をしている。どうしたらいいんだ。ナースコール鳴らした方がいいか?
「…い…たい…」
「何?痛ぇの?ナマエさん?」
「う…」
ものすごく苦しそうだ。ナマエさんを見ていたらなぜかこっちまで苦しくなってくる。
どうにか苦しみを和らげたくて頭やら手やらを撫でる。
「い……かな…い………で…」
行かないで?誰に言ってんだ?課長か?何のことか分からなかったがとにかく安心させねぇとと思った。
「大丈夫。俺がここに居ますよ。俺は、どこにも行かねぇよ。」
そう言ってからナマエさんの額に口づけを落とした。
効果があったのか、ナマエさんは声にならない声をフと漏らした後、また静かになった。
「ハァ…。良かった…。」
大きくため息をついて、ドカリと椅子に腰を下ろす。
…つーか。勢い余って、何てことしてんだ。ナマエさんの意識がなくて良かった。リヴァイ課長がここに居たら、俺、殺されんじゃねぇか?危ねぇ…。
とりあえず、再びナマエさんの手を握り、その手をさすりながら彼女が起きるのを待つことにした。
しばらくすると、俺の気が抜けたのか今頃になって酒の効果が出てきたのか、突然眠気が襲ってきた。まずい。せめて課長が戻るまでは起きてなきゃいけねぇのに。
思いとは裏腹にだんだん瞼は重くなり…
いつの間にかベッドの縁に頭をもたげて、ナマエさんの手を握ったまま―意識を手放していた。
先ほどまでリヴァイ課長が座っていた椅子に腰かける。ナマエさんは依然として目を覚まさない。命に別状はないと聞いていても、起きる気配のないナマエさんを見ているとどうしても不安になってしまう。
「ナマエさん…何してんだよ…起きろよ。」
『もう!またそんな言い方するんだから!』
後輩らしからぬ話し方をしても、いつものような突っ込みは返ってこない。
まさかナマエさんの周りの異変に気付いたその日にこんな事が起こるなんて、想像すらしていなかった。詳しい話が聞けていないので分からないことはたくさんあるが、アニが言うにはナマエさんの知らないヤツだったってことはずっとコソコソ遠くから見ていたんだろう。ただでさえずっと怯えさせていた上にこんな事まで。きっと叶わないだろうが犯人の顔を拝んで、できる事ならナマエさんと同じ目に合わせてやりたい。
「…クソっ。」
思わず口をついて出てしまう。
「……ン…。」
悶々と考え事をしていたら、消え入りそうなほど小さな音だったが、ナマエさんから声が漏れた。
「…ナマエさん?」
ナマエさんの声を何とか拾うため耳を顔の近くに寄せるが、苦しそうな表情で眉をしかめて少し身じろぎした後、スゥっと息を吐いてまた元の状態に戻ってしまった。
医療の事はサッパリだが、目を覚ますまであと少しだと思っていいんだろうか。
さっきの身じろぎで少し髪が乱れてしまったようだ。触りますよ、と返事のないナマエさんに一声かけてから髪を梳く。こうやって髪に触れるのは初めてだが、柔らかそうだと思っていたナマエさんの髪は思った通りで俺の指をするすると抜けていった。本人に何も言われないのをいいことに、乱れた所を直したあともずっと撫で続けた。この感触は病みつきになりそうだ。包帯があることで耳のあたりからにはなるが、毛先までするすると撫でる事を続けていたせいで、枝毛だろうか、一部の毛先のザラつきまで発見して思わず笑ってしまった。
「ナマエさん、毛先、傷んでますよ。仕事ばっかりしてるからですよ。」
当然、返事はない。それでもどうでもいいことをずっと話しかけ続けた。ドキュメンタリーかなんかで、植物状態の人間にずっと話しかけ続けたことで奇跡が起こったとかなんとかというのを見たことがある。ナマエさんは別に植物状態じゃねぇけど。
そういえば、その人はずっと手のマッサージしてたって言ってたな。目線をナマエさんの右手に移す。白くて小さなその手は、今は力なくベッドの上に置かれているだけだ。
「ナマエさん…手、握っていいですか?」
返事がないことは分かっていたが、念のため聞いておく。
やはり返事はないので、握りますね、と一応断りを入れてから右手に触れた。
「やっぱちっせぇな。」
背が低いナマエさんはやはり手も小さい。意識がないのが関係あるのか、そもそもなのか、少し体温が低い。それでも少し低めのこのぬくもりが、今、ナマエさんがちゃんと生きているということを教えてくれて少なからず安心した。左手で髪を撫でながら、右手はナマエさんの手の指と指の間に自分の指を絡め、にぎにぎと開いたり閉じたりしてみた。何かしらの刺激が起きるきっかけになればいいと思いながら。
それからずっと手を動かしながらナマエさんの様子を伺っていたら、ナマエさんの目尻に光るものを見つけた。
…涙?
「ナマエさん?」
「…ン」
また、何か声を出した。慌てて顔を近づける。
「ナマエさん?聞こえますか?ナマエさん!」
少し大きめの声で話しかけると、眉をしかめて何かをつぶやいた。
「……ヴィン…」
そう言った後、一筋の涙がナマエさんの目から伝った。
…ヴィン?ビン?なんだ?意味が分からない。
ナマエさんはずっと苦しそうな顔をしている。どうしたらいいんだ。ナースコール鳴らした方がいいか?
「…い…たい…」
「何?痛ぇの?ナマエさん?」
「う…」
ものすごく苦しそうだ。ナマエさんを見ていたらなぜかこっちまで苦しくなってくる。
どうにか苦しみを和らげたくて頭やら手やらを撫でる。
「い……かな…い………で…」
行かないで?誰に言ってんだ?課長か?何のことか分からなかったがとにかく安心させねぇとと思った。
「大丈夫。俺がここに居ますよ。俺は、どこにも行かねぇよ。」
そう言ってからナマエさんの額に口づけを落とした。
効果があったのか、ナマエさんは声にならない声をフと漏らした後、また静かになった。
「ハァ…。良かった…。」
大きくため息をついて、ドカリと椅子に腰を下ろす。
…つーか。勢い余って、何てことしてんだ。ナマエさんの意識がなくて良かった。リヴァイ課長がここに居たら、俺、殺されんじゃねぇか?危ねぇ…。
とりあえず、再びナマエさんの手を握り、その手をさすりながら彼女が起きるのを待つことにした。
しばらくすると、俺の気が抜けたのか今頃になって酒の効果が出てきたのか、突然眠気が襲ってきた。まずい。せめて課長が戻るまでは起きてなきゃいけねぇのに。
思いとは裏腹にだんだん瞼は重くなり…
いつの間にかベッドの縁に頭をもたげて、ナマエさんの手を握ったまま―意識を手放していた。