第12話 変人と大人の味と
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「昼間あんな顔しとったのはそれか。」
「あんな顔って…面に出したつもりはなかったんですがね。」
「ナマエの名前出した時に捨てられたポニーの様な顔になっとったぞ。」
だからポニーって何だよ。
さっきまではキッツ氏がリヴァイ課長に初めて会った時に子鹿の様に震えていたという話を聞いたり、こちらもエレンが遠回しにリヴァイ課長のことをチビ親父と言ってしまい死に急いだという、特にオチも何もない話をしていた筈だった。
それがどうしてこうなったのか。気付けば今日のナマエさんとの出来事を話していたのだ。なぜだ…。
「ふむ。ナマエは情に厚いヤツじゃろうしのう。」
「まぁそうなんですけど。しかもあの人文句とか愚痴とか一切言わないんすよね。相談に来た奴らがさっさと帰ってんのに残って自分の仕事をこっそりやってんのとかを見てたら段々腹が立ってきちまって。」
それにだ。相談に来た奴らは全員ではないが困っている筈なのにどこか嬉しそうに彼女と話すのだ。お近づきになれるチャンスだと思っているに違いない。そんなことを思っていると自然と眉を顰めてしまう。
「どうせそいつらはナマエに下心でも持って近づいておるんじゃろうのぅ。」
ワシだって近付きたいわ!余計な一言はあったが、俺が今まさに思っていたことを言われて驚いた。まるでその場を見ていた様な口ぶりだ。目を点にしていると。
「馬が鳩にみたいになっておるぞ。バカな男ってのはどこにでもおるもんじゃよ。でも真面目に相談に来る奴もおるんじゃろう?」
「そうっすね。」
「ナマエが甘やかしているだけではないことも分かっておるんじゃろう?」
「…そうっすね。」
「それが分かっておるなら大丈夫じゃ。明日にでも仲直りすることじゃな。」
専務は馬ネタがお気に入りらしい。もう突っ込むのもやめた。ナマエがウチに顔を出さん様になることだけは勘弁してくれよ。と専務は笑う。いや、別に喧嘩したわけでは…。それにそんな理由で一緒に仕事をしなくなるわけがない。微妙な顔で黙ってしまっていると。
「なんじゃ?さてはお主本当はナマエに近寄るバカどもにヤキモチ妬いたんじゃな?」
「ゴフッ…!なん…で今の話でそうなるんすか…。ゲホッ。」
口にした酒が鼻に入るかと思った。
「違うのか?ナマエを落とすなら早い方がええぞ?時間がかかるだろうからのう。」
「いや…だから…」
「ワシが20年、いや10年若かったら口説いておるんじゃがなぁ。」
いや。だから聞けよ!それに今でも口説いてるよアンタ。
「いやいや、そんなんじゃないっすよ。それにナマエさんは5つもセンパイっすよ。」
「5年くらいは歳の差とは言わんわい。ワシの嫁さんは7つ歳上じゃしな。男は年上の女性に支えてもらうくらいが丁度ええぞ。」
専務のところはカカア天下か?意外だった。
「そうなんすか?何となく専務は俺に着いてこいタイプかと思ってましたよ。」
もしくは亭主関白。それは本人には言わねぇが。
「男は女の尻に敷かれてナンボだからの。まぁともかく。どうせ女の方が長生きするんじゃ。5年くらい離れとった方がバランスがええわい。」
それにナマエほどいい女はそうそうおらんぞ?そう言ってグラスに口を付ける。何杯目だこの人。んでまだそのネタ続いてたのか。何を言っても無駄な気がして、訂正するのは諦めた。
でも。若くてかわいい嫁さんを貰って、嫁さんを養うために男として…などとありがちな事を思っていた俺には新鮮な話だった。その後の専務の奥さんとのエピソードを聞くとそれが正解かどうかは悩ましいところだが。
その後は段々と下世話な話になってきて放送できない内容にもなってきて。ナマエさんの話はいつの間にかどこかへ行ってしまったのでそれは良かったが。
だいぶ酒も回ってきた。明日も仕事だ。そろそろやめとかねぇと明日が危ういと思ったので。
「専務、明日もありますしそろそろ…。」
奥様も心配してますよ、とやんわりと伝えてみたが。
「なーーーにをいうか!夜はこれからぞ!若いんじゃからまだまだ平気じゃろう?」
今夜は帰さんからな。
男が男に言われても全く嬉しくないセリフをいただき。『これが最後の一杯じゃ。』を何度も繰り返して。
結局いつ家に帰ってきたのかが分からない。何とか自宅のベッドまでたどり着き、最後の力を振り絞ってアラームだけはセットして俺は意識を手放した。
全く眠った感じがしないままついさっき設定した気がする爆音で目が覚め、気合でシャワーを浴び。
今に至る。
頭が痛ぇ。えらく長い回想だったが、今俺はオフィスの入り口で立ち竦んでいた。
オフィスへ踏み込むその一歩が出ない。中を覗くと、ナマエさんは当然既に出勤していた。ここから見る限りだといつもと変わらない様にも見える。そんな事を思っていると、突然後ろから声を掛けられた。
「ずっとそこに居るつもり?」
振り返るとそこにいたのはペトラさんだった。邪魔なんだけど。と、何やらご機嫌斜めのご様子だ。
「おはようござ「ジャン。後で話があるから。」…はい?」
俺の反応は無視してさっさとオフィスへと入って行ってしまった。何なんだ?よく分からないがどうやら俺はお呼び出しをくらったらしい。中学生か。
いつまでもここで燻っていてもしょうがないので、ため息を一つ吐いてから自席へと向かった。
自席に着くと俺が声をかけるよりも早くナマエさんが気づいた。
「おはよう。」
「…はようございます。」
「………。」
「………。」
しばらく気まずい沈黙が続いた後。きっかけを作ったのはナマエさんの方だった。
「あんな顔って…面に出したつもりはなかったんですがね。」
「ナマエの名前出した時に捨てられたポニーの様な顔になっとったぞ。」
だからポニーって何だよ。
さっきまではキッツ氏がリヴァイ課長に初めて会った時に子鹿の様に震えていたという話を聞いたり、こちらもエレンが遠回しにリヴァイ課長のことをチビ親父と言ってしまい死に急いだという、特にオチも何もない話をしていた筈だった。
それがどうしてこうなったのか。気付けば今日のナマエさんとの出来事を話していたのだ。なぜだ…。
「ふむ。ナマエは情に厚いヤツじゃろうしのう。」
「まぁそうなんですけど。しかもあの人文句とか愚痴とか一切言わないんすよね。相談に来た奴らがさっさと帰ってんのに残って自分の仕事をこっそりやってんのとかを見てたら段々腹が立ってきちまって。」
それにだ。相談に来た奴らは全員ではないが困っている筈なのにどこか嬉しそうに彼女と話すのだ。お近づきになれるチャンスだと思っているに違いない。そんなことを思っていると自然と眉を顰めてしまう。
「どうせそいつらはナマエに下心でも持って近づいておるんじゃろうのぅ。」
ワシだって近付きたいわ!余計な一言はあったが、俺が今まさに思っていたことを言われて驚いた。まるでその場を見ていた様な口ぶりだ。目を点にしていると。
「馬が鳩にみたいになっておるぞ。バカな男ってのはどこにでもおるもんじゃよ。でも真面目に相談に来る奴もおるんじゃろう?」
「そうっすね。」
「ナマエが甘やかしているだけではないことも分かっておるんじゃろう?」
「…そうっすね。」
「それが分かっておるなら大丈夫じゃ。明日にでも仲直りすることじゃな。」
専務は馬ネタがお気に入りらしい。もう突っ込むのもやめた。ナマエがウチに顔を出さん様になることだけは勘弁してくれよ。と専務は笑う。いや、別に喧嘩したわけでは…。それにそんな理由で一緒に仕事をしなくなるわけがない。微妙な顔で黙ってしまっていると。
「なんじゃ?さてはお主本当はナマエに近寄るバカどもにヤキモチ妬いたんじゃな?」
「ゴフッ…!なん…で今の話でそうなるんすか…。ゲホッ。」
口にした酒が鼻に入るかと思った。
「違うのか?ナマエを落とすなら早い方がええぞ?時間がかかるだろうからのう。」
「いや…だから…」
「ワシが20年、いや10年若かったら口説いておるんじゃがなぁ。」
いや。だから聞けよ!それに今でも口説いてるよアンタ。
「いやいや、そんなんじゃないっすよ。それにナマエさんは5つもセンパイっすよ。」
「5年くらいは歳の差とは言わんわい。ワシの嫁さんは7つ歳上じゃしな。男は年上の女性に支えてもらうくらいが丁度ええぞ。」
専務のところはカカア天下か?意外だった。
「そうなんすか?何となく専務は俺に着いてこいタイプかと思ってましたよ。」
もしくは亭主関白。それは本人には言わねぇが。
「男は女の尻に敷かれてナンボだからの。まぁともかく。どうせ女の方が長生きするんじゃ。5年くらい離れとった方がバランスがええわい。」
それにナマエほどいい女はそうそうおらんぞ?そう言ってグラスに口を付ける。何杯目だこの人。んでまだそのネタ続いてたのか。何を言っても無駄な気がして、訂正するのは諦めた。
でも。若くてかわいい嫁さんを貰って、嫁さんを養うために男として…などとありがちな事を思っていた俺には新鮮な話だった。その後の専務の奥さんとのエピソードを聞くとそれが正解かどうかは悩ましいところだが。
その後は段々と下世話な話になってきて放送できない内容にもなってきて。ナマエさんの話はいつの間にかどこかへ行ってしまったのでそれは良かったが。
だいぶ酒も回ってきた。明日も仕事だ。そろそろやめとかねぇと明日が危ういと思ったので。
「専務、明日もありますしそろそろ…。」
奥様も心配してますよ、とやんわりと伝えてみたが。
「なーーーにをいうか!夜はこれからぞ!若いんじゃからまだまだ平気じゃろう?」
今夜は帰さんからな。
男が男に言われても全く嬉しくないセリフをいただき。『これが最後の一杯じゃ。』を何度も繰り返して。
結局いつ家に帰ってきたのかが分からない。何とか自宅のベッドまでたどり着き、最後の力を振り絞ってアラームだけはセットして俺は意識を手放した。
全く眠った感じがしないままついさっき設定した気がする爆音で目が覚め、気合でシャワーを浴び。
今に至る。
頭が痛ぇ。えらく長い回想だったが、今俺はオフィスの入り口で立ち竦んでいた。
オフィスへ踏み込むその一歩が出ない。中を覗くと、ナマエさんは当然既に出勤していた。ここから見る限りだといつもと変わらない様にも見える。そんな事を思っていると、突然後ろから声を掛けられた。
「ずっとそこに居るつもり?」
振り返るとそこにいたのはペトラさんだった。邪魔なんだけど。と、何やらご機嫌斜めのご様子だ。
「おはようござ「ジャン。後で話があるから。」…はい?」
俺の反応は無視してさっさとオフィスへと入って行ってしまった。何なんだ?よく分からないがどうやら俺はお呼び出しをくらったらしい。中学生か。
いつまでもここで燻っていてもしょうがないので、ため息を一つ吐いてから自席へと向かった。
自席に着くと俺が声をかけるよりも早くナマエさんが気づいた。
「おはよう。」
「…はようございます。」
「………。」
「………。」
しばらく気まずい沈黙が続いた後。きっかけを作ったのはナマエさんの方だった。