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七不思議チョコレート

ソニック「あぁくそっ、ダメだダメだダメだ……!!」

床に雑誌を放り投げたソニックは、そのまま背中から倒れ四肢を投げ出した。
雑誌の表紙には綺麗な女性と共に「彼氏のハートを掴む♡バレンタインチョコ特集」と大きなキャッチコピーが描かれている。
ソニックはハッ!とわざとらしく苦笑した。男のくせに何やってんだろうなぁ、オレ。

雑誌に載っていたチョコレートはどれもありきたりな物ばかり。
これでは彼の……スネークの心に残るようなバレンタインチョコは作れない。
せっかく今回のスマブラで再会を果たすことが出来たのだ。再会してから初めて迎える今回のバレンタインデーのチョコレートは、特別な物にしたかった。

ソニック(ピーチ姫達に相談してみようか……)





善は急げ。自室から出たソニックがキッチンへ向かってみると、入口には「男性お断り」と書かれた貼り紙。
慌てて中を覗いてみれば、

ピーチ「もうすぐバレンタインデーですわね!」

ゼルダ「こうして女性だけでキャッキャウフフ出来るのは嬉しいですね♪」

パルテナ「サムスさんは誰に本命チョコ、渡すんですか?」

サムス「ひっ、秘密だ……!」

パルテナ「あらあら、秘密ということは、本命の方がいらっしゃる…ということですね?」

サムス「あっ」

ルキナ「え~誰です誰です!?教えてください~!」

プリン「ルキナは鈍いプリね。パルテナもみーんなも知ってるプリ。キャプ…」

ベヨネッタ「ダメよふうせんちゃん。サムスが顔を真っ赤にしてるでしょう」

サムス「べ、ベヨネッタ……」ホッ

ベヨネッタ「こういう時は本人の口から直接言わせるのが楽しいんじゃない」

サムス「ベヨネッタ!!!」

ナナ「サムスさん可愛い~!」

デイジー「ほらほら、サムスをからかうのはそれくらいにして!みんなはどんなチョコレート作るか決めたー?」

フシギソウ「私はチョコレートポフィンを作ろうと思ってるの」

プリン「あっ、プリンも作りたいプリ!」

しずえ「私はフルーツとチョコレートを組み合わせたものを何か作ろうかと!」

フィットレ♀「私はチョコバーを!運動しながらでも食べやすいですので!」

ロゼッタ「お星様の形をした一口サイズのチョコレートを沢山作りたいです」


キャッキャウフフ、そこはまさに女性達の聖域だった。
とても入っていける様子ではない。

ソニック「はぁ……どうしようかな…」

とぼとぼ、らしくない足取りでリビングに向かうと。


オリマー「七不思議?」

インクリング「そうっす!今なんかトゥイッターで話題になってるんっすよー!」

インクリングとその他数名が何やら話していた。

マリオ「おいおい、今まで七不思議なんて聞いたことないぞ?」

レッド「僕も聞いたことないです」

マルス「七不思議かぁ…面白そうだね」

カービィ「ぽよい」

メタナイト「カービィ、インクリングの靴紐を解こうとするのはやめなさい」

インクリング「先輩方、トゥイッターやってないんすか!?めっちゃウワサされてるんすよー!?もうアタシ気になって気になって夜も眠れないんすから!」

リンク「そのー、七不思議?って、どういうのがあるの?」

インクリング「よくぞ訊いてくれたっす!七不思議その1!池に住む河童!」

マリオ「ありがちだな」

インクリング「その2!海上の首長竜ニッシー!」

レッド「ラプラスかな??」

インクリング「そ、その3!雪山に住む雪女!」

レッド「ダイパで見た気がする」

インクリング「そ…その4…城下町を徘徊するガイコツ…!」

マルス「それが本当ならすぐに退治しないと、城下町の人々が怖い思いをしているだろう」

インクリング「そ…その5…空飛ぶコンニャク…」

カービィ「腹の足しにもならねぇな」

インクリング「…6…トイレのスマ子さん…」

メタナイト「カービィ、インクリングの靴紐をしゃぶるのはやめなさい」

インクリング「…うっ…今はなき…無人列車…」

リンク「今はないのにどうして『ある』ってウワサされてるの?」

インクリング「……うっ…うっ…」

オリマー「あ、あのぅ…皆さんそれくらいに…イカさんが可哀想ですよ…」

マリオ「まぁ七不思議なんて所詮は迷信。オバケや幽霊と同じさ。人の何かを恐れる気持ち、恐怖心が生み出した思い込み・幻覚でしかないんだよ」

インクリング「…んなこと…わかんないじゃないっすかぁ…!」

レッド「あ、僕そろそろ乱闘の時間なので…フシギソウ抜きで頑張らなきゃならないなぁ…」

マルス「僕もそろそろ行くよ。面白い話をありがとう」

カービィ「そぉい!」

メタナイト「カービィ!!私の!!仮面を触るのはやめなさい!!!やめんか!!!」

皆わらわらと散っていき、残されたインクリングは手にしたスマホを恨めしそうに眺めていた。

インクリング「ちくしょう…みんな夢がない…ロマンがない…そんなの…イカしてない…!!」

ソニック「あ、あのー…」

インクリング「!!」

背後から話しかけられたインクリングは飛び上がった。

インクリング「そ、ソニック先輩!!」

ソニック「なんかよくわかんないけど、元気出せよ。そうだ、インクリングはバレンタインデーのチョコ作りに参加しないのかい?キッチンで女性陣が楽しそうにしてたぜ?」

インクリング「…バレンタインデーなんて興味ないっす。それよりソニック先輩、アタシと七不思議探し、やりませんか!?」

ソニック「ユニバーサル?」

インクリング「アタシ…絶対七不思議を見つけて写真に証拠を残すと決めたっす!そんでそんで…マリオ先輩達をギャフンゲソゲソー!って言わせてやるっす!」

ソニック「は、はぁ…」

インクリング「でもアタシ、まだこの世界に来たばかりの新米ファイターなんで、この世界には明るくないっす。でもソニック先輩が一緒なら百人力っす!」

キラキラとした眼差しでインクリングが詰め寄ってくる。
ソニックはうーんと唸った。確かに七不思議探しは面白そうだ。でも、チョコレート……

ソニック(…どうせいい案もないんだ。気晴らしに付き合ってみるか)

ソニックは少し考えてから、「OK」と笑ってみせたのだった。
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