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君は君でいてほしい


フォックス「………また爆死した……」

今日もスマブラ界はいい天気。
城のリビングにて、フォックスとファルコはソシャゲで遊んでいた。

ファルコ「あーあ、また課金が無駄になったな」

フォックス「何故だ…何故来てくれない…沖田さん……」

ファルコ「今お前の足元に散らばってるリンゴのカードでいくら分借金払えたのかねぇ」

フォックス「何故…何故ジェロニモばっかり来るんだ……」

ファルコ「聞いてる?」

ソニック「フォックス、ファルコ、へいよーかるでらっくす」

フォックス「君はこの前呼符で征服王を引き当てていたソニック!!」

スネーク「ハリネズミ、なんだ今の挨拶は」

ソニック「ナイショ」

リビングにソニックとスネークがやって来た時、ファルコは「あ、そうだ」と声を漏らした。

ファルコ「そういやソニック、お前この間新作の情報出てたな。タイトルなんだっけか」

ソニック「SONIC FORCES」

フォックス「ソニ……ふぉ…?なんて??」

ソニック「あー、難しいならソニフォでいいよ」

フォックス「ソニフォて……なんか…うん…ソニックが攻めで俺が受けみたいな…俺が掘られるみたいな……なんかすっげー複雑だな…うん…」モゴモゴ

スネーク「あ"??」

フォックス「スミマセン何でもないデス」

4人が親しげに話している時だった。

「すまない、ちょっと通るぞ」

私服姿のサムスがスーツケースをガラガラ引きながら通りかかった。

ソニック「サムスか?」

サムス「え?あ、あぁ、そうだが…」

スネーク「驚いた、一瞬どこの令嬢だろうかと心奪われたよ」

スネークの口説き文句にサムスがカッと頬を赤らめ、ソニックはジト目で呆れたようにスネークを見た。

サムス「よ、よしてくれ……こ、これからピーチ達とお泊まりだからな…。少しでも綺麗にしていかないと、姫達に失礼だろう」

最近海の近くに出来たリゾート地。そこに今日から数日間、ピーチ・ゼルダ・サムスの3人は宿泊するのだという。
もちろんマスターハンドの許可はバッチリとってある。

ソニック「その服とっても似合ってるぜ。特にその髪留め!」

ポニーテールを保っているのは真っ白なマーガレットを模した宝石の髪留めだった。

サムス「あ、ありがとう……ファルコンに貰ったんだ……」

スネーク「そうか、彼はいいセンスをしている」

フォックス「お土産楽しみにしてます!」

サムス「ふふっ、じゃあ…行ってきます」

サムスは嬉しそうにはにかむと、城を出ていった。

ソニック「いつものクールなサムスもいいけど、女の子らしいサムスもいいな」

ウルフ「まったくだよな」

ファルコ「えっ」

ファルコとフォックスが座っていたソファーの下から突然ウルフが出てきた。

フォックス「怖ッッッッッ!!!!うっわ怖ッッッッッッ!!!!」

スネーク「ウルフ、お前…スニーキングミッションの才能あるかもしれんぞ」

ソニック「感心してる場合か!」

フォックス「いつからそこにいたの!?」

ウルフ「最初の課金のくだりから。…俺ァな、今絶賛ストーカー中なのよ」

フォックス「ストーカーって…まさかサムスをか!?」

ファルコ「ストーカー中だって宣言すんのもどうかと思うけど」

ウルフ「俺ぁ今ストーカーにハマってんだよ…このバレるかバレないかの狭間にいるスリル…ストーカーはいかに相手に気付かれずに近付けるか考えて行動する、言わば頭脳戦…くぅ~~たまんねぇぜ!!」

ソニック「ちょっと何言ってるかわかんない」

ウルフ「おっと、見失う前に俺も行かねぇと。じゃあな」

そう言うと、ウルフは颯爽と城を出てサムスを追っていった。

ファルコ「…ウルフの奴、変じゃね?」

スネーク「……」

ソニック「あ、そうだ、メタナイトに借りてた本返すとこだったんだ。じゃあオレはこれで!」

ソニックは持っていた本を確認すると、一足先にリビングを出ていった。

フォックス「おう!で…スネークは?」

スネーク「アイクに用がある。アイツ、自分のハチマキと俺の無限バンダナを間違えて持っていったらしくてな」

ポケットからアイクのハチマキを出してみせる。

ファルコ「そうか、じゃあまたあとで」

スネーク「あぁ」


***

ヨッシーからカービィの自室にメタナイトがいることを聞いたソニックは、早速カービィの自室を訪ねた。
ダンベルやフラフープ、ランニングマシンなどが山ほどあるのは気のせいだろうか。

ソニック「メタナイト、借りてた本返しに来たぜ」

そう言って「おお 騎士、仮面を外すとはなにごとだ!」とタイトルが書かれた本をメタナイトに手渡す。

メタナイト「あ、あぁ…」

カービィ「ねぇソニック、ボクを見て何か思わない?」

するとカービィが得意げにソニックに尋ねてきた。

ソニック「え?うーん、…?いや、特に何も…」

すかさずメタナイトが「痩せたと言ってやってくれ」と耳打ちしてきたので、

ソニック「そ、そういえば、すこーーーぅし痩せたか??」

カービィ「えっへへー!わっかるぅ~?ボクね、今ダイエットにハマってるんだー!やっぱイマドキぽよぽよまんまるぼでぃーは遅れてるよね?ボクはスリムでイケメンな星の戦士になるんだ!」

ソニック「えっ……???」

カービィ「よーし、もっともっと絶食して運動するぞー!」

ソニック「…なんか…カービィも変だな…アイツが絶食とかぶっちゃけありえない」

メタナイト「先程も同じ質問をされてな、陛下が『何も変わってないゾイ(爆笑)』と言ったら半殺しにされて庭の花壇に埋められた」

ソニック「うわぁ…」

メタナイト「今頃フシギソウが困っているところだろうな…」

ソニック「いやお前助けてやらなかったの」





一方、アイクの自室では。

アイク「L・O・V・E らぁらたーーん!!ハイ!ハイ!!ハイハイハイハイ!!!!!!」

スネークはドン引きしていた。

リンク「もうずっとこの調子なんすよ…」

ゼルダ不在で暇していたところを無理矢理連れて来られたのであろうリンクが、これまた無理矢理持たされたのであろう緑のペンライトをゲッソリした顔で左右に揺らしていた。
アイクはというと、ピンクと紫のペンライトを両手で振りながら、テレビの前でアイドルの少女が歌う曲に合わせて踊りつつ歌に合いの手を入れている。

スネーク(あーこれ、オタコンがこの前見せてきたアニメのアイドル…)

オタコン『これは最近オタク仲間の中で流行ってるアニメ。まぁ僕はマク○ス派なんだけどね!!』

そう言いながらオタコンがアニメ映像を嬉嬉として見せてきたのを思い出した。

リンク「これ…ドルオタってやつかな…アイクってばいつからこんなになっちゃったんだ…」

スネーク「…アイク、ちょっといいか」

アイク「かしこまっっ!!」

スネーク「………お前、自分がいつも使ってるハチマキはどこに置いた?まさかその…『らぁら命』、とか書いてないだろうな」

アイク「そこの棚の、上から2番目の引き出しの中だお!!そうかそれはいいな、後で書こう!!!!」

部屋中を見渡すと、壁や天井にはアイドルのポスターが貼ってあったり、棚やテーブルにはライブDVDやグッズが並べられていて、「これはアイクの部屋です」と英語の教科書でよく見かけるような文を言っても、もはや誰も信じてはくれないだろう。

アイク「俺はもう肉は食わない。金はすべてらぁらたんのために使う!剣の代わりにペンライトを振るう!CDもグッズもコンサートチケットもすべて手に入れてみせるぜいぇぇぇい!!さぁ、リンクも一緒に歌って踊ろう!」

リンク「嫌だ!!俺はゼルダ姫しか興味ないもん!!」

アイク「あ"ぁん??」

リンク「ひぃぃぃ!そ、それに、どうせ踊るならスネークも一緒に…っていねぇぇぇぇぇぇ!!!!」

スネークは無限バンダナを回収すると、アイクのハチマキを代わりに引き出しの中にしまい込み、早々に部屋を立ち去ったのだった。


***

ソニック「えっ、アイクも様子がおかしかったのか?」

スネーク「その様子だと…もしかしてメタナイトも?」

ソニック「いや、こっちはカービィだ。なんかダイエットにハマったとかで」

スネーク「アイクはアイドルにハマってたな」

夕飯後、廊下のトイレで2人は用を足していた。
スネークの自室のトイレは現在故障していて使えない。
マスターハンドに修理してくれるよう依頼しているのだが、なかなか行動に移してくれないので困っている。

ソニック「またタブーがこの世界を弄ったのかもな。それで一部のファイターに影響が出てるとか」

スネーク「そうだな。まぁしばらくすれば元通りになるだろうよ」

2人が手を洗っていると、マリオがやって来た。

マリオ「あぁ2人とも、ルイージ見なかった?」

ソニック「いや、見てないけど」

マリオ「じゃあまた部屋に閉じ込もってるのかな…」

スネーク「どうかしたのか?」

マリオ「いや、最近ルイージがなかなか部屋から出てこないなと思ってさ」

ソニック「でも、ご飯は毎日ちゃんと作ってくれてるよな?」

スネーク「普通そうに見えたが」

マリオ「そうなんだよねー。何か悩み事でも抱えてるのかな…お兄ちゃん心配…」

俯くマリオに、2人は顔を見合わせた。






夜。
不意に尿意を覚えたスネークは、頭を掻きながらベッドから抜け出した。

スネーク(少し飲み過ぎたか…)

トイレのドアを開けようとして気付いた。
しまった、故障しているんだった。
枕の下に備えていた銃をポケットに忍ばせ、もう片方のポケットにもう1つ、保険となるものをつっこみ、舌打ちをしながら渋々廊下のトイレを利用しに行った。

消灯時間はとうに過ぎている。
自室からトイレはそう遠くもないので、壁伝いに廊下を歩いた。

トイレの明かりをつけて中に入ると、

スネーク「……ルイージ?」

ルイージ「……やぁ」

寝巻き姿のルイージが立っていた。
スネークに向かって笑ってみせてはいるが、目の下にクマが浮かび上がっている。顔色も良くない。

ルイージ「ちょうどいいや、次は君に魔法をかけてあげようかな」

スネークが殺気に似た何かを感じ取り、銃を握った時には遅かった。
ルイージの影から無数の黒い腕が沸き上がり、スネークを捕縛した。

スネーク「ぐっ……!」

ルイージ「そんな物騒なモノ持っちゃいけないよォ」

腕の1つがスネークの手から銃を叩き落とした。

スネーク「ルイージ、こ、…っれは、どういう…っことだ!」

ルイージ「なぁに、ちょっと黒魔術的なものにハマっただけさ」

スネーク「!」

咄嗟に「保険」が入っている方のポケットに片手を突っ込んだ。

ルイージ「どうせ君も同じようになるんだし、いいよ、教えてあげる。カービィ達があんなふうになるきっかけを与えたのはこの僕さ」

スネーク「なん…だと?」

ルイージ「黒魔術の能力に目覚めた僕は、他の皆にも『可能性』を与えてあげたくなった。新しいことを始め、ハマれば、新しい自分になれる。そういう『新しい自分になる可能性』を与えてあげたくなったのさ。黒魔術のおかげで僕は怖いものなんて無くなったのだから!新しい自分になれたのだから!」

スネーク「…では、カービィは…」

ルイージ「カービィは食べてばかりだからね。『ダイエット』を始めれば、カービィはきっと新しいカービィになれると思ったのさ」

スネーク「アイクと…ウルフもか…!」

ルイージ「アイクは若干口数が少ないからね。アイドルにハマってアクティブになればいいなと思った。ウルフは……彼は手始めにと思って、魔法を試すかんじだったから、あまり深く考えてなかった」

スネーク(可哀想なウルフ)

ルイージ「とにかく、3人とも新しい自分に変われたハズさ。そのうちみーんなにもこの喜びを知ってもらおうと思ってるよ。ただ、この魔法は結構力を使うからね。1人ずつしかかけられないのが難点だけど」

スネーク「彼らを戻す方法は…あるのか…?」

ルイージ「あるよ。僕自ら解除の魔法をかけるか、愛のこもった美しくキラキラしたもので僕の黒魔術を封印するかだ」

スネーク「…?それはどういう…」

ルイージ「おっと、喋り過ぎたかな?まぁいい。ここまで話せば理解出来たよね。君にも新しい自分に生まれ変わるきっかけをあげるよ」

スネーク「…馬鹿げてる」

ルイージ「は?」

スネーク「確かに、新しい自分になることは、素晴らしいことなのかもしれない。大切なことなのかもしれない。……だがな、何も無理に変わろうとしなくたっていいじゃないか。今の自分が一番輝いていることだってあるだろう。第一、カービィ達は変わることを望んだのか?」

ルイージ「スネークにはわからないさ。僕は嫌だったんだ。臆病で、怖がりな自分が…!だから、誰にも負けない、立ち向かえる強い力が欲しかったんだ…!」

スネーク「その力がこの黒魔術ってわけか?」

ルイージ「あぁそうさ!嬉しかったよ。これでもう何も怖くない。新しい自分になれたってね!」

スネーク「そんなのはただの勘違いだ。いつ失うかもわからない強大な力だけに頼って、お前自身は何も変わっちゃいない!」

ルイージ「うるさい!せっかく新しい自分になれるよう力を使ってあげているのに、何故拒むの?」

スネーク「それはただのお節介だ、無理矢理自分の価値観を相手に押し付けているだけだ!」

ルイージ「….スネークはいいよね…。強くて、勇敢で、賢くて…。……そうだ、君も僕の気持ちを知ればいい…」

ルイージが呪文をぶつぶつと低い声で唱え始めた途端、スネークの頭に激痛が走った。

スネーク「ぐああア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!!」

ルイージ「君も臆病になればいい!怖がればいい!何かに立ち向かう勇気も知恵も捨てて、大事な人に嫌われたくないと陰湿に足掻けばいい!」

呪文を唱え終わったルイージが吐き捨てるように叫んだ。
捕えられたままのスネークには踠くことすら許されず、

ルイージ「ここで起こったことはすべて忘れているよ。新しい自分になっている頃にはね…」

ルイージの笑みを最後に、目の前が真っ暗になった。


***

翌朝。
朝食の時間。

カービィ「やぁみんな!」

ピット「カービィが…カービィの顔が星○雄馬みたいになってるぅぅーーー!!!!」

メタナイト「ダイエットしていたハズなのに…何故身体は変化せず顔のパーツだけ変化してしまったのか…」

カービィ「どうどう?カッコイイでしょ!巨人の星に近付いたよね!」

デデデ「カッコイイ星の戦士になるという当初の目的がなんか変わってるゾイ」

ゼニガメ「デデデ大王はなんで包帯ぐるぐる巻きなんだ?」

フシギソウ「ボロボロで花壇に埋まってたのよ」

マルス「あの…アイクは?」

リンク「昨晩から徹夜でアイドルのライブDVD観てる。ご飯は部屋で適当に食べるからいらない…と」

ヨッシー「あのアイクさんがですか…!?」

カービィ「あ、ボクも朝食いらないから!野菜ジュース飲みに来ただけだから!」

オリマー「ウルフさんは?」

ファルコ「サムスをストーカーしてるぞ」

ファルコン「何だって!?」

フォックス「あー多分大丈夫だよ。ウルフはストーカー行為が楽しいだけで、サムス本人には害を加えないと思う」

ピカチュウ「ねぇねぇ、ソニックとスネークさんもまだ来てないよ?」

ピカチュウが声をあげた時、

プリン「みんなー!スネークの部屋のドアにこんな貼り紙が…!」

プリンが慌ててやって来た。
持っていた紙をマリオに手渡す。

マリオ「えっとーなになに?『これからしばらくソニックの部屋で過ごします。食事は1日3食2人分部屋の前に置いてください。さもなくば城を爆破します』」

ネス「はぁぁ~~~~ん???」

ポポ「これ、どういうこと?」

ナナ「2人でソニックの部屋に閉じ込もるってことかしら」

ロボット「ナゼソノヨウナコトヲ?」

カービィ「いいんでない?好きにさせれば」

ルイージ「そうだよ。僕だって閉じ込もりたい気持ちはよくわかるし」

マリオ「ルイージ…」

ルイージ「食事は僕がちゃんと持っていくから、しばらく様子を見てみようよ。ほら、せっかく作った朝食が冷めちゃうし、とりあえず食べよう?」

そうだな、とみんなが席に着く中、ルイージは静かにほくそ笑んだ。






ソニック「……んん…」

おかしいな、ちゃんと目覚まし時計セットしたハズなのに。もう鳴った?
起き上がろうとするが、手脚が動いてくれない。

ソニック「………???」

頭が覚醒するのに少し時間がかかったが、両手首・足首を縄でキツく縛られているのを見て目を見開いた。

ソニック「こ、これ、なん……」

「起きたか?」

声のする方へ視線だけをやると、そこには朝食の皿が乗ったプレートを持ったスネークが立っていた。
目の下にはクマがうっすらと出来ていて、顔色も悪い。まるで別人だ。

ソニック「おっさん……だよな…?これ、どういう…」

スネーク「どうもこうも、……お前が逃げないように縛ってんの」

いつもと違うスネークの雰囲気に鳥肌が立つ。

ソニック「どうしてこんなことするんだ…!?」

スネーク「言ったろ、お前に逃げてほしくないから」

スネークはソニックに近付き、ベッドに腰掛けた。
ソニックの身体を起こし、枕に寄り掛からせる。

スネーク「食べさせてあげるよ」

ソニック「じ、自分で…食べるから、」

スネーク「そう言って、拘束を解いたら一瞬で逃げるだろう。ダメだ」

ソニック「にげ、逃げないよ、逃げない。約束する、から…」

スネーク「信用出来ない」

朝食のスクランブルエッグをスプーンで掬い、ソニックの口元に運ぶ。

スネーク「そら、温かいうちに食べな」

ソニックは口をきゅっと結んで、両手をぐいぐい動かそうと試みる。だが、縄はギチギチと肌にくい込むばかりで緩む気配はない。

スネーク「…綺麗に縛れているだろう?拘束モノにハマってね」

ソニックがスネークを見る。

スネーク「お前をこうして拘束していれば、お前はいなくならないよな。ずっと俺の傍にいてくれるよな」

スネークが微笑んだ。


***


ソニック(スネークまでおかしくなっちまった…)

結局朝食をすべて食べさせてもらったソニックは、ベッドの上で溜め息をついた。
右足首は縄の上から更にベッドの柱に繋がった鎖で拘束されていたため、這って部屋を出て誰かに助けてもらうことも不可能のようだった。

スネークは朝食の皿を廊下に出してきた後、カーテンと窓を少しだけ開けると煙草を吸い始めた。

ソニック「…オレにもひと口」

スネーク「……」

ソニック「アンタがやめられないモノ、ちょっと興味あるなーと思って…」

ダメ?と首を傾げてみせるが、スネークは煙を吐きながら「身体に悪いからダメだ」と答えた。
ソニックの体調を気遣うところからすると、どうやらこの拘束・監禁はソニックを痛めつけることが目的ではないらしい。

ソニック「なぁ、もっかい言うぜ。どうしてこんなことするんだ?」

スネーク「お前を逃がさないためだよ」

ダメだ、話が進まない。

ソニック「オレに逃げられると困るのか?」

スネーク「あぁ」

ソニック「どうして?」

スネーク「…………言えるわけ、ない…」

ソニック「なんだよ、ハッキリ言わないとわからないぜ」

スネークは黙り込んだ。ソニックはだんだんイライラしてきた。
すると、

トゥーン「ねぇあそこ、うっすら煙浮いてるとこ、ソニックの部屋のあたりじゃない?」

リュカ「もしかしたら、スネークさんが煙草吸ってるんじゃ…」

ディディー「えー、じゃあ本当にソニックの部屋で過ごしてるんだ」

ネス「お熱いねぇ」

庭で遊んでいたのか、トゥーンリンク達の声が聞こえた。
スネークは物凄い勢いで窓とカーテンを締め、テーブルまで走り、持参していた灰皿に煙草を沈めた。
まだ半分も吸っていなかっただろうに。

スネーク「…………っ」

スネークの顔色が一段と悪くなった気がする。

ソニック「Hey……大丈夫かよ…?」

恐る恐る声をかければ、スネークはよろよろとベッドに近寄り、シーツの上で横になっていたソニックに覆いかぶさるようにゆっくりと倒れ込んだ。







マリオ「はぁ……」

クッパ「どうした、マリオよ」

リビングでマリオが1人溜め息をついていると、クッパがのっそのっそとやって来た。

マリオ「今お前と話せる気分じゃないんで帰ってください。つーかお前と話す気なんて最初からこれっぽっちもないんで帰ってください帰りやがれ」

クッパ「まぁそう突き放すな。何か悩みがあるのなら言ってみろ。少しは楽になるぞ」

マリオ「誰がお前になんか…」

クッパ「…最近、ルイージが部屋に閉じ込もっているな」

マリオ「!」

クッパ「ピーチ姫がいたらすぐに本人に尋ねてくれるのだろうが…」

マリオ「…兄弟、だからこそ、なかなか話しかけられないものなのかもな…」

マリオが俯く。

ルイージの様子が何かおかしいことは、マリオもよく感じていた。
だが本人は、ゼルダがいない現状でも普段通り皆の食事を作ってくれるし、悩み事があったとしてもそれを話そうとはしない。普段通りに皆と接している。
だからこそ、マリオもなかなか「何かあったのか?何でも言ってみろ」とルイージに言えずにいた。

マリオ「兄として、弟の力になってあげたいんだけどなぁ…」

クッパ「ガハハ、なんだ言えたじゃないか」

マリオ「あっ!?!?」

やられた、とマリオが舌打ちしていると、

マスター「あーマジムカつく…」

マスターハンドが「ムカつく」を連呼しながら城に入ってきた。

クッパ「今日はまた随分と荒れているな」

マリオ「こういう時のマスターは恐ろしいからな、慎重に会話しないと」

2人は頷き合うと、マスターハンドに話しかけた。

マリオ「マスターハンドお疲れ様。また何かあった?」

マスター「マジムカつく。あのハゲ野郎また弄りやがった」

ああ、タブーがまたこの世界を弄ったのか…と2人が苦笑する。

マスター「マジホントこれで何度目だっつーの。今回はマジ許さねぇ」

クッパ「だ、誰か影響があった者は…」

マリオ「…そういえば、カービィがダイエットしていたり、アイクがドルオタになってたり、ウルフがストーカー野郎になってたりしてたな」

マスター「は?」

クッパ「ん?」

マリオ「え?」

マスター「私の調べによると、あのハゲ野郎のせいで発生した影響は『ファイターが1人、黒魔術の力を得る』だぜ?」


***

ソニック「……….」

ソニックは変わらずベッドの上で横になっていた。
拘束されていて特に何も出来ず、もぞもぞと身体を動かしていると、

スネーク「…どうした」

スネークが心配そうに覗き込んできた。

スネーク「どこか痛いのか?風邪か…?」

ソニック「あ、いや……じっとしてられなくて…」

スネーク「…そわそわ、するのか…?やっぱりどこか悪いんじゃ…」

ソニック「だ、大丈夫だって」

スネーク「!さっきの朝食…ハリネズミの分だけ毒が入っていたんじゃ…」

ソニック「おい、おっさん、」

スネーク「あぁぁダメだダメだダメだダメだ…!」

両手で顔を覆い頭を左右に何度も振りながら震える声で呻くスネークに、流石のソニックも真っ青になった。

ソニック「スネーク、おいスネーク!」

スネーク「嫌だ…なくしたくない…1人は嫌だ…一緒にいたい…」

ソニック「スネーク!」

ソニックは身体を横にゴロンと回転させると、床にうずくまっていたスネークの上にドスンと落ちた。

スネーク「ぐぇっ」

スネークがうつ伏せに倒れ込む。

ソニック「ほら、オレは元気元気!どこも悪くないから心配すんなって!」

スネークは立ち上がると、ソニックを姫抱きにした。

スネーク「………本当に…?」

ソニック「あぁ、嘘じゃない」

スネーク「…信用出来ない…」

ソニック「そうか?オレはアンタのこと信じてるんだけどなぁ」

スネーク「!」

ソニック「オレを縛って逃げないようにしてるってのも、アンタがオレとここに閉じ込もってんのも、ちゃんと理由があるからだって信じてる」

スネーク「どうして…」

ソニック「……好き、だからだよ。スネークのことが、大好きだからさ」

恥ずかしそうに笑うソニックの言葉に、スネークの瞳が揺れた。

ソニック「……あるぇ、あれは何だ?」

ソニックがテーブルに視線をやった。

スネーク「…俺の、ポケットに入ってた。ボイス、レコーダー」

ソニックは目を見開いた。
以前スネークに聞いた話を思い出していた。

就寝時、枕の下に銃を隠しておくのはもちろん、夜中などに1人で行動する時は銃のみならずボイスレコーダーも「保険」として携帯する。
たとえば敵と鉢合わせになりこちらが捕まった・戦闘不能になった場合、少しでも知りたい情報を得るために相手と会話をし、ボイスレコーダーにこっそり録音しておく。そうすれば、たとえ自分が助からなくても、後からボイスレコーダーを見つけた味方に、敵の情報を残すことが出来るのである。

ソニック「スネーク、お前…!」

スネーク「なんだ」

ソニック「もしかして昨日の夜、何処かに行ったのか?」

スネーク「……?覚えてない」

これは何かありそうだ。

ソニック「これ、最初から再生してみてほしいんだけど。…いいか?」

スネーク「あぁ…」

ソニックをベッドに座らせ、スネークは隣に座ってボイスレコーダーを手に取った。
昨晩録音されたと思われるデータを見つけ、それを再生させる。

『どうせ君も同じようになるんだし、いいよ、教えてあげる。カービィ達があんなふうになるきっかけを与えたのはこの僕さ』








ソニック「………」

スネーク「………」

録音を聞き終わった2人はしばらく黙っていた。

ソニック(黒幕はルイージ……)

スネークが、カービィ達がおかしくなったのはルイージが原因なのだとわかった。
そして、皆を元に戻す方法も。

ソニック(ルイージに頼んでも戻してはくれないだろうし、やっぱりルイージの黒魔術とやらを封印するしか……でも愛のこもった美しくキラキラしたものって一体…?)

ソニックが1人悶々と考えていると、

スネーク「…俺は…どこか、悪いのか?」

黙り込んでいたスネークが呟いた。

ソニック「…ルイージに魔法をかけられているんだ。多分ルイージの発言からして、今のスネークは臆病で怖がりになってるんじゃないかな」

スネーク「…本当の俺は…」

ソニック「ルイージも言ってたろ?強くて、勇敢で、賢くて……。この録音だって、スネークが自分を犠牲にしてまで残してくれた。…重要な手掛かりさ」

ああ、スネークは夜中に襲われていたというのに、オレは気付かず呑気に寝ていた。ゴメンなスネーク。
心の中で目の前の相手に謝っていると、

スネーク「……俺は、そんな人間じゃない…」

スネークが俯いた。

スネーク「俺は…普通の人間じゃない。この手を他人の血で何度も汚した。騙されたことも、裏切られたこともある。周りは敵だらけ、遠くから声で励ましてくれる奴はいてもその場で助けてくれる奴はいない。俺は1人だ。誰を信じればいい?みんな敵だ、信用出来ない。怖い、みんな怖い、俺は1人だ、1人は嫌だ…」

ソニック「…オレが…いるじゃないか」

スネーク「ああそうだ。お前がいる。お前は約束を破らない。裏切らない。わかってる、わかってるけど……怖い、信用出来ない…」

ソニック「…だから、オレを縛って、この部屋に一緒に閉じ込もったんだな」

スネーク「お前がいなくなったら、俺は1人だ。嫌だ、逃げてほしくない、嫌われたくない…」

ソニック「オレは、どこにも逃げないよ」

スネーク「……」

ソニック「この縄だってこのままでいい。ただ、1つだけ聞かせてくれ。…どうして、オレなんだい?」

スネーク「……」

ソニック「どうしてオレと一緒にいたいと思った?」

スネークは何度か口をぱくぱくさせていたが、やがてソニックを見つめると、

スネーク「…好き、だからだ」

と、何だか申し訳なさそうに囁いた。

スネーク「お前が好きだから、逃げてほしくなかった。…一緒にいたかった…」

ソニック「……そっか」

ソニックが笑った。

ソニック「アンタは強いよスネーク。だって好きな相手にちゃんと『好きだ』って言えるんだから」

顔色の悪いスネークの頬が、ほんの少しだけ赤くなった時。

マリオ「おーい、ソニックー!いるか?返事してくれー!」

部屋のドアをドンドンと叩く音がした。

ソニック「スネーク、ドアを開けて、マリオを中に入れてやりたいんだけど」

スネークの表情が強張る。

スネーク「お前を、奪いに来たのかも…」

ソニック「もしそうだったら全力で守ってくれよ」

スネーク「俺にそんな力は…」

ソニック「スネークは強いよ。オレは信じてる」

スネーク「……ソニック…」

ソニック「だからさ、スネークも….オレを、信じてくれないか」

ソニックの真っ直ぐな瞳をしばらく見つめていたスネークは、やがて立ち上がるとドアへ向かって歩いていった。


マリオ「あっスネーク…って顔色悪いじゃんどしたの!?」

スネーク「う、うるさい…要件を言え」

クッパ「しかも声ちっちゃ」

マスター「うーん、やっぱりコイツもカービィと同じ黒魔術の犠牲者っぽいな」

マリオ「あ、あのこれ…トイレに落ちてたけど、スネークのだよね?」

そう言って銃を差し出すマリオに、スネークは目を見開いた。

マリオ「スネーク?」

スネーク「……入れ」






ソニックの部屋に通されたマリオ、クッパ、マスターハンドは、早速スネークが昨晩残した録音を聴かされた。


マリオ「そんな…ルイージが黒魔術を…」

マスター「なるほどね」

クッパ「黒魔術だってタブーが原因なのだから、いつも通り時間が経てばルイージも皆も元に戻るんじゃ…」

マスター「確かに戻るが、今回は時間がかかるだろうな。部屋に閉じ込もったルイージがどんどん黒魔術の力を強大なものにしているだろうから。元に戻る前にルイージがファイター全員に魔法をかけ、この世界まで支配し始めたらそれこそヤヴァイことになるしな」

ソニック「なるほど、それじゃあ時間が解決するのを待つより、黒魔術を封印した方が早いってわけか」

マスター「ああ。幸い、この録音のおかげでその方法もわかっている。ただ…」

マリオ「愛のこもった美しくキラキラしたものって何ぞや?」

ソニック「そこなんだよなぁ…」

皆が頭を抱えていると、

スネーク「……キラキラ、してた」

ソニック「えっ?」

スネークが自分の髪の毛を触りながらソニックを見つめる。

スネーク「サムスの……マーガレット」


***

ルイージ「…ふふ…だいぶ力も溜まった。今夜は誰にしようかな…」

夕方、ルイージは誰もいないキッチンで1人、夕食の準備をしていた。
昼時は「今日もゼルダ姫はいないし、ルイージもずっと食事を1人で作るのは大変だろうから、昼食くらいは各自で準備して食べてくれ」というマリオの希望が通ったため、ルイージは昼食を作らず部屋にこもって魔力を高めることに専念していた。

ルイージ「ドンキーはどうだろう。彼はバナナばっかり食べてるから、『野菜にハマった』ことにして…」

「ルイージ」

不意にポン、と肩を叩かれた。

ルイージ「…兄さん」

マリオ「いい匂いだな。今夜はシチューか?」

ルイージは振り返ってマリオを見ると、笑顔を作った。

ルイージ「うん。兄さんの大好きなキノコたっぷりのね」

マリオ「流石我が弟!」

ルイージ「んもう、兄さんったら」

マリオ「……なぁルイージ、最近…何か変わったことはないか?悩み事…とか、ないか?」

ルイージ「………」

マリオ「その…何でも、お兄ちゃんに話してくれ」

ルイージ「…ありがとう兄さん。でも僕なら大丈夫だよ。もう僕は今までの僕じゃないからね!」

マリオ「…ルイージ…」

ルイージ「新しい自分に生まれ変わったんだ。ホントだよ?世界が変わって見えるんだ、毎日が楽しくて仕方ないよ!」

マリオ「………そうか……」

マリオが俯く。

ルイージ「もう少ししたら、兄さんにもこの喜びを教えてあげる!新しい自分になれるきっかけを…」

マリオ「いらない」

ルイージ「えっ」

マリオ「いらないよ。俺は今の俺が大好きさ。そして……今の俺と同じくらい、今までのルイージが大好きだ」

ルイージ「…兄さん、何を言っているの?」

マリオ「今のお前は、黒魔術に魅了され操られているだけの偽りの弟だって言ったんだ!」

ルイージ「!!」

ルイージがマリオを突き飛ばした。

クッパ「マリオ!」

キッチンに入ってきたクッパがマリオを受け止める。

ルイージの影から無数の腕が沸き上がり、2人に襲い掛かる。

マスター「やれやれ…醜い魔法だな」

腕はマリオとクッパに辿り着く前に、見えない念力のようなもので捻じ曲げられ消し飛んだ。

ルイージ「マスターハンド…!!」

マスター「随分と取り憑かれてやがるな。…あのハゲ野郎、今回はお仕置き程度じゃ済まさねぇ」

ルイージ「喧しい!全員まとめてやっつけてあげるよ…!!」

ルイージが問答無用で呪文を唱え始めた時、

ソニック「そうはさせるか!!」

キッチンに入ってきたソニックが何かをルイージに向かって投げつけた。

ルイージ「ぐああああああああああああああああ!!」

ソニックの投げたそれはルイージに当たり、たちまち光の閃光を放ち始めた。
ルイージの周りを取り囲んでいた黒く邪悪な気配は光に呑まれていく。

ルイージ「そんな……ッ…これ、はぁあ"っっ!!」

ソニック「アンタがスネークに言ってた、愛のこもった美しくキラキラしたものだ!」

ルイージの身体をも呑み込んだ光はやがて弱まっていき、気付いた時には床に倒れたルイージと、真っ白なマーガレットを模した宝石の髪留めが残されていた。




ソニック「ふぅ…間に合ってよかったぜ」

クッパ「サムスはリゾート地にいたのか?」

ソニック「うん。理由を話したら『遠慮なく使ってくれ』って。ストーカー中のウルフも見つけた(笑)」

マリオ「そうか…後でサムスにもお礼を言わないとな」

ソニック「あの宝石の髪留めは、ファルコンがサムスのことを想ってプレゼントしたんだ。条件にピッタリだよな!」

マスター「さてと…それじゃあ私はハゲ野郎を血祭りにあげてくるけど、お前らはどうする?私と一緒にハゲ野郎を処す?処す?」

マリオ「俺はルイージを部屋に運ぶ。それから、久々に兄弟でゆっくり話がしたいな…」

ソニック「オレも部屋に戻るよ。スネークに『必ず戻るから待ってろ』って約束したし、魔法が解けたか確認したいしな」

クッパ「ではワガハイはカービィとアイクの様子を見てこよう。ウルフは…まぁ、戻っていたら勝手に自分で帰ってくるだろう」

こうして、ソニック達の戦いは人知れず幕を閉じたのだった。


***


それから、
目を覚ましたルイージは、黒魔術の力がその身に宿った時からの記憶を一切覚えていなかった。
ルイージだけでなく、カービィやアイク、ウルフ、スネークも元に戻ったものの、魔法をかけられている間の記憶を失っていた。

また、今になって魔法の負荷が身体にどっと来たのか、彼らは皆数日間酷い熱に魘される羽目になった。

メタナイト「カービィは空腹と熱で苦しんでいる。可哀想に…」

マルス「アイクは熱に加えて筋肉痛。踊りで普段使わない筋肉を使ってたみたいで…」

フォックス「ウルフはなんつーか、プライドを色々やられてた…」

リザードン「でも、被害者がこれだけで済んでよかったよな。1歩間違えたらみんな危なかったんだろう?」

ピーチ「ええ。マリオ達、それからファルコンのおかげで助かりましたわ」

ファルコン「えっ、何のことかな??」

ゼルダ「ウフフ、秘密です♪」





ソニック「おっさん、」

ソニックはスネークの自室で、熱に魘されるスネークの看病をしていた。

スネーク「……ん"んぅ…ん」

ソニック「リンゴ、すりおろしてみたんだけど。…食べられるか?」

スネークはぎゅっと目を瞑り、眉間に皺を寄せて浅い呼吸を繰り返している。随分辛そうだ。

ソニック「…スネーク…」

前髪をゆっくり掻き上げ、弱っているスネークの熱を持った額に優しくキスをした。

スネーク「…ハァ….ん」

スネークがうっすらと目を開ける。

ソニック「あ……悪い、あの、リンゴ食べる?」

スネーク「……うつる……も…いぃ、から、」

掠れた声を出すスネークの頭をソニックが撫でた。

ソニック「何言ってんだよ。約束したろ?どこにも行かない、一緒にいるって」

スネーク「………っ…?」

ソニック「人の心配する前に自分の心配しろよな!まったく…」

ソニックはすりおろしたリンゴを1口ずつゆっくりスネークに食べさせてやり、マリオから預かった解熱剤を飲ませ、布団を掛け直してやった。

ソニック「ほら、手ぇ握っててやるから。オレが傍にいるから。だから早く元気になってくれよな」

ソニックが笑いかけると、スネークは「もう1回」とキスを強請ってきた。
珍しく甘えん坊だなと、再び額にキスを落とそうと顔を近付けた時、

マスター「トイレ修理しにきやっしたー」

マスターハンドが突然部屋に出現したので、ソニックは慌ててスネークから離れた。

マスター「あるぇ、お邪魔だった?めんごめんご、すぐ終わらせっから続けて続けて」

ソニック「続けられるかバカ!!」

マスター「あーほらほら、病人の前で大声出さないの!」

トイレに入っていくマスターハンドを見送ってからスネークを見ると、既に目を閉じて寝息を立てているところだった。

ソニック「おやすみスネーク。…大好きだよ」

そう言って唇にキスをしたソニックは、スネークの手を握り直した。


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