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可愛い我が子



最近スネークの様子がおかしい。

ソニック「あるぇ、おっさんは?今日乱闘入ってないハズだけど」

ネス「そういや見かけないね」

アイク「肉でも食いに行ってるんじゃないのか」モッチョモッチョ

マルス「こらアイク、さっきお昼食べたばかりなのに早速骨付き肉食べちゃダメだろう」

アイク「ぬぅん…」

サムス「スネークなら、先程城を出ていったぞ」

トゥーン「スネークさん、昨日も夕飯ぎりぎりまで出かけてなかった?」

メタナイト「最近外出が多いみたいだな」

ソニック「怪しいな…どうしたんだろう」

カービィ「城下町でボインな彼女とUNOでもやってんじゃね?」

メタナイト「あっ、コラ、カービィ…」

メタナイトがカービィの口元を押さえながらソニックをちらっと見る。
ソニックはカービィの発言に軽く頬を膨らませていた。まるで小さな子どもが拗ねているようだ。

カービィ「ごめんミスった」

トゥーン「だ、大丈夫だよソニック。確かにスネークさんはおっぱい大きい女の人には弱いけど、そう簡単に浮気をするような人じゃないと思うんだ!だから…」

ソニック「ふん!誰が浮気だって?オレ別にアイツの恋人でも何でもねぇし!」

ソニックは顔を赤くしてリビングを出ていった。

メタナイト「トゥーン…」

トゥーン「ごめん…フォローしようと思ったんだけど…」

カービィ「すまんすまんテヘペロ(´>ω∂`)」

ネス「みんな気付いてるのにねー。2人が付き合ってるってことくらい」

アイク「うっそマジでか……」モッチョモッチョ

マルス「アイク………」




夕飯時、スネークはいつの間にか帰ってきていて、ソニックの隣で皆と普段通りに食事をとった。

ソニック「…おっさん、アンタ今までどこに行ってたんだよ」

食事を済ませキッチンを出ていこうとするスネークにソニックが駆け寄る。

スネーク「別に。散歩だ」

スネークはちらとソニックを見ただけで、素っ気なく返すとすたすたと廊下を歩いていく。

ソニック「あの、今夜、……その、アンタの部屋、行ってもいい?」

慌てて付いていきながら、ソニックが口篭る。
スネークは足を止めてソニックを見た。
やっと視線がしっかり合って、ソニックの心臓がドキリと跳ねる。

スネーク「………いや、すまん、今夜はダメだ」

ソニック「そう言って昨日もダメだったじゃん」

スネーク「………すまん」

ソニック「…なぁ、いつならいいの?」

スネーク「………もうしばらく待ってくれないか」

ソニック「オレのこと嫌いになった?」

スネーク「何故そうなる」

ソニック「最近のアンタは何か遠くを見てる。オレじゃない別の何かを」

スネーク「ハリネズミ、」

ソニック「…もういい、そっちがその気ならオレももうアンタには構わない。巨乳の美女とUNOでもやってろ!!」

ソニックはそう吐き捨てると小走りで廊下を走り去っていった。


***


スネーク『好きだ、ソニック』

そう彼に告白されて、驚きと共に心が舞い上がったのを今でも覚えている。
「そっかー、おっさんオレのこと好きだったのかー」とニヤニヤしていると、いつの間にか抱きしめられて、静かに口付けられて、急に恥ずかしくなり何も言えなくなった。

それからスネークの部屋に誘われて、ベッドの上で身体を重ねた。
乱闘だろうが私生活だろうが何とも感じなかったスネークの、自分よりも大きくて逞しい人間の身体が、その時初めて怖いと思った。
そんなソニックの不安を取り除くように、スネークは優しく身体に触れてくれた。
適度に耳元で名前を呼びながら、額や頬に口付けを落としながら、ソニックの身体に快楽を刻みつけていった。

その優しさに依存してしまったのか、今ではソニックからスネークを求めることも多くなった。
数日に一度の晩、どちらかの部屋を訪れては朝まで2人きりの時間を楽しむのである。
一応自分達が恋人同士であることは、他のファイター達には内緒である(一部のファイターにはもうバレているが)。

だが最近、スネークがちょくちょく出かけるようになってから、ソニックはなかなかスネークと一緒にいる時間がとれずにいた。
夜のお誘いだって、先程のように有耶無耶に断られてしまう。
スネークは自分に飽きてしまったのか。カービィの言う通り、他に好きな人が出来たのか。
何だか自分だけスネークのことが大好きみたいで嫌になる。

ソニック(くそ……眠れない)

まったく恋の病とは恐ろしい。
スネークのことが気になって気になって仕方がない。

ソニック(誰か夜更かししてる奴いないかな…フォックスのとこにでも行ってみるか)

こうなりゃ誰かと朝まで起きていよう。どうせ明日は乱闘の予定もないし。
そう思い、懐中電灯を手に静かに自室を出た。

ソニック(ん……スネーク…?)

消灯時間の過ぎた真っ暗な廊下を歩いていると、ジャージ姿でスネークが階段を降りていくのが見えた。背中にはリュックサック。
予定変更。気付かれないよう少し後ろから付いていくと、スネークは静かに城を出ていった。

ソニック(こんな時間に何処に行くつもりだ…?)

ソニックも後に続いた。


***

城下町にある小さな寂れた公園。
スネークは辺りをきょろきょろと見渡しながら、木製ベンチに近付きしゃがみ込んだ。

スネーク「待たせたな」

そう言って手を伸ばす先には、ベンチの下に置いてあるダンボールの中にちょこんと座った子犬が1匹。
ダンボールから抱え出された子犬は、待ち焦がれていたとでも言うようにスネークの頬をぺろぺろと舐めた。

「可愛いじゃん」

無人であるハズの公園で声が聞こえて、ハッとして振り返った。

スネーク「…は、ハリネズミ…」

ソニック「こんな夜中に何事かと思って付いてきてみれば、…そんなカワイコちゃんと落ち合っていたとはな」

スネーク「違う、これは、」

ソニック「オレなんかよりもその柴犬が大事ってわけだ」

スネーク「そういうわけではない」

ソニック「嘘つけ、そいつお前に『待ってたわマイダーリン!』って言ってるぜ」

スネーク「馬鹿言え、コイツはオスだ!!」

ソニック「何ムキになってんだよ。どうせ今までオレの知らないところで2人してキャッキャウフフしてたんだろ」

スネーク「違う!!第一、キャッキャウフフするならお前と………ッ」

そこまで言ってスネークが口を噤んだ。しまった、とでも言うように顔を真っ赤にして。
そんなスネークを見て満足したのか、ソニックはどっと笑い出した。

ソニック「ハハハ、悪い悪い!ジョーダンだよジョーダン!正しくは『会いたかったよパパー』だ」

スネーク「……何言ってるのかわかるのか?」

ソニック「何となく、だけどな。一応同じ動物だからかなぁ」

スネーク「………本当は、もう少し落ち着いたら、お前にも話そうと思っていた」

スネークは子犬の右前脚に巻かれた包帯を解きながら、ぽつりぽつりと話し始めた。

1週間程前、煙草を買いに城下町まで行って、この誰も寄り付かない寂れた公園で一服していたら、子犬がおぼつかない足取りでスネークの脚に擦り寄ってきた。
脚の怪我を手当てして、ついでに偶然近くにあったペットショップで犬用ビスケットを購入して食べさせてやったら、見事に懐かれた。
それからスネークは毎日昼と夜にこの公園にやって来ては、子犬の世話をしていた。
マスターハンドに犬を城に入れてもいいか一応尋ねてみたこともあったが、「乱闘に関係ない部外者は勿論動物も入れちゃダメだっちゃ!」と言われたため、城で飼うのは諦めた。
とりあえずは怪我が治って上手く歩けるようになるまで。もう少し落ち着いたらソニックにこの犬を紹介しよう、そして里親を見つけてやろう、そう思っていた。

スネーク「アラスカで世話をしていた犬達を思い出してな、どうにも放っておけなかった」

ソニック「そういや犬ぞりやってたんだっけ、おっさん」

スネーク「ホント、可愛いよな…」

新しい包帯を巻き終えたスネークは、甘えた声で鳴く子犬の頭を優しく撫でながら目を細めた。

ソニック(もうすっかり飼い主じゃないか)

スネークから貰ったのであろう黄色の首輪をしている子犬をじっと見つめる。
自分と子犬に向けられている愛情がそれぞれ別のものであろうことは、十分わかっているつもりだ。
スネークの優しさもよく知っている。自分だって、怪我をした独りぼっちの子犬を見つけたら放ってはおけない。
だがどうしても、子犬にスネークをとられた、奪われた、横取りされたような気分を拭いきれず、ソニックはハァと溜め息をついた。

ソニック「こういうのを嫉妬って言うのかねぇ」

スネーク「ん?」

ソニック「何でもねぇよ。あーあ、いつからみみっちくなったんだろうなーオレ」

スネークは子犬を地面に下ろすと、ソニックに歩み寄り、しゃがみ込んだ。
目線が合って、あの時と同じように心臓がドキリと跳ねる。

スネーク「…その、悪かった。お前のことが嫌いになったわけじゃないんだ。…構ってやれなくてすまなかったな」

そう言って、ソニックの頭を優しく撫でた。

ソニック「…やめろよ。これじゃオレ、犬みたいじゃないか」

スネーク「そうか?…なら、どうしてほしい?」

ソニック「抱きしめろ。あとキスな。それで許さなくもない」

ソニックがそっぽを向いて呟くと、スネークはソニックを優しくしっかり抱きしめ、それから額と頬、唇にキスをした。

スネーク「お気に召してくれたか?」

ソニック「………」

スネーク「どうした、まだ不満か」

ソニック「……いや……クソ、久々だからめちゃくちゃ恥ずかしい………」

スネーク「………本当、すまなかった…」

お互いに顔を赤らめていると、いつの間にか子犬がソニックの足元に擦り寄ってきていた。

ソニック「……!バカ、オレはママじゃない!」

スネーク「は?」

ソニック「あっ、いや、コイツ…オレのこと『ママ』って……!」

スネークは目を丸くしていたが、やがて頬を緩めた。

スネーク「多分、お前から俺の匂いがするんだろうな。すっかり懐いている」

子犬が甘えた声で見上げてくるので、しゃがんで頭を撫でてやった。
さっきまでの嫉妬心が嘘のように浄化されていく。悔しいが、スネークが可愛がるのもわかる気がする。
スネークがパパで、自分がママ。
そう思うと、急に子犬のことを他人事とは思えなくなった。

ソニック「ったく、仕方ない。もうさ、こうなったら最後までこの子の面倒見てやろうぜ」

スネーク「えっ」

ソニック「いいじゃん別に、里親を無理して見つけなくったって。もうおっさんは立派に飼い主してるじゃん」

スネーク「だが、城では飼えない…」

ソニック「みんなには内緒でさ、この公園で飼えばいい。大変だろうけど、協力すれば臨機応変にやっていけるだろ」

スネーク「協力……してくれるのか?」

ソニック「当たり前だろ。オレは、アンタの……恋人…で、…この子の、…ママ、なんだから…」

もごもご口篭りながら恥ずかしそうに俯くソニックに、スネークは微笑んだ。

スネーク「そうだな」

その笑みが本当に幸せそうで、ソニックは「あぁ、この男はこんな顔も見せるのか」と思わず見とれてしまった。

それから、スネークが持って来ていたドッグフードや水をダンボールの中のエサ皿にそれぞれ補充し、その晩は城へ戻ることになった。

ソニック「明日は乱闘の予定もないし、オレが行くよ。オレの足ならすぐにあの公園にも行ってやれるしな」

スネーク「俺も乱闘が終わったら様子を見に行く。…あぁ、それから…夜は、俺の部屋に…」

スネークが何か言いかけた途端、

「どーもこんばんはー」

2人の前にタブーが現れた。

ソニック「うわ、タブー!?」

タブー「あの、マスターハンドからの伝言なんだけど」

スネーク「ま、まさかバレたんじゃ…」

タブー「そのまさかですん」

2人が焦って顔を見合わせていると。

タブー「んで伝言。『急遽スネークの部屋の壁に異次元ワンちゃん部屋を造ったから、そこの中でなら犬であれば飼ってもいいよ!だからもう夜に出歩くのはおやめなさい!散歩や運動はちゃんと城の外でやってくれよな!あ、あとエサ代とか玩具とかそういうのは全部君達で何とかしなさいよ!P.S.乱闘に支障をきたさない程度にキャッキャウフフしてね』だそうで」

ソニック「じゃ、じゃあ…!」

タブー「ワンちゃんを連れてきてあげなさい。マスターの気が変わらないうちに」

ソニック「お、オレ連れてくるから、スネークはここで待っててくれ!」

スネーク「おいおい、そんなに慌てなくても…」

ソニック「何言ってんだ、オレとアンタの子どもだぞ!寂しがってたら可哀想じゃないか!」

ソニックはそう言って、嬉しそうに音速でもと来た道を走っていった。

タブー「えっ何、オタクらワンちゃん産んだの!?」

あわあわと尋ねてくるタブーに、

スネーク「…柴犬のオスだ。可愛いぞ?」

スネークはイタズラに笑ってみせたのだった。

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