永遠にともに
はじめに
・もしもスマブラに参戦してるキャラ達の世界がみんな同じ一つの世界だったら…という勝手な妄想のもと生まれたのがこのお話
・スネソニが同棲してます
・若干MGSネタ入ってきます。捏造設定あったり
・細かいことは気にしないでください
・ソニックはスネークの嫁
以上のことが許せるお方は次のページへどうぞ( ˘ω˘ )
***
オタコン「……そういうわけだから、スネークも準備頼むよ。行動開始は1週間後だ。本当はすぐにでも動き出したいけど、こういう時こそ慎重に行動しないとね。入念な準備と計画性が……」
スネーク「あー…わかったわかった」
相棒と別れ、肌寒くなってきた夜の道を1人歩く。
反メタルギア財団「フィランソロピー」の工作員として、オタコンと共にメタルギアを破壊する日々を送っているソリッド・スネークは、ハァと息を吐いた。
真っ白に染まった吐息はフワッと宙に浮かび、すぐに儚く消えていく。
スネーク(…今夜は多分、シチュー辺りだな)
新たなメタルギアの情報が先程確認された。
「仕事」は1週間後。
それまで良好な身体を維持しつつ、大切な者との時間を精一杯楽しみたい。
この「仕事」に、「無事帰還出来る」という保証があるわけではないのだから。
***
街から少し離れた所にひっそりと佇む小さなアパート。
フォックス「おっ、スネークお疲れ!」
二階から階段を降りてきた狐のフォックスが、スネークに駆け寄る。
首に巻いたマフラーは勿論、尻に生えているもふもふの尻尾も温かそうだ。
スネーク「…これから出かけるのか?」
フォックス「あっはは…夜勤でね、交通整備のアルバイトさ」
スネーク「大変だな…明日夕飯の余りをお裾分けしに行くさ」
フォックス「そりゃあ嬉しいけど…悪いよ」
スネーク「気にするな、隣人のよしみだ」
隣人の住人と別れ、階段を上がって自分の暮らす空間に繋がるドアを開ける。
スネークが帰ってくるのを見越して、鍵は事前に開けられていたらしい。
中に入ると、
ソニック「お帰り!」
一瞬でエプロンを身にまとった青い針鼠が目の前に姿を現した。
この年齢も身長もスネークより下の針鼠が、彼の同居人である。
スネーク「ただいま」
少しだけ口元が緩む。
ソニック「おっさん鼻が真っ赤だぜ、やっぱ外寒かった?」
スネーク「あぁ、フォックスはマフラーしてた」
ソニック「フォックスはまたバイトかー。明日夕飯の余り持ってってやろう」
スネークが軽く屈むと、ソニックはスネークの顔を包み込むように両手を頬に添えた。
「冷たい」と言うソニックの手袋をはめた大きな両手が温かい。
スネーク「飯は」
ソニック「へへ、何だと思う?」
スネーク「シチュー」
ソニック「Shit!即答かよ」
帰る前からそんな予感はしていた。
ソニック「でもまだ出来てないんだよなー。悪いけどもうちょい待ってくれ。…あ、先に風呂入ってていいぜ、寒いだろ」
スネーク「いや、新聞でも読んで待ってる」
風呂は一緒に入りたいからなと呟くと、寂しがり屋さんめと笑われた。
***
キッチンから温かいシチューの香り。それからソニックの軽快な鼻歌が聞こえる。
今日はいつになく御機嫌だなと心の中で苦笑しながら、スネークは煙草に火をつけ、ソファーに座って新聞を開く。
『我が家の子ども自慢』という見出しの記事が目に入った。
ロゼッタが沢山のチコ達に囲まれて幸せそうな笑みを浮かべている。
スネーク(…子どもか…)
スネークには生殖能力がない。
魅力的な女性は好きな方だ。そういう雑誌にだって興味もある。
だが仮に愛する女性が出来たとして、生殖能力を除去されて生まれてきたスネークは女性と子を成すことは不可能。
子孫を、自分の遺伝子を、自分が生きていた証拠を、誰かと愛し合った証拠を後世に残すことが出来ないのだ。
昔は目の前の任務のことだけ考えていた。ただ戦場を生き残り自分のやるべき事を成す、そのことを考えるばかりだった。敵地へ潜入する時も人に紛れて生活する時も、いつも自分は1人だった。
だが今、以前より多くの仲間が出来て、自分の意思で戦うことが出来るようになってからは、自分のことについて何度か思うところがある。
もし、もしもだ。
自分が恐るべき子供達計画で生まれていなかったら。
ビッグボスが生殖能力を失わず、女性…例えば自分が生み出される時に代理母となった女性…と普通に恋に落ちて、結婚し、子を成していたら。その子どもがリキッドと自分…ソリッドだったら。
もしそうなら、自分は普通に学校に通って、クラブ活動をして、勉強して、偶にリキッドとどうでもいいことで喧嘩をして、誰かを好きになって、就職活動をして、働いて、家族を養って、
銃や刃物や火薬といった物騒な物を手にすることもなく、メタルギアなどという兵器を前にすることもなく、血塗ろな戦争とは無縁の幸せな人生を送っていたのだろうか。
ソニック「….….ん、…さん、おっさん、………おいスネーク!!!!」
ハッと我に返ってみると、ソニックがソファー越しに背後から声をかけているところだった。
ソニック「大丈夫か?さっきからずっとその……同じ記事を前に難しそうな顔して黙り込んで」
スネーク「…あ、あぁ、すまん」
ソニック「シチュー、出来たよ。食べようぜ」
スネークは新聞を畳むと、まだ半分程しか吸えていない煙草を灰皿に沈めた。
スプーンで野菜たっぷりのシチューを口に運ぶスネークを見ながら、ソニックがにこにこしている。
ソニック「美味しい?」
スネーク「ん、美味い」
ソニック「そっかー」
機嫌良さげに笑う同居人の顔を見ているだけで、先程の思考など簡単に吹き飛んでしまう。
過ぎ去った過去のifなどありえないのも同然だ。
過去がどんなものであろうが、いかなる運命を、使命を背負っていようが、今この瞬間が、未来が自分にとって幸せであればそれでいいと思うのだ。
スネーク「…ハリネズミ」
ソニック「ん?」
スネーク「好きな子は出来たか」
ソニックのスプーンを動かす手がピタッと止まる。
ソニック「…オレは…おっさんが、好きだぜ」
スネーク「…」
ソニック「そうでなきゃこうして一緒に暮らしてないし、アンタだけのためにシチューだって作ってないよ」
スネーク「…そうか」
ソニック「それともおっさんは、オレが二股かけてもいいってのか?」
スネーク「別にそういう意味じゃない。ただ、…聞いてみただけだ」
ソニック「言っとくけどオレは、今までもこれからも、アンタだけだからな」
宣言するように言って、再びシチューを食べ始めるソニックに、スネークは頬を掻いた。
寿命の短縮という遺伝子操作も受けたスネークの身体は、もうじき更に老化が進み衰えていくだろう。
他の人間に比べて残り少ないこの命、この人生、あとは精一杯、この針鼠と生きていきたい。
自分が子を成せなくとも、共に過ごしたソニックの記憶の中には、きっと自分が生きていたという思い出が、証が残るはずだ。
俺が生きている間は、俺のことだけを見ていてくれたら嬉しい。俺のことだけを愛してくれたらいい。
俺の残り少ない人生を共に過ごしてほしい。
俺が死んだあとは、新しく好きな子を作ってくれても構わない。その子と幸せな家庭を築いてほしい。ソニックは子孫を残すことだって出来る。
別に無理して子孫を残す必要もない。スネークという足枷から解き放たれて、自分の思うままに生涯一生自由に走り回ってくれて構わない。
ソニックの幸せが、死後の俺の幸せだ。
以前そんなことを話したら、ソニックをめちゃくちゃ怒らせた。
オレはお前の幸せの為だけに生きてるんじゃない、オレがお前と一緒にいたいからそうしているんだ、と。
だからお前はオレの行く末なんか考えず、自分が幸せに生きることだけ考えてろ、と。
スネーク(お前がそう思ってくれているなら、それでもいい)
スネークがどう思っていようと、最終的にソニックの人生をどう生きるかはソニック自身が決めることなのだから。
スネーク「…幸せ、か」
ソニック「おっさん、今幸せかい?」
スネーク「あぁ、怖すぎるほどにな」
ソニック「そっか、オレもさ」
スネーク「…1週間後、『仕事』で暫く留守にする」
ソニック「新しいメタルギア見つかったのか?」
スネーク「あぁ、」
ソニック「あーあ、オレも無線連絡に参加出来たらなー」
スネーク「いくら世界を何度も救っている英雄針鼠でも、こればかりは無理だ」
ソニック「ちぇー」
スネーク「だからこの1週間、沢山お前と愛し合いたいわけだが」
ソニック「…んだよそれ、まるで仕事行ったらもう帰ってこれませんって言ってるみたいだぜ?」
スネーク「さぁ、どうだか」
ソニック「……ちゃんと帰ってこいよ。死んだら許さねえ」
スネーク「勿論そのつもりだ」
食べ終えたシチューの皿洗いは後回しにして、2人で風呂に移動する。
この身体が実年齢に見合わず老人になっても、この針鼠は一緒に風呂に入ってくれるだろうか。
ちょっと考えて、邪念を振り払うようにスネークは首を軽く横に振った。
これからどうなるかなんて今はわからない。それでも。
今、大切な者がそばにいてくれる。お互いが幸せを感じている。
それだけでいい。それだけで充分だ。
***
すっかり帰りが遅くなってしまった。
いくら夕方といえど、この寒い季節になると日が暮れるのも早い。
フォックス「ソニック、お帰り!」
アパートに着くと、隣人のフォックスが階段を降りてきた。
フォックス「また走り回ってたのか?」
ソニック「まぁ結果的にはそうかな?GUNにちょっと協力して悪者を蹴散らしたら御礼状とか色々貰っちゃってさ。貰ったお金は銀行に振り込んできた」
フォックス「羨ましい……!!流石英雄は違うよな~」
ソニック「フォックスだって本職の遊撃隊の方、上手くいってるんだろ?よかったじゃん」
フォックス「それはそうなんだけども。…あ、そういや俺、まだソニックの成人祝いしてやれてなかったよな。ゴメンな~遅くなって…今度飲みに行こうよ、奢ってあげる」
ソニック「はは、サンキュー」
フォックス「じゃ、俺、これから夜のバイトあるから」
ソニック「まだ続けてたのか…」
フォックス「何だか馴染んじゃってさ!それじゃ、スネークによろしく!」
走り去っていく隣人を見送ってから、ソニックは二階へ繋がる階段を上がった。
鍵を開けドアノブを捻る。
靴を脱いで電気をつけて真っ先に向かうのは、テーブルの上に置いてある写真。
写真立ての中で幸せそうに静かに微笑む老人の輪郭を愛おしそうに指でなぞりながら、ソニックは笑った。
ソニック「ただいま、スネーク」
・もしもスマブラに参戦してるキャラ達の世界がみんな同じ一つの世界だったら…という勝手な妄想のもと生まれたのがこのお話
・スネソニが同棲してます
・若干MGSネタ入ってきます。捏造設定あったり
・細かいことは気にしないでください
・ソニックはスネークの嫁
以上のことが許せるお方は次のページへどうぞ( ˘ω˘ )
***
オタコン「……そういうわけだから、スネークも準備頼むよ。行動開始は1週間後だ。本当はすぐにでも動き出したいけど、こういう時こそ慎重に行動しないとね。入念な準備と計画性が……」
スネーク「あー…わかったわかった」
相棒と別れ、肌寒くなってきた夜の道を1人歩く。
反メタルギア財団「フィランソロピー」の工作員として、オタコンと共にメタルギアを破壊する日々を送っているソリッド・スネークは、ハァと息を吐いた。
真っ白に染まった吐息はフワッと宙に浮かび、すぐに儚く消えていく。
スネーク(…今夜は多分、シチュー辺りだな)
新たなメタルギアの情報が先程確認された。
「仕事」は1週間後。
それまで良好な身体を維持しつつ、大切な者との時間を精一杯楽しみたい。
この「仕事」に、「無事帰還出来る」という保証があるわけではないのだから。
***
街から少し離れた所にひっそりと佇む小さなアパート。
フォックス「おっ、スネークお疲れ!」
二階から階段を降りてきた狐のフォックスが、スネークに駆け寄る。
首に巻いたマフラーは勿論、尻に生えているもふもふの尻尾も温かそうだ。
スネーク「…これから出かけるのか?」
フォックス「あっはは…夜勤でね、交通整備のアルバイトさ」
スネーク「大変だな…明日夕飯の余りをお裾分けしに行くさ」
フォックス「そりゃあ嬉しいけど…悪いよ」
スネーク「気にするな、隣人のよしみだ」
隣人の住人と別れ、階段を上がって自分の暮らす空間に繋がるドアを開ける。
スネークが帰ってくるのを見越して、鍵は事前に開けられていたらしい。
中に入ると、
ソニック「お帰り!」
一瞬でエプロンを身にまとった青い針鼠が目の前に姿を現した。
この年齢も身長もスネークより下の針鼠が、彼の同居人である。
スネーク「ただいま」
少しだけ口元が緩む。
ソニック「おっさん鼻が真っ赤だぜ、やっぱ外寒かった?」
スネーク「あぁ、フォックスはマフラーしてた」
ソニック「フォックスはまたバイトかー。明日夕飯の余り持ってってやろう」
スネークが軽く屈むと、ソニックはスネークの顔を包み込むように両手を頬に添えた。
「冷たい」と言うソニックの手袋をはめた大きな両手が温かい。
スネーク「飯は」
ソニック「へへ、何だと思う?」
スネーク「シチュー」
ソニック「Shit!即答かよ」
帰る前からそんな予感はしていた。
ソニック「でもまだ出来てないんだよなー。悪いけどもうちょい待ってくれ。…あ、先に風呂入ってていいぜ、寒いだろ」
スネーク「いや、新聞でも読んで待ってる」
風呂は一緒に入りたいからなと呟くと、寂しがり屋さんめと笑われた。
***
キッチンから温かいシチューの香り。それからソニックの軽快な鼻歌が聞こえる。
今日はいつになく御機嫌だなと心の中で苦笑しながら、スネークは煙草に火をつけ、ソファーに座って新聞を開く。
『我が家の子ども自慢』という見出しの記事が目に入った。
ロゼッタが沢山のチコ達に囲まれて幸せそうな笑みを浮かべている。
スネーク(…子どもか…)
スネークには生殖能力がない。
魅力的な女性は好きな方だ。そういう雑誌にだって興味もある。
だが仮に愛する女性が出来たとして、生殖能力を除去されて生まれてきたスネークは女性と子を成すことは不可能。
子孫を、自分の遺伝子を、自分が生きていた証拠を、誰かと愛し合った証拠を後世に残すことが出来ないのだ。
昔は目の前の任務のことだけ考えていた。ただ戦場を生き残り自分のやるべき事を成す、そのことを考えるばかりだった。敵地へ潜入する時も人に紛れて生活する時も、いつも自分は1人だった。
だが今、以前より多くの仲間が出来て、自分の意思で戦うことが出来るようになってからは、自分のことについて何度か思うところがある。
もし、もしもだ。
自分が恐るべき子供達計画で生まれていなかったら。
ビッグボスが生殖能力を失わず、女性…例えば自分が生み出される時に代理母となった女性…と普通に恋に落ちて、結婚し、子を成していたら。その子どもがリキッドと自分…ソリッドだったら。
もしそうなら、自分は普通に学校に通って、クラブ活動をして、勉強して、偶にリキッドとどうでもいいことで喧嘩をして、誰かを好きになって、就職活動をして、働いて、家族を養って、
銃や刃物や火薬といった物騒な物を手にすることもなく、メタルギアなどという兵器を前にすることもなく、血塗ろな戦争とは無縁の幸せな人生を送っていたのだろうか。
ソニック「….….ん、…さん、おっさん、………おいスネーク!!!!」
ハッと我に返ってみると、ソニックがソファー越しに背後から声をかけているところだった。
ソニック「大丈夫か?さっきからずっとその……同じ記事を前に難しそうな顔して黙り込んで」
スネーク「…あ、あぁ、すまん」
ソニック「シチュー、出来たよ。食べようぜ」
スネークは新聞を畳むと、まだ半分程しか吸えていない煙草を灰皿に沈めた。
スプーンで野菜たっぷりのシチューを口に運ぶスネークを見ながら、ソニックがにこにこしている。
ソニック「美味しい?」
スネーク「ん、美味い」
ソニック「そっかー」
機嫌良さげに笑う同居人の顔を見ているだけで、先程の思考など簡単に吹き飛んでしまう。
過ぎ去った過去のifなどありえないのも同然だ。
過去がどんなものであろうが、いかなる運命を、使命を背負っていようが、今この瞬間が、未来が自分にとって幸せであればそれでいいと思うのだ。
スネーク「…ハリネズミ」
ソニック「ん?」
スネーク「好きな子は出来たか」
ソニックのスプーンを動かす手がピタッと止まる。
ソニック「…オレは…おっさんが、好きだぜ」
スネーク「…」
ソニック「そうでなきゃこうして一緒に暮らしてないし、アンタだけのためにシチューだって作ってないよ」
スネーク「…そうか」
ソニック「それともおっさんは、オレが二股かけてもいいってのか?」
スネーク「別にそういう意味じゃない。ただ、…聞いてみただけだ」
ソニック「言っとくけどオレは、今までもこれからも、アンタだけだからな」
宣言するように言って、再びシチューを食べ始めるソニックに、スネークは頬を掻いた。
寿命の短縮という遺伝子操作も受けたスネークの身体は、もうじき更に老化が進み衰えていくだろう。
他の人間に比べて残り少ないこの命、この人生、あとは精一杯、この針鼠と生きていきたい。
自分が子を成せなくとも、共に過ごしたソニックの記憶の中には、きっと自分が生きていたという思い出が、証が残るはずだ。
俺が生きている間は、俺のことだけを見ていてくれたら嬉しい。俺のことだけを愛してくれたらいい。
俺の残り少ない人生を共に過ごしてほしい。
俺が死んだあとは、新しく好きな子を作ってくれても構わない。その子と幸せな家庭を築いてほしい。ソニックは子孫を残すことだって出来る。
別に無理して子孫を残す必要もない。スネークという足枷から解き放たれて、自分の思うままに生涯一生自由に走り回ってくれて構わない。
ソニックの幸せが、死後の俺の幸せだ。
以前そんなことを話したら、ソニックをめちゃくちゃ怒らせた。
オレはお前の幸せの為だけに生きてるんじゃない、オレがお前と一緒にいたいからそうしているんだ、と。
だからお前はオレの行く末なんか考えず、自分が幸せに生きることだけ考えてろ、と。
スネーク(お前がそう思ってくれているなら、それでもいい)
スネークがどう思っていようと、最終的にソニックの人生をどう生きるかはソニック自身が決めることなのだから。
スネーク「…幸せ、か」
ソニック「おっさん、今幸せかい?」
スネーク「あぁ、怖すぎるほどにな」
ソニック「そっか、オレもさ」
スネーク「…1週間後、『仕事』で暫く留守にする」
ソニック「新しいメタルギア見つかったのか?」
スネーク「あぁ、」
ソニック「あーあ、オレも無線連絡に参加出来たらなー」
スネーク「いくら世界を何度も救っている英雄針鼠でも、こればかりは無理だ」
ソニック「ちぇー」
スネーク「だからこの1週間、沢山お前と愛し合いたいわけだが」
ソニック「…んだよそれ、まるで仕事行ったらもう帰ってこれませんって言ってるみたいだぜ?」
スネーク「さぁ、どうだか」
ソニック「……ちゃんと帰ってこいよ。死んだら許さねえ」
スネーク「勿論そのつもりだ」
食べ終えたシチューの皿洗いは後回しにして、2人で風呂に移動する。
この身体が実年齢に見合わず老人になっても、この針鼠は一緒に風呂に入ってくれるだろうか。
ちょっと考えて、邪念を振り払うようにスネークは首を軽く横に振った。
これからどうなるかなんて今はわからない。それでも。
今、大切な者がそばにいてくれる。お互いが幸せを感じている。
それだけでいい。それだけで充分だ。
***
すっかり帰りが遅くなってしまった。
いくら夕方といえど、この寒い季節になると日が暮れるのも早い。
フォックス「ソニック、お帰り!」
アパートに着くと、隣人のフォックスが階段を降りてきた。
フォックス「また走り回ってたのか?」
ソニック「まぁ結果的にはそうかな?GUNにちょっと協力して悪者を蹴散らしたら御礼状とか色々貰っちゃってさ。貰ったお金は銀行に振り込んできた」
フォックス「羨ましい……!!流石英雄は違うよな~」
ソニック「フォックスだって本職の遊撃隊の方、上手くいってるんだろ?よかったじゃん」
フォックス「それはそうなんだけども。…あ、そういや俺、まだソニックの成人祝いしてやれてなかったよな。ゴメンな~遅くなって…今度飲みに行こうよ、奢ってあげる」
ソニック「はは、サンキュー」
フォックス「じゃ、俺、これから夜のバイトあるから」
ソニック「まだ続けてたのか…」
フォックス「何だか馴染んじゃってさ!それじゃ、スネークによろしく!」
走り去っていく隣人を見送ってから、ソニックは二階へ繋がる階段を上がった。
鍵を開けドアノブを捻る。
靴を脱いで電気をつけて真っ先に向かうのは、テーブルの上に置いてある写真。
写真立ての中で幸せそうに静かに微笑む老人の輪郭を愛おしそうに指でなぞりながら、ソニックは笑った。
ソニック「ただいま、スネーク」
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