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君と夢見ることもない



それは、カムイやベヨネッタが正式に乱闘に参加出来るようになった頃の出来事。

ソニック「はぁ…暇だなぁ…」

夜、ソニックはリビングのソファーに座って溜め息をついていた。
明日は乱闘の予定もない。ちょっとくらい夜更かししたいところなのだが、ピカチュウやルカリオは先に眠ってしまったし、マリオだと朝までキノコトークに付き合わされそうだし、やることがなかなか見つからないのだ。

Xの頃はこういう時、よくスネークの自室に遊びに行っていたものだ。
部屋が隣だったこともあり、ソニックは「暇だ」だの「眠れない」だの言ってスネークの自室におしかけていた。
スネークは面倒そうな顔をしながらもなんだかんだ構ってくれた。
だがその傭兵はもうこの世界にはいない。ソニックは再び溜め息をついた。

ソニック「なんかいつも同じ毎日の繰り返しでつまんねぇなぁ…なんかこう、一日くらいいつもと違う日にならないかなぁ。刺激が欲しいぜまったく」

パルテナ「じゃああげましょうか?刺激」

ソニック「ユニバーサル!?」

いつの間にか隣にチョコ○イを食べながら少年サ○デーを読んでいるパルテナが座っていた。

パルテナ「そうですねぇ…貴方の『もしも』を一日だけ、私の奇跡の力で現実にしてあげましょうか」

ソニック「オレの…『もしも』?」

パルテナ「日常生活でよく思ったりしませんか?『もしも未来を知ることが出来たら』とか、『もしもドラ○もんがいたら』とか」

ソニック「あぁ…たまにな」

パルテナ「そういった『もしも』を一日だけ現実にしてあげましょう。どうします?」

ソニック「えー…でもなんか悪いなぁ」

パルテナ「では心の中で貴方の考える『もしも』を唱えてくださいね」

ソニック「お前人の話聞けよ」

パルテナ「いきますよ?ビビデバビデパルテナ~♪」

パルテナが呪文をお構い無しに唱え始めたので、ソニックは慌てて心の中で考えた。


ソニック(……もしも……)




ドンドン、ドアを何度も叩く音が聞こえる。

ソニック「ん……?」

気付けば自室のベッドにいた。

ソニック「あるぇ…オレ…いつの間に…」

考え込むソニックだったが、誰かが外からドアを叩いているようなので、一度考えるのをやめて廊下に続くドアへ向かった。

ソニック「はいはい、どちらさま…」

ドアを開けてギョッとした。
黒のトレーナーに迷彩柄のズボンという格好で、自分よりもはるかに身長が高い茶髪の、本来ならばこの世界にはもういないハズの男が立っていたからだ。

ソニック「……スネーク…」

ソニックが独り言のように呟くと、その男…スネークは顔をしかめた。

スネーク「なんだ、幽霊でも見てるような顔をして。失礼な奴だな」

ソニック「えっ、だって、あ、あるぇ…?おっさん、リストラされて…」

スネーク「リストラ?なんのことだ」

ソニックはハッとして、昨晩のパルテナとのやりとりを思い出した。

ソニック「夢じゃ、ないんだよな…」

スネーク「これ以上夢を見られたら困るな。ほら、さっさと来い、カービィが全員の朝食を吸い込んでしまう前にな」









スネークとキッチンに向かうと、皆がそれぞれの朝食を前にして既に席に着いていた。

ゼルダ「ソニックを起こしてきてくださってありがとうございます、スネークさん」

ゼルダが当たり前のようにスネークに話しかける。

ルイージ「それじゃ、みんな揃ったところで…」

「いただきます!!」





朝食後、パルテナがソニックにさりげなく囁いた。

パルテナ「いいですか?私の奇跡が続くのは明日の朝方までです。『もしも』の一日…しっかり楽しんでくださいね」

やはり昨晩のアレは本当だったのか、ソニックは思った。

パックマン「そういえばソニック、マリオからあの話聞いた?」

ソニック「へ?な、なんのことだ?」

パックマン「なんか今日の昼頃から城下町のカラオケボックス『地中海』で他社組の会を開きたいんだって。みんな参加するみたいだけどソニックも来るよね?今日乱闘休みでしょ?」

ソニック「…スネークも来る?」

パックマン「うん、行くって言ってたよ」

ソニック「…OK. オレも参加するぜ」


***

さて、昼頃。

カラオケボックス『地中海』の少し広い部屋を事前に予約していたマリオはニコニコしていた。

マリオ「いやぁ~やっとこうしてみんなと親睦を深める会が出来て嬉しいよ~!いつも誰かが都合が悪くてなかなか実行に移せなかったからね」

パックマン「はいはーいピザ取り分けるよー」

ロックマン「クラウドさん、おしぼり取ってもらえます?」

クラウド「……ん」スッ

リュウ「スネーク、今度君のCQCとやらを見せてくれないか。出来るんだろう?」

スネーク「ん……あまり気は乗らないが、いいだろう」

ソニック「……」

マリオ「どしたのソニック、スネークが気になる?」ニヤニヤ

ソニック「!?ばっ、そんなんじゃ…!!」

スネークを眺めながらぼーっとしていたのだろう。マリオに指摘されてソニックは慌てた。

マリオ「はいはいみんな、せっかくカラオケに来たんだもん、細かいことは後にして歌って打ち解けようぜ!!というわけで、いきますカラオケ一曲目!!」

パックマン「イエーイ!!」シャンシャン

クラウド「騒がしいのは苦手だ…」

マリオ「あ、クラウドは次歌ってね!!」

クラウド「ユニバーサル!?」

ロックマン「はいクラウドさん、選曲選曲!」

クラウド「えっあっちょっ」

リュウ「俺何歌おうかな…」

スネーク「…ハリネズミ、デュエットするか?」

ソニック「ユニバーサル!?」

皆がわいわい騒いで順番に歌う中、スネークがソニックの耳元で囁いた。

スネーク「ハハ、なーんてな。お前は歌が上手いからな…邪魔しちゃ悪いか」

ソニック「じゃ、邪魔なんかじゃない!!オレは…」

お前がいなきゃ寂しいよ。

マリオ「はい次!ソニックね!どうする?いつものSuddenly歌っちゃう?」

ソニック「………っ」

ソニックはちょうど歌い終わっていたロックマンと進行係のマリオが持っていたマイクを引ったくり、片方をスネークの前に差し出しながら言った。

ソニック「デュエットするぞ、おっさん!!」

スネーク「……!」

パルテナの言っていたことが本当ならば、スネークといられるのは明日の朝まで。
ならば精一杯楽しまなければ。

ソニック「オレ達は初代他社組なんだぜ?後輩達に他社組のなんたるかを見せてやらねぇとな!」

そう言って、笑ってみせた。

スネーク「…よし、やるか」

スネークがマイクを受け取った。


***

楽しい時間というのはあっという間で。
他社組の会が終わった後、城にマリオ達と戻ったソニックは、いつも通り皆と夕食をとった。一つ、いつもと違うことといえば、隣にスネークがいたことくらいだ。

ピカチュウ達に誘われリビングで五目並べをしていたソニックだが、消灯時間になるとピカチュウ達と別れ、自室のベッドに一人潜った。




ソニック「…………」

明日も乱闘の予定はない。

静かに部屋を抜け出し、隣のあの男の部屋へ。
何度も静かにノックをしていれば、スネークはやれやれといったように部屋に通してくれた。

ソニック「明日は乱闘の予定もないし、今夜は夜更かししたい気分なんだ」

スネーク「夜更かしって、何時まで起きているつもりだ」

ソニック「んー、朝まで?」

スネーク「流石にそこまでは付き合いきれんぞ。俺は疲れたからもう寝る」

ソニック「たっ頼むよぉ一緒に起きててくれよぉ!!」

ベッドに行こうとするスネークの脚にソニックがしがみつく。

ソニック「頼むよ…今回だけでいいから…朝まで…じゃないともう……!!」

スネーク「…明日好きなだけ付き合ってやるから、今夜は寝かせてくれ」

ソニック「明日じゃダメなんだよ!!もう…朝までしか……」

取り乱すソニックを暫し見つめていたスネークは、やがて折れたように溜め息をついた。

スネーク「…わかった。お前の気が済むまで一緒に起きていよう」

ソニック「Really!?サンキューおっさん!!よし、じゃあまずはオセロやろうぜオセロ!!」

スネーク「俺が勝ったら寝かせてくれ」

ソニック「おっさん!!」

スネーク「冗談だ冗談」








カチコチカチコチ、壁にかかった時計の針はどんどん進む。現在夜中の三時半。
沢山遊んだ二人だったが、ソニックは既に眠気眼だ。

ソニック(寝ちゃダメだ……寝ちゃ…)

スネーク「……ハリネズミ、」

見かねたスネークがソニックを抱き上げた。

ソニック「な、何すんだよおっさん…オレはまだ寝ない…からな…!」

スネーク「わかってるさ」

じたばたもがこうとするソニックを優しく抱き締め、トゲを撫でてやる。

スネーク「石鹸の匂いがする」

ソニック「ん…風呂…入ったから」

スネーク「そうか」

ソニック「お前は相変わらず煙草臭い…」

スネークの肩に顎を乗せた状態で、ソニックがスネークを抱き締め返す。
すんすんと鼻を動かしながら、スネークの首筋から髪の辺りの匂いを嗅いでいる。

ソニック「…おっさん…起きてる?」

スネーク「あぁ」

ソニック「………寝てない?」

スネーク「もちろん」

ソニック「…………おっさん…」

スネーク「ここにいる」

スネークがソニックの背中を優しくとん、とん、と叩く。
親が赤ん坊を寝かしつける時のように。
くぁ、と大きな欠伸を一つしながら、ソニックは重くなった瞼をいつの間にか閉じていた。

ソニック(…スネーク……)





ソニック「……………」

スネーク「……………」

ソニック「……………」

スネーク「……ハリネズミ?」

ソニック「………………」

スネーク「………おやすみ、ソニック」

まるで別れを惜しむように、スネークは再びソニックのトゲを撫でた。


***

あれから、
ソニックはいつも通り自室のベッドで目を覚まし、いつも通り朝食をとり、皆と乱闘し遊んだ。

スネークと久しぶりに過ごしたあの奇跡の一日が、今ではまるで夢のようだ。

ソニック「パルテナ、これ…受け取ってくれないか」

パルテナ「まぁ、こんなに沢山のお花…私に?」

ソニック「この前の…『もしも』の夢を見させてくれたお礼さ」

ソニックの言葉に、パルテナは目をほそめた。

パルテナ「いい刺激になりましたか?」

ソニック「あぁ、充分過ぎるくらいにな!」

ピット「あぁっ、パルテナ様、また奇跡の力を使ったんですね!?ダメでしょむやみやたらに使っちゃ!」

パルテナ「あら、今回は人のために使ったんですよ~ウフフ♪」

ピット「ってそれは僕の少年サ○デー!?また勝手に…コラァー!!」

パックマン「あっ、ソニック、そういえばマリオから聞いた?他社組の…」

ソニック「あぁ、地中海で親睦会の話?」

パックマン「そうそう!ソニックも来るよね?」

ソニック「…悪いけど、オレ抜きで楽しんできてくれ」

パックマン「え?でも…」

ソニック「色々あって経験済みだし…もう出来ないからさ、デュエット」

ソニックはそう言って笑ってみせた。









『もしもスネークが大乱闘に続投していたら』
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