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手が冷たいということは



これはまだ、今となっては随分昔のお話。


ピカチュウ「ソニック、『手が冷たい人は心が温かい』ってハナシ、信じる?」

ソニック「どうかなー。ただの迷信じゃないのか?」

ピカチュウ「そうかもしれないけど、なんでそんな風に言われているのか調べてみるのも面白いよね」

マリオ「あ、いたいた、おーい二人とも~」

ソニック「What?」

マリオ「明日みんなで海水浴行くから、今日中に準備しておけってマスターが」

ソニック「げ…」

ピカチュウ「わーい海だー!」

マリオ「ソニックは行ける?大丈夫?」

ソニック「オレ、悪いけどパス…」

マリオ「だよね~…。わかった、マスターに伝えておくよ。行かないのはスネークも同じだし」

スネークは一週間前から任務で自分の世界に戻っていて不在なのである。

ピカチュウ「ソニック行かないの~?つまんない」

ピカチュウが頬を膨らませた。

ソニック「ごめんなピカチュウ、お土産楽しみにしてるな」



そうして次の日、皆はそれぞれ荷物を持って、タブーが運転する送迎バスに乗って海へ出かけていった。

ソニックは城で一人お留守番。
だが、一筋縄ではいかなかった。

ソニック「なんか…クラクラするな…」

いつもの調子が出ない。
体温計で体温を計ってみる。
平熱をはるかに超えていた。

ソニック「夏風邪か…?ぅっ」

頭痛と吐き気が襲ってくる。
立っていられない。

ソニックは自室のベッドに潜り込んだ。
潜り込むのがやっとで、もう身体を動かせそうになかった。

ソニック(寒い…)

誰も見舞いに来てくれない。
世界に一人取り残されたような気分になって、なんだか柄にもなく悲しくなってきて。

ソニック「ぅぅ…」

意識が遠くなっていった。



スネ-ク「ふぅ」

一方その頃、ワープルームにて一人の男がスマブラ城へ戻ってきていた。
自室に戻り、任務で酷使したスニーキングスーツを脱ぎ捨て、シャワーを浴びてラフな私服に着替える。

スネ-ク「腹が減ったな」

任務でレーション続きだったスネークは久々に美味いものが食べたいと思い、キッチンへ向かった。

スネ-ク「ルイージもゼルダ姫もいないのか?」

なんだか城が妙に静かで、スネークは首を傾げた。
もしかしたらまたマスターハンドの気まぐれで、皆で何処かへ行っているのかもしれない。

スネ-ク(今の時期だと…海水浴あたりか?)

ならば、あの針鼠は留守番しているかもしれない。
ソニックの料理の腕前はフォックスから聞いていた。
気に入らない奴にご馳走してもらうのは少々癪だが、仕方がない。

スネークはお隣さんのソニックの自室を訪ねた。

スネ-ク「ん」

鍵が開いている。

ゆっくり中へ入ってみると、ベッドの布団が小さくこんもりと膨らんでいるのがわかった。
近づけば、乱れた呼吸の音。

スネ-ク「…ハリネズミ?」

試しに布団をめくってみると、そこには可哀想なくらい小さく縮こまって身体を震わせているソニックがいた。
呼吸が乱れている。

額に手をあててみる。
熱い。

スネ-ク(風邪か)

状況を察したスネークはため息をついた。

任務帰りでただでさえ疲れているというのに、気に入らない針鼠の子守りなんて出来るかと心の中で毒突くも、なんだかほうっておけないという困った良心が勝ってしまったので、

スネ-ク「…おいハリネズミ、生きてるか」

ソニックに声をかけた。

ソニック「…ハァ…んっ、す、ね…く」

ソニックの目が半開きになる。
何故かドキ、と心臓が跳ねた。

スネ-ク「…キツいだろう、喋るな」

スネークは布団を被せてやると、踵を返して部屋を出ていった。

暫くすると、再びスネークがやってきた。
自分の部屋の布団をありったけ持ってきて。

スネ-ク「それだけでは寒いだろう」

そう言って、持ってきた布団を優しく追加してくれた。
スネークのニオイだ、ソニックはぼんやり思った。

それから、ソニックはスネークが部屋の中を動き回るのをじっと眺めていた。
スネークはタオルを水で濡らして、額に置いてくれた。
キッチンでお粥を作って、食べさせてくれた。

ソニック「…すね…ありが…」

スネ-ク「それ以上喋ったら許さんぞ」

スプーンで掬ったお粥をフーフーと冷ますスネークに気づかれないように、ソニックは微笑んだ。
熱で辛いはずなのに、なんだか嬉しくてつい笑ってしまうのだ。

その後薬を飲まされたソニック。

スネ-ク「ほら、あとはその、なんだ、大人しく寝てろ」

スネークがソニックの頬に手をあてながら眠るように促すと、

ソニック「…きもちい…」

スネ-ク「…?」

スネークの手に頬擦りしながら、ソニックは深い眠りについた。

スネ-ク「やれやれ」

そういえば腹が減っていたんだった。
スネークは仕方なく余っているお粥を食べながら、時折咳込むソニックのそばにいた。



***

マリオ「…うん、もう大丈夫だよ」

数日後、ソニックはすっかり元気になっていた。

マリオ「やっぱりスネークの対応がよかったんだろうねー」

ソニック「おっさんにお礼しないとなぁ」

ピカチュウ「でもびっくりだなぁ、スネークさんがソニックを看病してくれたなんて」

ソニック「アイツはああ見えて優しいからな」

ピカチュウ「でもスネークさん、いつも難しい顔してるから近寄りにくいんだよね…。ソニックのことも嫌ってるみたいだから、ぼく苦手だなー」

するとソニックがぽつりと呟いた。

ソニック「アイツの手がさ、冷たかったんだ」

ピカチュウ「へ?」

ソニック「いや、なんでもないよ」

強ち迷信でもないかもな、そう思うソニックだった。

***

おまけ


スネ-ク「マリオ、ハリネズミを知らないか?新しく手に入れたこのバ◯ブで遊んでやろうかと思ってるんだが」

マリオ「残念、ソニックったらインフルエンザにかかったらしくてね。今自室で寝てるらしいから、これから行って看病を……っていねぇ!!!」

ゼニガメ「インフルエンザのイのあたりを聞いた時点で全速力で走っていったぞ」

ウルフ「よかったなマリオ、仕事が減って」

マリオ「いやぁ、ソニックが治ってくれるなら構わないんだけどね…」

ピカチュウ「変わったなぁ、スネークさん…」
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