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『ランス嬢、誕生日おめでとう!!』
カフェテリアの扉が開くやいなや、大量のクラッカーの華が開いた。
カラフルなテープと紙吹雪が舞う中で、猿達から揃って大きな拍手が送られる。
ああ、そうだ。今日は、僕の誕生日だ。
もしかして、みんな憶えていてくれたのか。
そう思うと嬉しくて、ここにいる全員がまさか世間から疎まれているならず者だなんて、忘れてしまいそうだった。
「あ、ありがとう」
「さぁ、野郎ども。存分に飲み食いしやがれ」
ウルフのその一言に、猿達はより賑わった。たらふく食べる者に飲む者、歓談を楽しむ者まで。
ランスもしばらくは猿達との会話を楽しんだ。
その中にはもう随分と長い間コロニーの警備をしている猿も居て、ランスの成長していくのが堪らなく感慨深いと言ってくれた。
──あれから、もう9年経つんだ。
スターウルフの元へやって来てから。
もう随分と長く居るものだ。
彼らは今よりもっと無知だった自分に、知識や戦闘について教えてくれた。
今では教官として立たせてもらう時がある程までに。
戦闘技術に関してはウルフ、そして知識に関してはレオンが。
今はチームを抜けてしまったピグマやアンドリューも、上から目線過ぎるのが玉に瑕(きず)だけど、専門知識に関しては為に成る事が多かった。
僕はただの実験材料だった。
でもウルフ・オドネルに拾われたおかげで現在(いま)がある。
彼が居なかったら、生きていたかも判らない。
何より、レオンに出会えていなかっただろう。
「……そうだ。レオン」
小さく呟く。
今年こそ、彼にチョコを渡さねばならない。
今年を逃せば、次は何年後になるか分からない。
依頼が来ない年なんて、彼にとってはそうそうないのだから。
ランスは猿達との歓談を中断して、タイミング良く厨房から出て来たレオンの元へ走った。
「レオン!」
その声に気が付いた彼は不思議そうな顔をする。
「どうかしたのか」
「えっと。この後、ちょっと時間作れる?」
「問題ないが、今日の主役が居なくて良いのか?」
「ほんの一、二分だから」
「ふむ」
言って、レオンは動き出す。
カフェテリアの入口まで行くと、立ち止まっていたランスを手招きする。
どうやら、場所を変えてくれるらしい。
そこまでしなくても、その場で渡すだけだったのだけど。まぁ、いいか。