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陽も当たらぬ、暗いコンクリートの廃墟の中。
辺りには縦横無尽に、蔦が生い茂っている。
この蔦が、恐らくは陽光を遮っているのだろう。
レオンは周囲に敵の気配がないのを確認し、その場に腰を下ろす。
落ち着いて溜息を零すと、それは白くなって上昇していく。
──今日は、特に冷える。
おそらく、外は雪模様になっているだろう。
爬虫類の種族であるレオンにとって、寒さは天敵と同等だ。
生理現象である以上は仕方ないが、寒さで全身が縮こまってしまうのはどうにかしたい。
我ながら、非常に情けない話だが。
こういう時に、生きた者の温もりが少し恋しくなる。
恒温の種族でさえ、人肌が恋しいという季節である。
この程度の事を思っても仕方がないと思う一方で、冷酷や非情と呼ばれる自身のプライドが「待った」の声を掛ける。
先程の任務で全身に浴びた返り血を布で拭いながら、ふと思い出す。
そういえば。
もうすぐ彼女の、ランスの誕生日だったか。
例年は依頼が入っているのもあって、遅れて贈り物をするのだが。
恋だの愛だのと囃し立てるこの時期は、決して良い事ばかりではない。
憎悪・嫉妬などと言った感情で、殺人依頼を掛けてくる者も少なからず居る。
特に、成功率の高いレオンには尚更だ。
故に、その日に彼女と過ごせた事はない。
全く、くだらないものだ。
他人だと真っ先にそう思うのだが、ランスが関わるとつい己の甘い部分が出てしまうらしい。
彼女は表面上ではクールを装っているが、こういったイベントごとが好きだ。
今回についても、きっと関わろうとしているに違いない。
恋や愛など、所詮は戯言に過ぎないが。
その戯言とやらで弄ぼうものなら、きっと彼女はどうすれば良いのか分からずに困惑するのだろう。
その表情や仕種を想像するだけで。
──愉しめそうだ。
レオンは表情こそ変わらないが、心は期待で躍っていた。
彼女は利用価値がある。
殺しとはまた違った快感をもたらし、心を満たしてくれるのだから。