独占欲
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赤煉瓦の建物に挟まれた人気のない路地裏。
其処でレオンは立ち止まった。
ランスは彼の歩行速度に付いて行けず、呼吸が乱れている。
「此処なら誰も来ないだろう」
「レオン、いきなりどうしたの?」
「ん? あぁ。少しさっきの奴に妬けてしまったものでな」
「え? さっきのナンパみたいな人?」
「そうだ」
──ドン。
レオンは、ランスを壁に追い込む。
鼻と鼻が触れそうな程に、距離を詰められていく。
何が起きているか把握していない彼女は戸惑う。
「えっと、これは……?」
「私ですら、お前の手を握る事など無いというのに。初対面の奴があんなにあっさりと握りおって」
「……あ」
なるほど、そういう事か。
どうやら、レオンはあの男性がランスの手を握っていた事が気に食わなかったらしい。それでこんな所に連れて来たのか。
──それで? 何をするつもりなのだろう?
「あの、レオン……?」
「まずはあの男に汚されたその手を何とかせねばな」
すると、レオンは先程男性に握られた方の彼女の手を取り、そのまま手の甲に優しく口付けた。
「ちょっ!?」
「何か問題でも?」
「あ、いや……」
妖しく微笑まれる。その表情がどこか色っぽくて、思わずドキドキしてしまう。
大好きな人に、手の甲に口付けられるなんて。
嬉しいけれど、その反面で動揺が隠せない。
「この手すら誰かに触れられたかと思うと、悔しいな」
「レオン……」
そこまで大事に想われている。と思ってもいいだろうか。
他人の気持ちや行動には正直疎い方だから、いつも半信半疑だ。
だけど、レオンのこの気持ちは信じてもいい。そんな気がする。
「このまま続けるか?」
「え!?」
突然の発言に、顔に火が付いたかと思った。
ぶんぶんと首を振って拒否をする。
「ククク、冗談だ。さぁ、ウルフも心配する。帰るぞ」
言って、レオンは離れて歩き出す。
しかしランスはそれが少し寂しいと感じてしまっていた。
──せめて。彼に少しでも触れていられるように。
「あの、レオン」
「何だ」
「戦闘機〈ファイター〉に乗り込むまででいいから、さ。手、繋いでてもいい?」
少し意外な言葉にレオンは驚いていた。
「……お前がそれを望むのであれば」
レオンが静かに手を差し出す。それをそっとランスは握り返す。
「フフ、ちょっと恋人っぽいね」
照れ臭そうに、でも嬉しそうに話す彼女。
レオンは表情こそ変わらなかったが、小さく「そうだな」と答えた。
→あとがき