第四話
夢小説設定
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ウルフは酷く不機嫌だった。
共有ルームに呼び出したまでは、まだ普通の対応だった。
しかし、ランスが例の計画について話して欲しいと懇願すると、彼は眉間に深く皺を寄せたのだ。
「レオン。お前も何を考えている」
その不満の矛先はレオンに向けられた。
呻るように声を低くし、威嚇するように睨む。
しかし彼は全く動じる事なく、普段通りに答える。
「私は彼女の成長を慮って、行動起こしたまでだ」
「お前はいつもランスに甘すぎる」
「ああ、自覚はしている。だがウルフ、それはお前とて同じだ」
「俺が?」
ウルフが眉をひそめる。
「ランスに真実を知られまいと、黙っているんだろう?」
「とんだ勘違いだ。俺は──」
「彼女が傷付かないよう、彼女が壊れないように、と」
ウルフの言葉を遮り、レオンは見透かすように言った。
すると二人はお互いを見たまま、動かなくなる。
…………。
何が、起きているのだろう。
長い付き合いだからこそ、二人にしか解らない事があるのだろう。
恐らくそれが今目の前で行われている。
しかし、自分のせいで二人の仲が悪くなるような事だけは。
決して、起きて欲しくない。
どうか、二人はいつもの二人で在って欲しい。
ランスは心の底からそう願った。
暫しの沈黙の後。
突如、ウルフが鼻を鳴らす。
「本来ならこんな奴、あっさり兵器にしちまうはずなんだがな」
「私もこんな小娘如き、と思うはずなんだがな」
二人はお互いにくつくつと笑う。
あの沈黙の間に何が起きたのかはやはり解らないが、当人同士はちゃんと理解しているらしい。
──それにしても、確実に僕の事を笑ってるよね。
「あの」
「ランス、ちゃんと腹は括ってるんだろうな」
「え」
「お前が思っている以上に、この計画の内容は厄介だぞ」
「もしかして、教えてくれるの?」
「残念だが、俺様から教えてやるつもりはねぇ。だが、それに関する情報を収集する事は認めてやる」
成長したいのなら調べる事も自分自身でやれ、と彼は言い継いだ。
これは、小さいけれど、一歩前進だ。
これで自ら調べてはいけないという壁は取り除かれた。
ランスは頷き、笑って見せた。
その笑顔に、二人の心が揺らいだ事を彼女は知らない。