第四話
夢小説設定
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「なるほど。それで私に聞ける事は聞こうと」
ランスはレオンの元を訪れていた。
一番事情に詳しいであろうウルフに計画の話を聞こうとすれば、きっと「余計な事はするな」と叱られてしまうだろう。
それならば、その次に事情に詳しいであろうレオンに聞けば、些細な事でも何か分かるかも知れない。
しかし彼もまた、業界で屈指の口が堅さで知られている。
ここは粘りに粘らないといけない。
「レオン、独自ルートで調べたって言ってたから。リーダー程ではなくとも、何か知っているでしょう?」
「否定はせん。が、お前に教える訳にもいかん」
「どうして?」
「知っての通り、お前は計画の成功例。下手に詳細を知って本物の兵器になられても、我々も困るのでな」
本物の兵器。
その言葉が、自分が兵器だという事を改めて認識させる。
だが、計画の内容を知った所で何が変わるというのだろう。
魔法の呪文でも隠されているとでも言うのだろうか。
「その成功例である僕が、件の研究者に知られてない訳がない」
「そうだろうな」
「じゃあ、僕も少しは計画の内容を知っておくべきじゃない?」
「私はそうも考えたのだがね。ウルフが頑なに教えたくないそうだ」
「……やっぱり、リーダーか」
その牙城を崩さなければ、やはりレオンも話せないらしい。
二人は、ベノム軍直属時代から厚い信頼関係を築いている。
ピグマとアンドリューの二人がスターウルフを抜けても、レオンがまだここに所属し続けているのはその信頼があるからだろう。
故に普段は非情なレオンと言えど、そう簡単に彼を裏切る事はない。
「念を押しておくが、ウルフはお前を想って行動している。憎しみの感情など持つんじゃないぞ」
「それは分かってるよ、レオン」
にっこりと微笑むランス。
それは十分に理解している。
元から憎しみの感情などは持っていない。
たまに過保護なのでは、と思ってしまう時はあるけれど。
「でも、計画についてはどうしても知りたい」
「……私が興味を惹かれているからか?」
「それもある。けど、過去や件の研究者について知る為にも」
そう、最初はレオンが興味を惹かれているからだった。
自分の過去など、知らなくても良いと思っていた。
しかし、考えれば考える程に、自分の過去やその計画の研究を続けているという物好きな研究者に興味が湧き始めた。
大嫌いな、ベノムの科学者だけど。
きっと過去に辛い目に遭わせた元凶とも言える存在だけど。
それでも、中止されたはずのこの計画に拘る人物を知りたい。
一体何者なのか。最終的な目的は何なのか。
「……」
「レオン、お願い」
「どうしても知りたいのか」
ランスは大きく頷く。
その真剣な眼差しにレオンは大きな溜息を吐く。
「ウルフを説得するのも、骨が折れそうだな」
「協力してくれるの?」
「但し、条件がある」
「……何?」
「好奇心は猫を殺す。お前が、己の力でそれを現実とならないように対策するのであれば、協力してやる」
要は軽薄な気持ちでこの案件に首を突っ込むな、という意味だ。
少なくとも例の計画の内容を知ると言う事は、成功例であるランスの知られざる過去や現実を知る可能性も大いにある。
関わらなかった方が幸せだったと、後悔するかも知れない。
それでも。僕は真実を知りたい。
そして、その研究者の本心が知りたい。
この計画を知る事で、僕は何か変わるかも知れない。
何となくだけど、そんな気もしていた。