第五話
夢小説設定
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Episode.05
ウルフから〈負の生物兵器計画〉について調べる事を許されたランス。
あれから間もなく、彼女はコロニー内の資料室で書物をひたすら読み漁っていた。
「……う。頭痛い……」
普段はレオンから「知識を付けるように」と手渡される本を何週間も掛けて読むランスが、かれこれ数時間もびっしりと埋められた活字を読み続けている。
体調に多少の変化が起きてもおかしくはない。
「もう少し、活字慣れしておけば良かった……」
後悔先に立たずであるが、小さく独り言ちる。
「おや、ランス? 調べ物かい?」
別の資料を探す中で、其処に現れたのはパンサーだった。
まず、彼が資料室に居る事自体に違和感があった。
「何しに来たの」
「ウルフに聞いたら、此処に居るって聞いたからさ」
言って、此方へと近付いてくるパンサー。
しかし彼女は眉をひそめ、鬱陶しそうな表情を浮かべる。
「今、僕は忙しい。邪魔しないで」
「例の計画について調べてるんだろう?」
潜在的な勘の良さなのか、はたまたウルフ辺りから事情を聞いていたのか、彼はランスの行動を言い当てる。
それにより、彼女の不機嫌のパラメータが増す。
何も答えずに資料をピックアップして、すたすたと作業机に運ぶ。
勢いのままに席に着くと、パンサーが向かいの席に腰を下ろす。
「引き籠もるのも分かるけど、外の方が情報は多いと思うぜ?」
「そんなの分かってる。でも事前に調べられるものは調べとく」
「真面目だねぇ。ひたむきなのも可愛らしくて惹かれるけど」
「はいはい。邪魔するなら出て行って」
言って、資料に再び目を落とす。
しかし、彼は出て行く様子がない。
それどころか、こんな事を言い出す。
「ランスはファイターに乗るのは苦手なんだろう?」
「……だから、何」
他人(ひと)の気にしている欠点をあっさりと言いのけるパンサーに、頬を膨らませたランスが睨む。
「俺がエスコートしようと思ってね」
「移動くらいなら平気。余計な気を回さないで」
「だが仮に、途中で襲われたら?」
「……」
ランスの乗る戦闘機〈ファイター〉は彼女専用ではあるのだが、移動──つまりは機動力に特化している為、戦闘能力は決して高くない。
万が一に戦闘能力の高い者と対峙してしまうと、こちらにほぼ勝機はないと言っても過言ではないだろう。
ましてや、戦闘に慣れていない上に自他共に苦手と認める操縦技術だ。
今回の調査にも不安がなかったと言えば、嘘になる。
「俺は宇宙での戦闘に慣れてるし、君を守れる自信がある」
「……要は、付いて来るつもり?」
「ダメかい?」
ランスは大きく溜息を吐いた。
断っても、きっと付いて来るんだろうな。
確かに、彼の方がパイロットの戦闘技術は遥かに上だ。
実際に見たことがあるかと言えばそれは否だが、あのウルフやレオンがメンバーとして迎え入れている時点で、実力は保証されたようなものである。
万が一、襲われたとしても撃退は可能だろう。
「でも君、計画の事は何も知らないんだよね」
「安心してくれ。最低限の情報は調査済みさ」
「ふぅん?」
そう簡単に調べられるものだっただろうか。
疑念を抱きつつも、相槌を打った。
これはランスは知らない話だが。
パンサーは先日、ウルフとレオンの情報共有を盗聴している。
故に、計画については実は今の彼女よりも詳しいのである。