12.一本気
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「えっ」
アカギの表情に舞美は心の底を掻っ攫われ、取り繕うことを忘れた。そんなことを言われたら、今の曖昧な関係じゃ満足できなくなる。
悲しきかな、十分幸せだというのに……それ以上を求めてしまうのが、女の性というもの。
「聞き方がずるい……」
彼の心が欲しい。
舞美はアカギの肌に身を寄せた。
「あなたに本気だって言われて、わたしが喜ばない訳がない。分かってるくせに。」
卑怯者め、と愛を込めて呟く。
アカギは「ごめん」と返してきた。
舞美がむっとしてアカギの耳を引っ張ると、「いてえよ」と素直に顔をしかめる。
こんなやり取り、夢のようだ。
「舞美、拗ねてるの」
「わたし、拗ねてるように見える?」
「ん、照れ隠し?」
「……正解は両方」
舞美は唇を噛んだ。
“本気だ”とは断定されていない。
「本気だったら、どう思う」なんて姑息だ。
もちろん言われて嬉しい言葉ではあるし、正直胸が熱くなるが、どうせなら曖昧な表現じゃなくて、本当に……。
(ああもう、アカギがいい男すぎて腹が立つ。いや、立たない。……好き)
舞美がじっとアカギを見ていると、
「あんたって、本当かわいいな」
と言われる。誤魔化されているのだと思っても、顔がほころんでしまう。
するとアカギは、軽く言った。
「あんたのこと好きだよ」
そう、何事もなく、彼は言ってみせたのだ。
例えば、雨粒が顔に当たった時に「雨だ」と呟くように、舞美に向かって「好きだ」と言ったのである。
それも、普段、おそらく空模様を一々口になんかしないであろう、彼が。
「ん、な……」
舞美はカウンターをくらい、急に真っ赤になった。手が汗ばんできて、心臓がうるさい。
でも、と舞美は冷静になろうとした。
好きという言葉は便利なもので。
特にアカギのような、思わせぶりな態度をとってくる男の発する「好き」など、たかが知れて——
「なに、疑ってるの」
「え、」
心を読まれた舞美は、言葉を失う。
「本気じゃなきゃ一緒にいるかよ」
クスクス笑うアカギに、舞美は心を鷲掴みにされたのだった。
アカギの表情に舞美は心の底を掻っ攫われ、取り繕うことを忘れた。そんなことを言われたら、今の曖昧な関係じゃ満足できなくなる。
悲しきかな、十分幸せだというのに……それ以上を求めてしまうのが、女の性というもの。
「聞き方がずるい……」
彼の心が欲しい。
舞美はアカギの肌に身を寄せた。
「あなたに本気だって言われて、わたしが喜ばない訳がない。分かってるくせに。」
卑怯者め、と愛を込めて呟く。
アカギは「ごめん」と返してきた。
舞美がむっとしてアカギの耳を引っ張ると、「いてえよ」と素直に顔をしかめる。
こんなやり取り、夢のようだ。
「舞美、拗ねてるの」
「わたし、拗ねてるように見える?」
「ん、照れ隠し?」
「……正解は両方」
舞美は唇を噛んだ。
“本気だ”とは断定されていない。
「本気だったら、どう思う」なんて姑息だ。
もちろん言われて嬉しい言葉ではあるし、正直胸が熱くなるが、どうせなら曖昧な表現じゃなくて、本当に……。
(ああもう、アカギがいい男すぎて腹が立つ。いや、立たない。……好き)
舞美がじっとアカギを見ていると、
「あんたって、本当かわいいな」
と言われる。誤魔化されているのだと思っても、顔がほころんでしまう。
するとアカギは、軽く言った。
「あんたのこと好きだよ」
そう、何事もなく、彼は言ってみせたのだ。
例えば、雨粒が顔に当たった時に「雨だ」と呟くように、舞美に向かって「好きだ」と言ったのである。
それも、普段、おそらく空模様を一々口になんかしないであろう、彼が。
「ん、な……」
舞美はカウンターをくらい、急に真っ赤になった。手が汗ばんできて、心臓がうるさい。
でも、と舞美は冷静になろうとした。
好きという言葉は便利なもので。
特にアカギのような、思わせぶりな態度をとってくる男の発する「好き」など、たかが知れて——
「なに、疑ってるの」
「え、」
心を読まれた舞美は、言葉を失う。
「本気じゃなきゃ一緒にいるかよ」
クスクス笑うアカギに、舞美は心を鷲掴みにされたのだった。