10.粋すじ
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こうして、 アカギのいる生活が始まったわけだが、彼は好きに出掛け、また舞美も今までと同じように過ごすため、あまり変わったことは起こらなかった。代わりに、ふとした瞬間にアカギの無防備な部分が見えてきたりして。その度に焦るのは、いつも舞美の方であった。
意外だったのは、夜中に何もされないこと。ドキドキと緊張しながら彼と一緒の布団に潜り込むものの、アカギはいつも「おやすみ」とだけ言って、何事もなく寝てしまうのだ。
危惧していた“問題”なんて、起こる余地がない。
もちろん、それでも舞美にとっては幸せな日々だった。アカギは寝ているかしていることが多かったが、たまにある何気ない会話は楽しめたし、何より毎日アカギに会えたら、という舞美の夢がいつのまにか叶っている。
たまにアカギがこちらをじっと見つめることがあったが、舞美も急にアカギに見とれたりするので、お互い様だと思うことにした。
「明日には決めなよ」
1週間が経ちそうな頃、アカギが言った。舞美は頷く。本当はもう決まっているけれど。
アカギは腰を上げ、カバンを持って玄関に赴いた。
「少し出る」
「……どこか行くの?」
昼間にアカギが外出するのはあまり多くないので、不思議に思って尋ねると、彼は「雀荘」と答えた。彼は顎で舞美を指す。
「あんたもついてくるかい」
「ん……じゃあ、行く」
アカギの勝負を見に、いざ行かん。
彼の後ろを辿り、着いた雀荘の中を伺うと、中にはなんと、治がいた。隣には見知らぬ男が1人。しかも、2人は“赤木しげる”の話をしているようだ。
アカギは様子を確認してから、そっと自分の存在を彼らに知らしめた。
「アカギさん!」
舞美もアカギに続いて中に入る。
「……ちょっと……渡したいもんがあってな」
アカギは治に封筒に入った大金を渡し、その場から消えようとした。それを呼び止めたのはもう1人の男。彼は仲井と名乗り、アカギに勝負を挑んできた。
しかし、舞美にも感じ取れたが、この男はアカギを沈めるような奴には見えない。
アカギも乗り気でないようで、その雰囲気を感じ取った仲井は、出口への扉を塞いだ。
「ふたつにひとつたい…」
こんな風にして閉じ込められるとは思わなかった。舞美はアカギの後ろで仲井を睨む。
アカギは呆れて、治に「殴れ」と冗談を飛ばした。舞美は2人のやりとりにクスリと笑う。
「勝負、受けないの?」
アカギに問うと、アカギは「あんたが言うなら」と笑いながら仲井の提案をのんだ。
全財産、を取り合う勝負らしかった。
意外だったのは、夜中に何もされないこと。ドキドキと緊張しながら彼と一緒の布団に潜り込むものの、アカギはいつも「おやすみ」とだけ言って、何事もなく寝てしまうのだ。
危惧していた“問題”なんて、起こる余地がない。
もちろん、それでも舞美にとっては幸せな日々だった。アカギは寝ているかしていることが多かったが、たまにある何気ない会話は楽しめたし、何より毎日アカギに会えたら、という舞美の夢がいつのまにか叶っている。
たまにアカギがこちらをじっと見つめることがあったが、舞美も急にアカギに見とれたりするので、お互い様だと思うことにした。
「明日には決めなよ」
1週間が経ちそうな頃、アカギが言った。舞美は頷く。本当はもう決まっているけれど。
アカギは腰を上げ、カバンを持って玄関に赴いた。
「少し出る」
「……どこか行くの?」
昼間にアカギが外出するのはあまり多くないので、不思議に思って尋ねると、彼は「雀荘」と答えた。彼は顎で舞美を指す。
「あんたもついてくるかい」
「ん……じゃあ、行く」
アカギの勝負を見に、いざ行かん。
彼の後ろを辿り、着いた雀荘の中を伺うと、中にはなんと、治がいた。隣には見知らぬ男が1人。しかも、2人は“赤木しげる”の話をしているようだ。
アカギは様子を確認してから、そっと自分の存在を彼らに知らしめた。
「アカギさん!」
舞美もアカギに続いて中に入る。
「……ちょっと……渡したいもんがあってな」
アカギは治に封筒に入った大金を渡し、その場から消えようとした。それを呼び止めたのはもう1人の男。彼は仲井と名乗り、アカギに勝負を挑んできた。
しかし、舞美にも感じ取れたが、この男はアカギを沈めるような奴には見えない。
アカギも乗り気でないようで、その雰囲気を感じ取った仲井は、出口への扉を塞いだ。
「ふたつにひとつたい…」
こんな風にして閉じ込められるとは思わなかった。舞美はアカギの後ろで仲井を睨む。
アカギは呆れて、治に「殴れ」と冗談を飛ばした。舞美は2人のやりとりにクスリと笑う。
「勝負、受けないの?」
アカギに問うと、アカギは「あんたが言うなら」と笑いながら仲井の提案をのんだ。
全財産、を取り合う勝負らしかった。