10.粋すじ
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舞美は慌てて台所に戻り、アカギの半裸から遠ざかった。彼は危なすぎる。確かにアカギの着替えを見たい気持ちもあるけど……。
それでも煩悩を取り払って彼の方に目を向けないよう努力すると、アカギは背後でくつくつと楽しそうに笑った。
「あんたって案外分かりやすいんだ」
「……そりゃ、最初から真っ直ぐにあなたを追いかけてきたのがわたしなんだから」
舞美は肩をすくめる。自分のアカギへの気持ちは、どちらかというと重いのかもしれない。片思いのまま6年を過ごしたり、好きだからと体を張って運命を共にしようとしたり。
「あんたなら、オレについてこれるのかねえ」
「……わかんない、やってみないと」
振り向くと、アカギはいつもの服装に戻り、煙草をつけようとしているところだった。
「アカギは、これからどうするの?」
「どうしようね。1週間、ここであんたの世話になるってのも心地よさそうだけど」
アカギの軽い発言に、舞美は手を止め、目を丸くする。
「それ、本当? ……歓迎する」
「話が早いな。ありがたく泊まらせてもらうよ」
「1週間後は?」
「その時はここを出ていく。東雲は、それまでにオレに付いてくるかどうか決めときな」
「……わかった」
十中八九決まっているが、とりあえず頷いておく。迷っているフリで、舞美はこの先1週間はアカギと同棲できるってわけだ。
(同棲って響き、なんか色っぽい)
舞美はにやけそうになるのを抑え、こほんと咳払いをした。
「アカギのお布団、買わないとね」
「なんで?」
「だって、1週間泊まるわけでしょう」
アカギはこてん、と首を捻った。
珍しい彼の仕草に胸がきゅんとする。
「別に、問題なかっただろ」
問題なかった……、そう、確かにそうだ。
舞美はそんなことを平然と言ってのけたアカギを見つめたまま、考えを巡らせた。
アカギと舞美は、昨夜2人で1組の布団で寝た。アカギはこの先1週間、そうして2人で眠ることに「問題はない」と言う。
もちろん、単に眠る場所という意味では問題などない。
が、ここで問題なのは、そこで問題が起きてしまうことだ。とは言え、それは男女の問題だし——いや、ここは舞美の気持ちの問題か。
そもそも向こうはその気があるんだろうか。
なるほどこれは舞美には難しい問題。
いやいや、そもそもこれはそういった“問題”などではない。
……と、舞美が静かに混乱していると、アカギは煙草の灰をトンと落として言った。
「オレ、夜這いする時はちゃんと起こすから」
少しだけ得意げに、まるで褒めろと言わんばかりに言ったので、舞美は納得したかのように、「そっか」などと答えてしまった。
全くもって「そっか」ではないが、それ以外の言葉を失うほど、彼に思考を奪われてしまっていたから、仕方がない。
舞美の脳内は既にアカギに犯されたも同義であった。
それでも煩悩を取り払って彼の方に目を向けないよう努力すると、アカギは背後でくつくつと楽しそうに笑った。
「あんたって案外分かりやすいんだ」
「……そりゃ、最初から真っ直ぐにあなたを追いかけてきたのがわたしなんだから」
舞美は肩をすくめる。自分のアカギへの気持ちは、どちらかというと重いのかもしれない。片思いのまま6年を過ごしたり、好きだからと体を張って運命を共にしようとしたり。
「あんたなら、オレについてこれるのかねえ」
「……わかんない、やってみないと」
振り向くと、アカギはいつもの服装に戻り、煙草をつけようとしているところだった。
「アカギは、これからどうするの?」
「どうしようね。1週間、ここであんたの世話になるってのも心地よさそうだけど」
アカギの軽い発言に、舞美は手を止め、目を丸くする。
「それ、本当? ……歓迎する」
「話が早いな。ありがたく泊まらせてもらうよ」
「1週間後は?」
「その時はここを出ていく。東雲は、それまでにオレに付いてくるかどうか決めときな」
「……わかった」
十中八九決まっているが、とりあえず頷いておく。迷っているフリで、舞美はこの先1週間はアカギと同棲できるってわけだ。
(同棲って響き、なんか色っぽい)
舞美はにやけそうになるのを抑え、こほんと咳払いをした。
「アカギのお布団、買わないとね」
「なんで?」
「だって、1週間泊まるわけでしょう」
アカギはこてん、と首を捻った。
珍しい彼の仕草に胸がきゅんとする。
「別に、問題なかっただろ」
問題なかった……、そう、確かにそうだ。
舞美はそんなことを平然と言ってのけたアカギを見つめたまま、考えを巡らせた。
アカギと舞美は、昨夜2人で1組の布団で寝た。アカギはこの先1週間、そうして2人で眠ることに「問題はない」と言う。
もちろん、単に眠る場所という意味では問題などない。
が、ここで問題なのは、そこで問題が起きてしまうことだ。とは言え、それは男女の問題だし——いや、ここは舞美の気持ちの問題か。
そもそも向こうはその気があるんだろうか。
なるほどこれは舞美には難しい問題。
いやいや、そもそもこれはそういった“問題”などではない。
……と、舞美が静かに混乱していると、アカギは煙草の灰をトンと落として言った。
「オレ、夜這いする時はちゃんと起こすから」
少しだけ得意げに、まるで褒めろと言わんばかりに言ったので、舞美は納得したかのように、「そっか」などと答えてしまった。
全くもって「そっか」ではないが、それ以外の言葉を失うほど、彼に思考を奪われてしまっていたから、仕方がない。
舞美の脳内は既にアカギに犯されたも同義であった。