1.不良娘
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「赤木しげる、ね」
忘れないように舞美が呟くと、アカギはようやく舞美の方へ顔を向けた。
「あんたはなんて言うの」
「わたしは東雲舞美」
「東雲ね」
そのやり取りを聞いた男は、驚いた顔をしながら、新しい服を手渡してくれた。女物などなかったのだろう、舞美もアカギと同じカッターシャツを着ることになる。
「なんだ、2人は知り合いじゃなかったのか……?」
「うん、さっき会ったばかりなの」
舞美はにこやかに言うと、アカギが「こいつがついてきたんだ」と肩をすくめた。
「ところで、あなたは?」
「オレか。南郷と呼んでくれ」
「分かった。南郷さんね」
「ああ」
南郷と名乗った男は、アカギの脱いだ服をじっと見てから、話し出した。
「それにしても、おまえいったいなにをやらかしたんだ…? こんな雨降りの夜……ズブ濡れでほっつき歩いて………知りもしない雀荘に、会ったばかりの女の子を連れてまぎれ込む……」
舞美は新しい服に着替えようとしたが、女なので皆の前で着替えられなくて、その場に突っ立ったまま南郷の話を聞いた。
アカギは背を向けて、新しいシャツに袖を通している。舞美にはその姿が官能的に見え、目を逸らした。
「しかも濡れた原因は雨だけじゃねえ…このシャツに付着した砂や塩水……つまり海水だ…」
南郷はなかなか鋭いようだ。
「こんな深夜に海水浴かい……?」
アカギはその問いかけには答えず、シャツをズボンの中にしまう。
「わかるよ……話したくなんかないことだろ。たぶんおまえは……ここにくる前………死線を越えてきた………!」
ここでようやく、アカギは南郷の方を見た。それから南郷は、自分も死線をさまよっているからわかるんだと口にしてから、なんとアカギに「頼む」と言い出した。
「オレの代りに次の半荘入ってくれねぇか……?」
あまりの発言の馬鹿さ加減に、舞美は「えっ⁈」と声を出した。
「わかっている……こいつは麻雀などしらないんだろう……?」
南郷は舞美に向かってそう言った。
「しかし…それでいいんだ…。生半可な技術はムダなだけじゃなく逆に奴らのいいえじきだ……全く知らないくらいがいい……」
「そ、そんなこと言ったって。命を懸けた勝負、人に任せちゃって良いの?」
「ああ。これはオレのカンなんだが。感じるんだ。こいつから…勝負をする者に不可欠な熱とツキと気——あんたなら、死線を越えられる……!」
舞美は先ほどのチキンランを思い描く。
「それを感じ取ったから、舞美ちゃんもアカギに付いてきたんじゃないのか……?」
「それは、その通りだよ。確かにアカギなら、やれないこともない…のかも」
「ああ。……やってくれるか? アカギ」
問いかけに対し、アカギは「いいよ」とだけ軽く言った。
流石アカギだ。今から人の命を背負うというのに、返答に迷う節もない。
南郷は喜んで、まずアカギに基本的なルールだけでも教えようとした。すると、「その前にさ、」とアカギが手でそれを制した。
「東雲に個別の部屋を貸してやってよ。どうやら着替えを見られたくなくて困ってるみたいだからさ。ね」
「あ、うん。ありがと……」
急なアカギの気遣いに、舞美は頰を赤らめた。
それとは対照的に、濡れた服のままで立っていた舞美を見た南郷は焦り出す。
「ご、ごめんな気が付かなくて……。その、舞美ちゃんから目を逸らしてたもんだから」
「え? わたしから目を逸らすって?」
「あー、いや、それはな」
南郷が何やら焦っているのを見て、アカギはクククと笑った。そんな風に笑うんだ、と舞美が思っていたのも束の間、衝撃的な発言が、その口から放たれる。
「言ってなかったっけ。——その服、透けてるぜ?」
忘れないように舞美が呟くと、アカギはようやく舞美の方へ顔を向けた。
「あんたはなんて言うの」
「わたしは東雲舞美」
「東雲ね」
そのやり取りを聞いた男は、驚いた顔をしながら、新しい服を手渡してくれた。女物などなかったのだろう、舞美もアカギと同じカッターシャツを着ることになる。
「なんだ、2人は知り合いじゃなかったのか……?」
「うん、さっき会ったばかりなの」
舞美はにこやかに言うと、アカギが「こいつがついてきたんだ」と肩をすくめた。
「ところで、あなたは?」
「オレか。南郷と呼んでくれ」
「分かった。南郷さんね」
「ああ」
南郷と名乗った男は、アカギの脱いだ服をじっと見てから、話し出した。
「それにしても、おまえいったいなにをやらかしたんだ…? こんな雨降りの夜……ズブ濡れでほっつき歩いて………知りもしない雀荘に、会ったばかりの女の子を連れてまぎれ込む……」
舞美は新しい服に着替えようとしたが、女なので皆の前で着替えられなくて、その場に突っ立ったまま南郷の話を聞いた。
アカギは背を向けて、新しいシャツに袖を通している。舞美にはその姿が官能的に見え、目を逸らした。
「しかも濡れた原因は雨だけじゃねえ…このシャツに付着した砂や塩水……つまり海水だ…」
南郷はなかなか鋭いようだ。
「こんな深夜に海水浴かい……?」
アカギはその問いかけには答えず、シャツをズボンの中にしまう。
「わかるよ……話したくなんかないことだろ。たぶんおまえは……ここにくる前………死線を越えてきた………!」
ここでようやく、アカギは南郷の方を見た。それから南郷は、自分も死線をさまよっているからわかるんだと口にしてから、なんとアカギに「頼む」と言い出した。
「オレの代りに次の半荘入ってくれねぇか……?」
あまりの発言の馬鹿さ加減に、舞美は「えっ⁈」と声を出した。
「わかっている……こいつは麻雀などしらないんだろう……?」
南郷は舞美に向かってそう言った。
「しかし…それでいいんだ…。生半可な技術はムダなだけじゃなく逆に奴らのいいえじきだ……全く知らないくらいがいい……」
「そ、そんなこと言ったって。命を懸けた勝負、人に任せちゃって良いの?」
「ああ。これはオレのカンなんだが。感じるんだ。こいつから…勝負をする者に不可欠な熱とツキと気——あんたなら、死線を越えられる……!」
舞美は先ほどのチキンランを思い描く。
「それを感じ取ったから、舞美ちゃんもアカギに付いてきたんじゃないのか……?」
「それは、その通りだよ。確かにアカギなら、やれないこともない…のかも」
「ああ。……やってくれるか? アカギ」
問いかけに対し、アカギは「いいよ」とだけ軽く言った。
流石アカギだ。今から人の命を背負うというのに、返答に迷う節もない。
南郷は喜んで、まずアカギに基本的なルールだけでも教えようとした。すると、「その前にさ、」とアカギが手でそれを制した。
「東雲に個別の部屋を貸してやってよ。どうやら着替えを見られたくなくて困ってるみたいだからさ。ね」
「あ、うん。ありがと……」
急なアカギの気遣いに、舞美は頰を赤らめた。
それとは対照的に、濡れた服のままで立っていた舞美を見た南郷は焦り出す。
「ご、ごめんな気が付かなくて……。その、舞美ちゃんから目を逸らしてたもんだから」
「え? わたしから目を逸らすって?」
「あー、いや、それはな」
南郷が何やら焦っているのを見て、アカギはクククと笑った。そんな風に笑うんだ、と舞美が思っていたのも束の間、衝撃的な発言が、その口から放たれる。
「言ってなかったっけ。——その服、透けてるぜ?」