アカギによって体が引き寄せられ、舞美は驚いて手を止めた。目の前にアカギの首筋が見え、その白い肌には血管が浮き出ている。
舐めたい、なんて思いついてしまって、舞美はその思考をなんとか振り払った。
アカギの体に理性を奪われないように気を保つだけでかなりの労力を使う。

だって、彼はあの頃の少年とはもう違っていて、アカギは男らしい体つきに変わっている。
その色気たるや、舞美の想像を遥かに凌いだ。
ずるい。……もう、アカギに首ったけ。
これで何度目だろう、舞美が「アカギはもう少年じゃない」と自分に言い聞かせるのは。

「どうしたの」

動きを止めた舞美に、アカギが尋ねる。

「東雲、続きして」

彼の声に舞美ははっとして、また手をゆるゆると動かした。
するとあろうことか、彼はこちらに体を預けてきた。
近くなったアカギとの距離が、体温を共有させる。

「ふ……、」

もたれかかるようにして舞美の肩に顎を乗せたアカギ。舞美の心臓は保（も）ちそうにない。
彼と一緒にいると、寿命が縮むことこの上ないよ。
彼の重さに緊張しつつも、舞美は微かに安堵感を抱いた。片腕などと恐ろしいことを宣っていたアカギが、このわたしに懐いている。
そんな少しの優越感に、そこまで長く浸っていられるほどの余裕は持ち合わせていなかった。

「あ、」

ぬるっとした感触。それは舞美の手には新しい発見だった。それは先端のところから少し出ているようで、舞美は動揺を隠せない。
アカギが、気持ちいいと思ってるってことだ。

慣れない手つきながらも、それを先っぽに塗りたくるようにして刺激を加えれば、アカギは身じろぎし、ソレはさらに上に反り立った。
舞美はごくりと唾を飲み込む。
何、今の反応。そんなのって、アリ？

もしかして、アカギの弱点って、

「ココ……？」

指の腹でくりくりと円を描くようにソコを触ると、アカギは「う、」と息を止めるようにして快感に耐える。その声が舞美の何かを煽り、彼女はとうとう目を潤ませて彼の名を呼んだ。

「アカギ」

舞美に体重を乗せているアカギが彼女の呼びかけに答えようとすると、自然と耳元で囁くような形になる。舞美はぞくぞくと背筋を震わせながら、彼の低音に耳を傾けた。

「いくらあんたと言えども、責められっぱなしは性に合わない」
「……え？」

束の間、彼の腕がまたもや服の中へ潜り込んできた。腰のあたりをすりすりと撫でられ、奥の方で何かが目覚めるのを感じる。時たま体を震わせて。……このままでは上半身は彼のものになってしまう。
舞美はもう、彼を止めなかった。

「ん」

アカギにかぷりと首を噛まれる。
目をつむって微かな痛みの中にある快感を探している間に、ごそごそと動めいていた彼の手を下着に到達させてしまった。

急な事態に息を深く吸うと、アカギの匂いがいっぱいに広がって、その中のフェロモンが舞美に女を覚醒させる。頭がくらくらしてきた。

（アカギが、わたしを求めてる……どうしよう、）

歯止めが効かなくなってしまう。

下着の上からふに、と確かめるように軽く胸を押され、舞美は少しだけ抗おうとした。が、彼の片手はこちらの腰を逃してはくれない。


「あの時より、膨らんでる」
「あ、ぅ……」


舞美は恥ずかしさで俯いた。
彼女は今ので、頭を働かせることができなくなった。

思考がまとまらない。
おかしい。
このままじゃ、ヘンになっちゃう……。

助けを求めるようにアカギを見れば、彼は意地悪な顔でもう一度、ゆっくりと胸を触ってきた。










「どうする？ オレならもっと大きくしてあげられるけど」