9.単一性*
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「じゃあ、石川さん……いや、東雲でも良いな。……あんたに任せたよ」
「え?」
アカギはそう告げて、背を向ける。
「お、おいアカギ。おまえがいなくなってどうする。ここで決着がつくとは限らないだろう」
「それに、わたしアカギみたく打てないよ」
「ああ、それは心配しないでいいから」
「なっ」
アカギはにやりと笑って、浦部にも聞こえるように言った。
「決着はつくよ。あの裸単騎には魔法がかけてある。浦部は手中の14牌から必ずその一牌を選び、振り込む」
彼の飄々とした態度に、舞美と石川は言葉を失った。浦部も冷や汗を垂らし、必死に何か考えを探っている。
「そういうことだ石川さん。問題ない」
彼が出て行こうとすると、とうとう浦部が牌を捨てた。長考の末彼が最後に切った牌、それは——丸の2つついた牌——つまり正真正銘、“二筒” だった。
「あ、っえ……? ウソ……」
舞美は震える手で雀卓の縁に伏せてある牌をひっくり返した。
「夢みたい……」
アカギのロン牌は、二筒だった。
「ロン」
その瞬間、ざわめきが起こり、一目浦部を見れば、正気を失ったかのように何か呻いている。
こんなことされたら誰だってこうなるだろう。
……アカギの逆転勝ちだった。
舞美は、驚きと畏れ、そしてアカギへの気持ちが爆発し、腰を抜かして立てなくなってしまう。浦部がいるこの部屋から抜け出したいのに、うまく立てない。困ってアカギを見上げると、彼はこちらの状況をすぐ察したようだった。
「ほら、掴まりな」
「あ、ありがと」
腕を引かれ、舞美はなんとかアカギに立たせてもらい、彼と一緒に部屋を出た。
「荷物とってくる」
「うん」
舞美がそこで待っていると、しばらくしてアカギがこちらへ歩いてきた。
組長や石川、そして治を引き連れて。
「どうかしたの?」
「さっきの解説。すぐ終わるよ」
「あ! わたしも聞きたい」
「卓はそのままにしておいた。その方が説明しやすいと思ってな」
アカギは先ほどと同じ部屋に入り、解説を始めた。実は今の二筒待ちは、その一局のみの話ではなく、様々なことが関係してのそれだったと言う。
治を初めに打たせたこと、最初は手なりで打ったこと。それからノーテン罰符、オープンリーチ、偶機待ちなど。それら全てを使い、浦部という人間を暴き、彼は二筒で待ったのだった。
再び闇の麻雀界に舞い降りた若き天才、赤木しげる。舞美は驚きおのめきつつも、新たなアカギの強さに惚れ直す。
「え?」
アカギはそう告げて、背を向ける。
「お、おいアカギ。おまえがいなくなってどうする。ここで決着がつくとは限らないだろう」
「それに、わたしアカギみたく打てないよ」
「ああ、それは心配しないでいいから」
「なっ」
アカギはにやりと笑って、浦部にも聞こえるように言った。
「決着はつくよ。あの裸単騎には魔法がかけてある。浦部は手中の14牌から必ずその一牌を選び、振り込む」
彼の飄々とした態度に、舞美と石川は言葉を失った。浦部も冷や汗を垂らし、必死に何か考えを探っている。
「そういうことだ石川さん。問題ない」
彼が出て行こうとすると、とうとう浦部が牌を捨てた。長考の末彼が最後に切った牌、それは——丸の2つついた牌——つまり正真正銘、“二筒” だった。
「あ、っえ……? ウソ……」
舞美は震える手で雀卓の縁に伏せてある牌をひっくり返した。
「夢みたい……」
アカギのロン牌は、二筒だった。
「ロン」
その瞬間、ざわめきが起こり、一目浦部を見れば、正気を失ったかのように何か呻いている。
こんなことされたら誰だってこうなるだろう。
……アカギの逆転勝ちだった。
舞美は、驚きと畏れ、そしてアカギへの気持ちが爆発し、腰を抜かして立てなくなってしまう。浦部がいるこの部屋から抜け出したいのに、うまく立てない。困ってアカギを見上げると、彼はこちらの状況をすぐ察したようだった。
「ほら、掴まりな」
「あ、ありがと」
腕を引かれ、舞美はなんとかアカギに立たせてもらい、彼と一緒に部屋を出た。
「荷物とってくる」
「うん」
舞美がそこで待っていると、しばらくしてアカギがこちらへ歩いてきた。
組長や石川、そして治を引き連れて。
「どうかしたの?」
「さっきの解説。すぐ終わるよ」
「あ! わたしも聞きたい」
「卓はそのままにしておいた。その方が説明しやすいと思ってな」
アカギは先ほどと同じ部屋に入り、解説を始めた。実は今の二筒待ちは、その一局のみの話ではなく、様々なことが関係してのそれだったと言う。
治を初めに打たせたこと、最初は手なりで打ったこと。それからノーテン罰符、オープンリーチ、偶機待ちなど。それら全てを使い、浦部という人間を暴き、彼は二筒で待ったのだった。
再び闇の麻雀界に舞い降りた若き天才、赤木しげる。舞美は驚きおのめきつつも、新たなアカギの強さに惚れ直す。