8.単純化
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舞美はそんな寂しそうな顔のアカギを見たのは初めてだったので、目を白黒させながら、
「みっ、見てるよ……」
と、どぎまぎしながら言った。数年前はあんなに簡単にアカギと話せたのに、今じゃこれを言うにも恥ずかしがってしまう。
それは、アカギが少年から“男”に成長したから、なのだろうか。
「ずっと前から、アカギのことしか見てないよ」
「……ふうん。ま、あんたがあの時オレを認識できなくても無理はないか」
「えっ?」
なんのこと? と舞美は首を傾げる。その様子を見たアカギはゆらめく煙をぼうっと見たまま呟いた。
「あの日、酔い潰れたあんたを運んだのは、ニセモノじゃなくてオレだから」
「え……アカギ、が?」
「そう。オレも驚いたよ、倒れてる女がいるなと思ったらあんただったんだから」
「ほ、本当に?」
「何を疑うことがあるの。そうだな。たしかオレがあんたを運んだのは——」
アカギは、宿の名前を口にした。それは正真正銘、舞美がその翌朝に目覚めた場所だった。舞美は「合ってる」と呟いてから、
「……そうだったの。勘違いしてた、ごめんなさい。あと、ありがとう」
「……次はないぜ」
「うん、もう呑まない」
そう答えてから、舞美は顔を赤くした。つまり、あの時本当は、平山ではなく、アカギにおぶられていたってわけで。
無防備な部分を全て見られてしまったことになる。となると、不安要素はたくさん思い浮かぶ。例えば、寝言とか。
「わ、わたし……、変なこと言ってなかった?」
「ん?」
「いや、なんにも言ってないなら、それで良いんだけど」
「どうだったかな」
「あ、ううん思い出さないで。わたしが失態をおかしてなければそれで良いの」
手を横に振ってアカギの回想を止める。しかし間に合わなかったようで、
「……あぁ」
と、アカギはクスリと笑って言った。
「あんたの寝顔。かわいかったかも」
「みっ、見てるよ……」
と、どぎまぎしながら言った。数年前はあんなに簡単にアカギと話せたのに、今じゃこれを言うにも恥ずかしがってしまう。
それは、アカギが少年から“男”に成長したから、なのだろうか。
「ずっと前から、アカギのことしか見てないよ」
「……ふうん。ま、あんたがあの時オレを認識できなくても無理はないか」
「えっ?」
なんのこと? と舞美は首を傾げる。その様子を見たアカギはゆらめく煙をぼうっと見たまま呟いた。
「あの日、酔い潰れたあんたを運んだのは、ニセモノじゃなくてオレだから」
「え……アカギ、が?」
「そう。オレも驚いたよ、倒れてる女がいるなと思ったらあんただったんだから」
「ほ、本当に?」
「何を疑うことがあるの。そうだな。たしかオレがあんたを運んだのは——」
アカギは、宿の名前を口にした。それは正真正銘、舞美がその翌朝に目覚めた場所だった。舞美は「合ってる」と呟いてから、
「……そうだったの。勘違いしてた、ごめんなさい。あと、ありがとう」
「……次はないぜ」
「うん、もう呑まない」
そう答えてから、舞美は顔を赤くした。つまり、あの時本当は、平山ではなく、アカギにおぶられていたってわけで。
無防備な部分を全て見られてしまったことになる。となると、不安要素はたくさん思い浮かぶ。例えば、寝言とか。
「わ、わたし……、変なこと言ってなかった?」
「ん?」
「いや、なんにも言ってないなら、それで良いんだけど」
「どうだったかな」
「あ、ううん思い出さないで。わたしが失態をおかしてなければそれで良いの」
手を横に振ってアカギの回想を止める。しかし間に合わなかったようで、
「……あぁ」
と、アカギはクスリと笑って言った。
「あんたの寝顔。かわいかったかも」