舞美がトイレに席を立ち不在となった時、治は「そばにおいてください」と言葉をこぼした。

「オレ赤木さんのようになりたいんです」
「……」

アカギは珈琲を見つめてから、そっと口に運んだ。

「なに考えてんだよ…」

彼の額には少し汗が浮かんでいる。

「オレなんかのそばにいると、とばっちりで火の粉がいくこともあるんだぜ」
「……覚悟してます」

アカギにはその眼差しは真剣に見えた。

「それに、東雲さんだって赤木さんについていってるじゃないですか」
「あいつは別さ。そばに置いておかないと“いけない”んだよ」
「えっと、それって、どういう……？」

治が首を傾げた時。アカギの周りに数人の黒服が現れた。もちろんアカギは驚きはしないが、治は仰天する。なんだこいつら、と。

「アカギ。組長がニセアカギとおまえの勝負、どうしても見たいそうだ」