8.単純化
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「えっ⁈」
思わず声を上げ、目をまん丸にしてアカギを見る。しかし彼は、
「……どうかした?」
と、むしろ平然とするので、聞き返すのをためらってしまう。
舞美は眉を下げて誤魔化すかのようににこりと笑った。
***
喫茶店に入り、治は先ほどの麻雀についてアカギに質問をし始めた。
「あの時六萬と西を引いたのは、偶然なんですか?」
「偶然ってことはないだろ。牌を戻す時にすり替えただけさ」
「……気づかなかった」
治は感心したように言う。
……確かに他の人は見抜けないかもしれないが、ずっとアカギの手元に集中していた舞美も分からなかったのは、何故だろうか?
舞美はその時の状況を思い出すと、「あっ」と声をあげた。
「そう。オレがあんたの手を握った時だぜ」
「あれは、わたしにイカサマがバレないようにするためのものだったんだ……」
彼なりの流儀なのかあるいは遊び心なのか。手元を凝視していた舞美にもイカサマを気づかれないよう、アカギは彼女の手を握って、その瞬間に牌から意識を遠ざけたのだった。
(なぁんだ)
舞美はちょっとばかり複雑な気持ちになる。アカギから手を繋いできたと思ったのに。
アカギの解説を聞きながらぼんやり考えていると、誰かがテーブルの下で足を絡ませてきた。
舞美は驚いてびくりと肩を跳ねさせる。
これはどう考えても、対面のアカギだ。
(なに?)
テーブル越しに視線を送ってメッセージを伝えるものの、アカギは特に合図を送ってこない。
「ちょっと?」
こそりと小声で言う。
「ん?」
アカギはとぼけたように眉を上げ、にっと笑った。
「東雲?」
「あ、えっと」
彼がこちらを見るだけで顔が熱くなる。
その時緊張したのか、舞美は御手洗いに行きたくなった。我慢する必要はないので、絡みつかれた足をそっと抜いて席を立つ。特に抵抗はされなかった。それはそれで悔しい。
自分はいつからこんなにわがままになってしまったのか。舞美は御手洗いに向かいながら自問自答した。
……だって、わたし、アカギのこと本気で手に入れようとしてるから。
思わず声を上げ、目をまん丸にしてアカギを見る。しかし彼は、
「……どうかした?」
と、むしろ平然とするので、聞き返すのをためらってしまう。
舞美は眉を下げて誤魔化すかのようににこりと笑った。
***
喫茶店に入り、治は先ほどの麻雀についてアカギに質問をし始めた。
「あの時六萬と西を引いたのは、偶然なんですか?」
「偶然ってことはないだろ。牌を戻す時にすり替えただけさ」
「……気づかなかった」
治は感心したように言う。
……確かに他の人は見抜けないかもしれないが、ずっとアカギの手元に集中していた舞美も分からなかったのは、何故だろうか?
舞美はその時の状況を思い出すと、「あっ」と声をあげた。
「そう。オレがあんたの手を握った時だぜ」
「あれは、わたしにイカサマがバレないようにするためのものだったんだ……」
彼なりの流儀なのかあるいは遊び心なのか。手元を凝視していた舞美にもイカサマを気づかれないよう、アカギは彼女の手を握って、その瞬間に牌から意識を遠ざけたのだった。
(なぁんだ)
舞美はちょっとばかり複雑な気持ちになる。アカギから手を繋いできたと思ったのに。
アカギの解説を聞きながらぼんやり考えていると、誰かがテーブルの下で足を絡ませてきた。
舞美は驚いてびくりと肩を跳ねさせる。
これはどう考えても、対面のアカギだ。
(なに?)
テーブル越しに視線を送ってメッセージを伝えるものの、アカギは特に合図を送ってこない。
「ちょっと?」
こそりと小声で言う。
「ん?」
アカギはとぼけたように眉を上げ、にっと笑った。
「東雲?」
「あ、えっと」
彼がこちらを見るだけで顔が熱くなる。
その時緊張したのか、舞美は御手洗いに行きたくなった。我慢する必要はないので、絡みつかれた足をそっと抜いて席を立つ。特に抵抗はされなかった。それはそれで悔しい。
自分はいつからこんなにわがままになってしまったのか。舞美は御手洗いに向かいながら自問自答した。
……だって、わたし、アカギのこと本気で手に入れようとしてるから。