1.不良娘
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それから一度は彼を見失った舞美だが、その男を追い、走りに走って、なんとか背後を取れた。
はぁはぁと息を切らした舞美は、バシャリと水たまりに足を突っ込む。
すると彼も舞美の存在に気がついたようで、その歩みを止め、ふっとこちらを振り返った。
それまでの短い人生をいやが応にも人に想像することを強いる真白な髪、その目の奥は底なしの闇。
暗い風景によく映える風貌。
キリリとした顔立ちに、不覚にも舞美はどきりとした。
年齢は舞美と変わらないくらいか。
そして、その瞳が舞美を射抜いた。
2人は一定の距離を開けたまま、相対 する。
雨が2人の体を打つが、舞美はもうそんなこと気にしてはいなかった。
「あー。やっと見つけた」
先に口を開いたのは、舞美の方だった。
「ねえ、あなた、さっきのチキンランの生き残りでしょ?」
彼は重い口を開いた。
「……だとしたら、なに」
それは、決して大声ではなかった。
それなのになぜ、雨音などものともせず、彼の声はこんなにも耳に残るのだろう。
「警察があなたのこと、ずっと探してるよ」
「ふーん……。それで、あんたはオレに何か用?」
舞美は、ますます彼に興味を抱いた。
やはりこの男、何かが違う。
そう思った時には、彼女は口を開いていた。
「わたし、あなたを脅しに来たの」
「脅し?」
舞美は自分でもそんな言葉が出てきたことに驚いた。が、彼女の頭にあるアイデアが舞い降りる。
「うん。——警察に通報されたくなければ、わたしを連れて行って。」
彼は近くにあった公衆電話をちらと見てから、面倒そうに顔の雫を拭った。
「連れて行けって、どこに」
「今からあなたが行く場所」
……ついていっても、良いでしょ?
舞美が言うと、少年はため息をついて背を向けた。
「勝手にしたら」
「え、やった!」
思いがけずあっさり上手くいったので、驚きつつも喜ぶ舞美。やはり、彼もチキンランのことで警察のお世話にはなりたくないのだ。
とにかく、今夜はこの人について行ける。
舞美は歩き出した彼のすぐ後ろまで駆けていき、彼に話しかけた。
「今からどこへ行くの?」
「さぁね……」
彼は、しばらく進み、ふと建物を見上げた。
「ま、ここで良いか」
舞美は首をかしげる。
「雨やどり?」
「そんなもん」
彼に続いて、音を立てずに階段を上がる。
その建物の窓には、“雀荘みどり”と記されてあった。
はぁはぁと息を切らした舞美は、バシャリと水たまりに足を突っ込む。
すると彼も舞美の存在に気がついたようで、その歩みを止め、ふっとこちらを振り返った。
それまでの短い人生をいやが応にも人に想像することを強いる真白な髪、その目の奥は底なしの闇。
暗い風景によく映える風貌。
キリリとした顔立ちに、不覚にも舞美はどきりとした。
年齢は舞美と変わらないくらいか。
そして、その瞳が舞美を射抜いた。
2人は一定の距離を開けたまま、
雨が2人の体を打つが、舞美はもうそんなこと気にしてはいなかった。
「あー。やっと見つけた」
先に口を開いたのは、舞美の方だった。
「ねえ、あなた、さっきのチキンランの生き残りでしょ?」
彼は重い口を開いた。
「……だとしたら、なに」
それは、決して大声ではなかった。
それなのになぜ、雨音などものともせず、彼の声はこんなにも耳に残るのだろう。
「警察があなたのこと、ずっと探してるよ」
「ふーん……。それで、あんたはオレに何か用?」
舞美は、ますます彼に興味を抱いた。
やはりこの男、何かが違う。
そう思った時には、彼女は口を開いていた。
「わたし、あなたを脅しに来たの」
「脅し?」
舞美は自分でもそんな言葉が出てきたことに驚いた。が、彼女の頭にあるアイデアが舞い降りる。
「うん。——警察に通報されたくなければ、わたしを連れて行って。」
彼は近くにあった公衆電話をちらと見てから、面倒そうに顔の雫を拭った。
「連れて行けって、どこに」
「今からあなたが行く場所」
……ついていっても、良いでしょ?
舞美が言うと、少年はため息をついて背を向けた。
「勝手にしたら」
「え、やった!」
思いがけずあっさり上手くいったので、驚きつつも喜ぶ舞美。やはり、彼もチキンランのことで警察のお世話にはなりたくないのだ。
とにかく、今夜はこの人について行ける。
舞美は歩き出した彼のすぐ後ろまで駆けていき、彼に話しかけた。
「今からどこへ行くの?」
「さぁね……」
彼は、しばらく進み、ふと建物を見上げた。
「ま、ここで良いか」
舞美は首をかしげる。
「雨やどり?」
「そんなもん」
彼に続いて、音を立てずに階段を上がる。
その建物の窓には、“雀荘みどり”と記されてあった。