7.緊張感
名前変換はコチラから
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
見ると、寮アパートの一室だけ明かりが灯っている。アカギが迷わずそこへ向かっているところからも、あれがアカギの部屋だというのはよく分かった。
アカギに付き従うように静かに階段を上る。彼はためらうことなく、キイと音を立てその扉を開けた。
「お。ずいぶん遅いご帰還だな」
「もう少し早く帰ってくりゃあ一緒に楽しめたのによぉ」
中で、すぐに男たちが反応している。
本当に、入って良いのだろうか?
舞美が躊躇していると、中からアカギの声が聞こえた。
「何してるの。あんたも入りな」
「……うん」
「あ? なんだ、誰か連れ込む気か?」
「オレたちが麻雀打ってるのが見えねえのかよ!」
案の定男たちには反発されたので、舞美は玄関で立ちすくんだ。やはりここに居座るのは少し無理があったか。何せここは他人 様の宿。
しかし、アカギは涼しい顔をして言った。
「ここは本来、オレと治の2人部屋。先輩方がここで麻雀を打つのは自由ですが、その代わり、オレが別の人を連れ込んでも文句は言えないでしょう」
「あぁ?」
「治、良いか? ここに1人増えても」
「あ……いえ、オレは全然構いませんけど」
「悪いな」
(あ、なんか赦されたみたい)
「東雲」
アカギに呼ばれ、舞美はおそるおそる、彼らが麻雀を打っている部屋に入った。
「お、女ァ⁈」
「なんだっ、てめっ、なんで女なんか連れ込んで……」
「どうやら宿が無いみたいなんで。一晩だけ泊めてやっても良いですよね」
「一晩っつったって、もう夜明けはすぐだろ」
何か良からぬ疑いの目を向けられていることに気がついた舞美は、目を瞬かせた。
「……ダメ?」
「うっ……」
見た感じ彼らには女っ気がない。ガールフレンドなど絶対にいないタイプだ。だからこそ、舞美はそう無邪気に聞けば許してもらえると高を括った。それは的中し、彼女はなんとか部屋に受け入れさせることに成功する。
「まぁ、もうこの半荘でしまいだしな」
「ああ……」
この半荘で最後ということは、今日はもうアカギの麻雀は見られないということか。
(でも、アカギと居られるなんてラッキー!)
アカギが先ほど治と呼んだ青年の後ろへ回った。舞美も畳をのそりと歩いてアカギの隣に腰を下ろす。
この部屋は中々狭い……ので、ちゃっかりアカギに密着したりして。
久し振りに人肌の温かみを感じ、舞美は微笑みそうになる。
しかしアカギはそれに対して何も感じていないようで、治に「どうだ?」と尋ねている。
「全然。給料ほとんど攫われちゃいました……」
かなり落胆した様子の青年治。まあ、それも無理はない。1ヶ月働いたことが、この麻雀で全く無かったことにされたんだから。
アカギは点数記録表を手に取って、それをじっと見つめた。舞美は4人それぞれの打ち筋を目で追う。何か注目すべきところはないか、と。
アカギといると、こんな風にして面白いことが次々に起こるものだから、また日常に戻るのがとても嫌になる。そう、この感じ。
舞美はぺろりと唇を舐めた。
(彼の隣は、渡さない。)
アカギに付き従うように静かに階段を上る。彼はためらうことなく、キイと音を立てその扉を開けた。
「お。ずいぶん遅いご帰還だな」
「もう少し早く帰ってくりゃあ一緒に楽しめたのによぉ」
中で、すぐに男たちが反応している。
本当に、入って良いのだろうか?
舞美が躊躇していると、中からアカギの声が聞こえた。
「何してるの。あんたも入りな」
「……うん」
「あ? なんだ、誰か連れ込む気か?」
「オレたちが麻雀打ってるのが見えねえのかよ!」
案の定男たちには反発されたので、舞美は玄関で立ちすくんだ。やはりここに居座るのは少し無理があったか。何せここは
しかし、アカギは涼しい顔をして言った。
「ここは本来、オレと治の2人部屋。先輩方がここで麻雀を打つのは自由ですが、その代わり、オレが別の人を連れ込んでも文句は言えないでしょう」
「あぁ?」
「治、良いか? ここに1人増えても」
「あ……いえ、オレは全然構いませんけど」
「悪いな」
(あ、なんか赦されたみたい)
「東雲」
アカギに呼ばれ、舞美はおそるおそる、彼らが麻雀を打っている部屋に入った。
「お、女ァ⁈」
「なんだっ、てめっ、なんで女なんか連れ込んで……」
「どうやら宿が無いみたいなんで。一晩だけ泊めてやっても良いですよね」
「一晩っつったって、もう夜明けはすぐだろ」
何か良からぬ疑いの目を向けられていることに気がついた舞美は、目を瞬かせた。
「……ダメ?」
「うっ……」
見た感じ彼らには女っ気がない。ガールフレンドなど絶対にいないタイプだ。だからこそ、舞美はそう無邪気に聞けば許してもらえると高を括った。それは的中し、彼女はなんとか部屋に受け入れさせることに成功する。
「まぁ、もうこの半荘でしまいだしな」
「ああ……」
この半荘で最後ということは、今日はもうアカギの麻雀は見られないということか。
(でも、アカギと居られるなんてラッキー!)
アカギが先ほど治と呼んだ青年の後ろへ回った。舞美も畳をのそりと歩いてアカギの隣に腰を下ろす。
この部屋は中々狭い……ので、ちゃっかりアカギに密着したりして。
久し振りに人肌の温かみを感じ、舞美は微笑みそうになる。
しかしアカギはそれに対して何も感じていないようで、治に「どうだ?」と尋ねている。
「全然。給料ほとんど攫われちゃいました……」
かなり落胆した様子の青年治。まあ、それも無理はない。1ヶ月働いたことが、この麻雀で全く無かったことにされたんだから。
アカギは点数記録表を手に取って、それをじっと見つめた。舞美は4人それぞれの打ち筋を目で追う。何か注目すべきところはないか、と。
アカギといると、こんな風にして面白いことが次々に起こるものだから、また日常に戻るのがとても嫌になる。そう、この感じ。
舞美はぺろりと唇を舐めた。
(彼の隣は、渡さない。)