7.緊張感
名前変換はコチラから
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「わ、わたしを手元に……?」
「別に大したことじゃない。ただ、これからはあんたを特別拒んだりはしないってだけ」
「それなら、あなたに付いて回る」
「ま、それはあんたに任せよう」
舞美はキラキラと目を輝かせた。
おそらくアカギは、どちらにせよ舞美が面倒ごとに巻き込まれるなら、自分の目の届く範囲で巻き込まれる方がマシだと考えたに違いない。
そんな事務的な理由だとしても、舞美は嬉しくてたまらない。我慢できずに、アカギの隣に体をぴったりとくっつける。
「歩きにくい」
「お願い、ちょっとだけ。……ダメ?」
案の定文句を言ったアカギに、舞美はダメ元でお願いしてみる。そう言えばあの頃よりも大人になったのだから、色仕掛けも使える。……アカギに効くかどうかは分からないけれど。
アカギは、すぐに舞美を引き離すことなく、こう尋ねた。
「……あんたって、まだ“東雲”?」
「え? そうだけど」
即答する東雲舞美。少しして、この質問が何を表しているのかが分かった。
「わたしが結婚してるように見えたの?」
「さあ。でも、あんただってしててもおかしくないだろ……“オミアイ”ってやつ」
「お、お見合い」
「……フフ、なんだ。あんたまだ東雲だったんだ」
「どうしてそんなに笑ってるの」
「いや」
確かにこの頃は親の言う通りにお見合い相手と結婚する男女が多かった。半分の夫婦はおそらくそうした出会いによるものだろう。
が、その中でも舞美ははぐれ者だった。
「わたしはお見合いなんて、そんなものに従わないよ。それに、」
「それに?」
舞美は言いかけて口を閉ざす。
アカギがすきだから、と伝えるのは、別に今でなくても良いよね。
それに、に続く言葉を適当に当てはめて誤魔化し、代わりに舞美は素朴な疑問を口にする。
「ところでこれ、どこに向かってるの?」
「オレの仕事場。寮だから」
「えっと、アカギの仕事って……?」
「ま、いわゆるおもちゃ工場さ」
「おもちゃ工場⁈ あ、アカギが?」
「そんなに驚くことかよ。オレだって働いたりもするんだぜ」
「一体、どんなことをしてるの?」
「……今日はサルの玩具の組立」
「何よ、そのかわいい仕事……」
アカギの作ったおもちゃなら欲しいな、と舞美が思っていると、どうやらその工場に到着したらしい。看板には沼田玩具と記されている。
「あんた、オレの部屋にくる?」
「えっ、入れるの」
「さあ。女はいないし、部屋では他の男たちが麻雀打ってる」
本当は入っちゃいけないのだと理解はできるが、アカギの言葉に舞美は惹かれてしまう。
他の男たちが麻雀?
そこに今からアカギが帰るわけでしょ。
そんなの絶対面白くなると思うんだけど。
舞美は2つ返事でアカギとの同行を望んだ。
(そもそも、アカギに誘われた時点で断ることはできないのよね)
「別に大したことじゃない。ただ、これからはあんたを特別拒んだりはしないってだけ」
「それなら、あなたに付いて回る」
「ま、それはあんたに任せよう」
舞美はキラキラと目を輝かせた。
おそらくアカギは、どちらにせよ舞美が面倒ごとに巻き込まれるなら、自分の目の届く範囲で巻き込まれる方がマシだと考えたに違いない。
そんな事務的な理由だとしても、舞美は嬉しくてたまらない。我慢できずに、アカギの隣に体をぴったりとくっつける。
「歩きにくい」
「お願い、ちょっとだけ。……ダメ?」
案の定文句を言ったアカギに、舞美はダメ元でお願いしてみる。そう言えばあの頃よりも大人になったのだから、色仕掛けも使える。……アカギに効くかどうかは分からないけれど。
アカギは、すぐに舞美を引き離すことなく、こう尋ねた。
「……あんたって、まだ“東雲”?」
「え? そうだけど」
即答する東雲舞美。少しして、この質問が何を表しているのかが分かった。
「わたしが結婚してるように見えたの?」
「さあ。でも、あんただってしててもおかしくないだろ……“オミアイ”ってやつ」
「お、お見合い」
「……フフ、なんだ。あんたまだ東雲だったんだ」
「どうしてそんなに笑ってるの」
「いや」
確かにこの頃は親の言う通りにお見合い相手と結婚する男女が多かった。半分の夫婦はおそらくそうした出会いによるものだろう。
が、その中でも舞美ははぐれ者だった。
「わたしはお見合いなんて、そんなものに従わないよ。それに、」
「それに?」
舞美は言いかけて口を閉ざす。
アカギがすきだから、と伝えるのは、別に今でなくても良いよね。
それに、に続く言葉を適当に当てはめて誤魔化し、代わりに舞美は素朴な疑問を口にする。
「ところでこれ、どこに向かってるの?」
「オレの仕事場。寮だから」
「えっと、アカギの仕事って……?」
「ま、いわゆるおもちゃ工場さ」
「おもちゃ工場⁈ あ、アカギが?」
「そんなに驚くことかよ。オレだって働いたりもするんだぜ」
「一体、どんなことをしてるの?」
「……今日はサルの玩具の組立」
「何よ、そのかわいい仕事……」
アカギの作ったおもちゃなら欲しいな、と舞美が思っていると、どうやらその工場に到着したらしい。看板には沼田玩具と記されている。
「あんた、オレの部屋にくる?」
「えっ、入れるの」
「さあ。女はいないし、部屋では他の男たちが麻雀打ってる」
本当は入っちゃいけないのだと理解はできるが、アカギの言葉に舞美は惹かれてしまう。
他の男たちが麻雀?
そこに今からアカギが帰るわけでしょ。
そんなの絶対面白くなると思うんだけど。
舞美は2つ返事でアカギとの同行を望んだ。
(そもそも、アカギに誘われた時点で断ることはできないのよね)