7.緊張感
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「ちょっと、アカギ!」
はぁはぁと息を切らしながら、アカギの背中を追う。幸いなことに、彼は車を拾っていなかったため、なんとか追いつくことができた。
そう、舞美はいつも追いかける側だ。初めて会った日も、彼をこんな風に追いかけたんだっけ。その背中は、前よりもずっと逞しい。
「ああ、あんたか」
こちらを振り返って、クールに立ち止まるアカギ。舞美はなんとか彼の隣まで近づいた。
特にこちらを拒む様子がないことを確認しつつ、舞美は6年ぶりの会話を始めた。
「もう……。そんな言い方ってないよ、久しぶりに会えたっていうのに。ほんと変わらないんだから」
「まぁね」
「……ねえ、あそこにわたしがいて驚いた?」
「驚いたよ。あんた、結構変わってたし」
「え……そう?」
綺麗になったって意味かな?
照れそうになるものの、アカギの表情を見たら、そういう意味で言ったわけではないことが分かった。
「あんたが、ニセモノに付いて回るなんてね」
「え?」
「一緒にあっち側にいたじゃない。……あんた、ヤツとはどんな関係なの」
あっち側、というのはおそらく、平山側という意味だろう。アカギは勘違いをしているんだ。たしかに、舞美は安岡と平山に続いて同じ襖から現れた。だから、彼らと同業者 だと思われても無理はない。
舞美はぶんぶんと首を振って否定した。
「違う。わたし、平山さんとは何の関係もないもの。あの人を使ってビジネスしてるのは安岡さんだけだし」
「ふーん。ま、どっちでも良いけど」
「良くない! 今日は、あなたに会うためだけにあそこにいったんだから」
「……そうなのか?」
「勿論。……まさか、アカギ、わたしがあの平山さんに興味をもってると思ったの? 冗談やめてよ」
アカギはクスクス笑った。
「風体がオレに似ていれば誰でも良いわけじゃないんだ」
「もう、当たり前でしょ!」
「悪い。……あんた、まだオレに固執してるみたいだね」
「そりゃ……そう、だけど」
舞美はうつむいてから、思い出したように言った。
「ねえ、どうしてこの6年間顔を見せてくれなかったの? わたし、待ってたのに」
「結構、面倒ごとがあってね。あんたを巻き込むわけにはいかなかった」
「そんなに大変だったの?」
「色々ね。それに、オレとあんたは一緒にいない方が良いだろうから」
「え、どうして?」
「あんた、オレと居たいが為に自分を賭け始めるじゃない」
「……でも、わたしはアカギにさえ会えればそれで良いから」
アカギを忘れる、という選択肢は舞美にはない。アカギがどこかに存在している以上、舞美は手段を選ばず情報を辿り、彼を探しに行ってしまうだろう。
アカギは息をついた。
「なるほどね。オレが近くに居ようが居まいが、あんたは危険に身を晒す」
彼はじっとこっちを見ている。そして、言った。
「——それなら、手元に置いておくのも一興……。ねえ、あんたもそう思う?」
はぁはぁと息を切らしながら、アカギの背中を追う。幸いなことに、彼は車を拾っていなかったため、なんとか追いつくことができた。
そう、舞美はいつも追いかける側だ。初めて会った日も、彼をこんな風に追いかけたんだっけ。その背中は、前よりもずっと逞しい。
「ああ、あんたか」
こちらを振り返って、クールに立ち止まるアカギ。舞美はなんとか彼の隣まで近づいた。
特にこちらを拒む様子がないことを確認しつつ、舞美は6年ぶりの会話を始めた。
「もう……。そんな言い方ってないよ、久しぶりに会えたっていうのに。ほんと変わらないんだから」
「まぁね」
「……ねえ、あそこにわたしがいて驚いた?」
「驚いたよ。あんた、結構変わってたし」
「え……そう?」
綺麗になったって意味かな?
照れそうになるものの、アカギの表情を見たら、そういう意味で言ったわけではないことが分かった。
「あんたが、ニセモノに付いて回るなんてね」
「え?」
「一緒にあっち側にいたじゃない。……あんた、ヤツとはどんな関係なの」
あっち側、というのはおそらく、平山側という意味だろう。アカギは勘違いをしているんだ。たしかに、舞美は安岡と平山に続いて同じ襖から現れた。だから、彼らと
舞美はぶんぶんと首を振って否定した。
「違う。わたし、平山さんとは何の関係もないもの。あの人を使ってビジネスしてるのは安岡さんだけだし」
「ふーん。ま、どっちでも良いけど」
「良くない! 今日は、あなたに会うためだけにあそこにいったんだから」
「……そうなのか?」
「勿論。……まさか、アカギ、わたしがあの平山さんに興味をもってると思ったの? 冗談やめてよ」
アカギはクスクス笑った。
「風体がオレに似ていれば誰でも良いわけじゃないんだ」
「もう、当たり前でしょ!」
「悪い。……あんた、まだオレに固執してるみたいだね」
「そりゃ……そう、だけど」
舞美はうつむいてから、思い出したように言った。
「ねえ、どうしてこの6年間顔を見せてくれなかったの? わたし、待ってたのに」
「結構、面倒ごとがあってね。あんたを巻き込むわけにはいかなかった」
「そんなに大変だったの?」
「色々ね。それに、オレとあんたは一緒にいない方が良いだろうから」
「え、どうして?」
「あんた、オレと居たいが為に自分を賭け始めるじゃない」
「……でも、わたしはアカギにさえ会えればそれで良いから」
アカギを忘れる、という選択肢は舞美にはない。アカギがどこかに存在している以上、舞美は手段を選ばず情報を辿り、彼を探しに行ってしまうだろう。
アカギは息をついた。
「なるほどね。オレが近くに居ようが居まいが、あんたは危険に身を晒す」
彼はじっとこっちを見ている。そして、言った。
「——それなら、手元に置いておくのも一興……。ねえ、あんたもそう思う?」