7.緊張感
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「ただし」
アカギは続ける。口元を微かに歪めながら。
「おまえが自信満々に吹っかけてきた勝負だ……何を賭けることになっても文句なしだ」
「え?」
舞美はアカギに視線を送るが、彼は舞美に目を向けることなく言った。
「腕一本だ」
「⁈」
全員がショックを受けただろうその時、舞美も彼らと同じように目を見開いていた。
そして彼女はすぐに悟れた。アカギが人並み外れて“博徒”をこじらせていることを。
「バカな……そんな条件受け入れるわけないだろ」
当然拒否する平山に、アカギはまばたきを1つしてから、さも不思議そうに尋ねた。
「なぜだ?」
「そんな必然性がどこにある⁈」
「要するに自信がないのか」
アカギの言葉一つ一つに重みがあり、舞美には一段と大きくそれらが胸に溜まってくる。
「自信はある!」
しかし1%でも裏を引く可能性がある以上、腕なんて取り返しのつかないものを賭けるこのギャンブルは馬鹿馬鹿しい。平山のその返しはまさに一般論で、いわば正論とも言えた。
「無意味な死はごめんだ」
「……無意味な死?」
この時既に舞美は、自分なら腕を賭けるかどうかを考えていた。とりあえず、アカギ相手にそんなバカなことはしない。アカギに勝つ自信などない。ほとんどゼロと見ても良い。
しかし他の場面ではどうか。
舞美は自分の腕を改めて見る。
切り落とすのは、痛いだろうな。
「それがまさにギャンブルなんじゃないのか。その無意味な死 ってやつがさ」
アカギの言うギャンブルは、一般人にとってのそれとは大きく異なっているらしい。
「オレはずーっとそう考えてきた」
腕を賭けてでもアカギと向き合って勝負したならば、アカギはこちらに目を向けてくれるだろうか。舞美はアカギと平山を見つめた。
「おまえはまだギャンブルの土俵に上がっていないんだ。だから脳みそでギャンブルを測ろうとする。見当違いもいいところだ」
「なに?」
「背のたつところまでしか海に入っていないのに、海を知ったと公言しているようなものだ」
海。舞美は海が好きだった。
アカギは海からやってきて、そして消えた。
まるで海にかえっていくかのように。
ふと、舞美はアカギがこちらを見ていることに気がついた。もしかして、目が合ってる?
アカギも“海”という単語にあの日のことを思い出したのだろうか。
アカギは再び口を開いた。
「あんたの後ろにいる、その女」
「は?」
舞美は急に自分の話になって驚いている。平山も後ろを振り返ってこちらを見た。
「その女の方が、まだ筋が良い。あんたよりもよっぽど度胸があった」
「何だ? 何を言ってるんだ?」
「数年前、オレの麻雀に命を張ったんだよ、そいつ」
「な、なんだと……本当か」
舞美は無言で頷いた。石川も、「そうか、あの時の少女か!」と合点がいった様子。
「フフ……女に“張り”で負けてちゃ、男が廃るよな」
舞美は嬉しくて仕方がない。話題に出してくれたこと、自分を賭けたことを覚えてくれていたこと、それから、度胸があると言われたこと。どうしよう、わたしって案外アカギに1番近い位置にいるのかもしれない。
舞美は過去の自分を思いっきり褒めた。
アカギは続ける。口元を微かに歪めながら。
「おまえが自信満々に吹っかけてきた勝負だ……何を賭けることになっても文句なしだ」
「え?」
舞美はアカギに視線を送るが、彼は舞美に目を向けることなく言った。
「腕一本だ」
「⁈」
全員がショックを受けただろうその時、舞美も彼らと同じように目を見開いていた。
そして彼女はすぐに悟れた。アカギが人並み外れて“博徒”をこじらせていることを。
「バカな……そんな条件受け入れるわけないだろ」
当然拒否する平山に、アカギはまばたきを1つしてから、さも不思議そうに尋ねた。
「なぜだ?」
「そんな必然性がどこにある⁈」
「要するに自信がないのか」
アカギの言葉一つ一つに重みがあり、舞美には一段と大きくそれらが胸に溜まってくる。
「自信はある!」
しかし1%でも裏を引く可能性がある以上、腕なんて取り返しのつかないものを賭けるこのギャンブルは馬鹿馬鹿しい。平山のその返しはまさに一般論で、いわば正論とも言えた。
「無意味な死はごめんだ」
「……無意味な死?」
この時既に舞美は、自分なら腕を賭けるかどうかを考えていた。とりあえず、アカギ相手にそんなバカなことはしない。アカギに勝つ自信などない。ほとんどゼロと見ても良い。
しかし他の場面ではどうか。
舞美は自分の腕を改めて見る。
切り落とすのは、痛いだろうな。
「それがまさにギャンブルなんじゃないのか。その無意味な死 ってやつがさ」
アカギの言うギャンブルは、一般人にとってのそれとは大きく異なっているらしい。
「オレはずーっとそう考えてきた」
腕を賭けてでもアカギと向き合って勝負したならば、アカギはこちらに目を向けてくれるだろうか。舞美はアカギと平山を見つめた。
「おまえはまだギャンブルの土俵に上がっていないんだ。だから脳みそでギャンブルを測ろうとする。見当違いもいいところだ」
「なに?」
「背のたつところまでしか海に入っていないのに、海を知ったと公言しているようなものだ」
海。舞美は海が好きだった。
アカギは海からやってきて、そして消えた。
まるで海にかえっていくかのように。
ふと、舞美はアカギがこちらを見ていることに気がついた。もしかして、目が合ってる?
アカギも“海”という単語にあの日のことを思い出したのだろうか。
アカギは再び口を開いた。
「あんたの後ろにいる、その女」
「は?」
舞美は急に自分の話になって驚いている。平山も後ろを振り返ってこちらを見た。
「その女の方が、まだ筋が良い。あんたよりもよっぽど度胸があった」
「何だ? 何を言ってるんだ?」
「数年前、オレの麻雀に命を張ったんだよ、そいつ」
「な、なんだと……本当か」
舞美は無言で頷いた。石川も、「そうか、あの時の少女か!」と合点がいった様子。
「フフ……女に“張り”で負けてちゃ、男が廃るよな」
舞美は嬉しくて仕方がない。話題に出してくれたこと、自分を賭けたことを覚えてくれていたこと、それから、度胸があると言われたこと。どうしよう、わたしって案外アカギに1番近い位置にいるのかもしれない。
舞美は過去の自分を思いっきり褒めた。