6.真と偽
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舞美は歓喜で笑みがこぼれた。
わたしのこと、舞美と呼んでくれた。
「お、お久しぶり」
しかし組長の前ではしゃぐこともできず、とりあえず平山の後ろあたりに腰を下ろした。
そして、しばらく大人しくしていようと決心する。アカギに話しかけるのは、この後でも構わない。
状況が整ったため、組長は若頭である石川とアカギに対して、こう言った。
「面白いものを見せてやろう。その本物に同じことができるかどうか」
例のやつを頼む、と言われ、指示された平山は、麻雀牌を卓の上に放ち、伏せたままジャラジャラと混ぜた。
何が始まるのか聞いていない舞美は、密かに緊張しながら、その様子を見守る。
平山は伏せたまま無作為に13枚の牌を取り、開いた。
「3…」
そしてまた別の13牌を取ってきて、開く。
「2」
その場にいる者には、彼が何をしているか分からない。しかし、石川がすぐに尋ねたおかげで、舞美は彼が何をしているのかを知れた。
「シャンテン数じゃよ」
「シャンテン?」
麻雀を打てるようになった舞美には、それが何かすぐに分かった。そうだ、平山は素晴らしい記憶力と瞬発力を兼ね備えて持っていると言っていたではないか。
それでもやはり、これは驚くに値する。特に目の前で見るとその凄さがよく分かった。南郷も目を見開いて驚いているし、それは当然のこと。
舞美はちらとアカギの様子を伺う。
あまり表情に変化はなく、驚いた様子もない。
アカギはこれを見て何を思っているんだろう?
彼はこれが幾度か繰り返されている間、口を開かなかった。
しかし、平山が最後の13牌を開けようとした、その刹那。
「三……」
それは、アカギから発された数字だった。
空気が張り詰め、皆アカギの方を見る。
もちろん舞美も例外でなく、胸を高鳴らせて彼をうっとりと見つめた。
「3って……まだ牌が開いてもいないんだぜ……」
南郷が口にする。平山はパタリと牌を倒した。
「な、何シャンテンだ……!」
舞美も牌に注目する。
理牌 をするとすぐに分かった。メンツがなくて、アタマ1つのターツが4つ。つまり、
(3シャンテン。)
それを認識した、その瞬間。
どくん、と舞美の鼓動が早まる。
そう、この一瞬で、舞美はホンモノのアカギと再会したことを実感した。
「アカギ……」
そして同時に、舞美はこの瞬間に全てを思い出す。
アカギの凄み、強さ、度胸、狂気。
加えて、それ以上にひしひしと感じた。
あの頃よりも一層強くなった、アカギに対するじぶんの想いを——
6.真と偽〈完〉
わたしのこと、舞美と呼んでくれた。
「お、お久しぶり」
しかし組長の前ではしゃぐこともできず、とりあえず平山の後ろあたりに腰を下ろした。
そして、しばらく大人しくしていようと決心する。アカギに話しかけるのは、この後でも構わない。
状況が整ったため、組長は若頭である石川とアカギに対して、こう言った。
「面白いものを見せてやろう。その本物に同じことができるかどうか」
例のやつを頼む、と言われ、指示された平山は、麻雀牌を卓の上に放ち、伏せたままジャラジャラと混ぜた。
何が始まるのか聞いていない舞美は、密かに緊張しながら、その様子を見守る。
平山は伏せたまま無作為に13枚の牌を取り、開いた。
「3…」
そしてまた別の13牌を取ってきて、開く。
「2」
その場にいる者には、彼が何をしているか分からない。しかし、石川がすぐに尋ねたおかげで、舞美は彼が何をしているのかを知れた。
「シャンテン数じゃよ」
「シャンテン?」
麻雀を打てるようになった舞美には、それが何かすぐに分かった。そうだ、平山は素晴らしい記憶力と瞬発力を兼ね備えて持っていると言っていたではないか。
それでもやはり、これは驚くに値する。特に目の前で見るとその凄さがよく分かった。南郷も目を見開いて驚いているし、それは当然のこと。
舞美はちらとアカギの様子を伺う。
あまり表情に変化はなく、驚いた様子もない。
アカギはこれを見て何を思っているんだろう?
彼はこれが幾度か繰り返されている間、口を開かなかった。
しかし、平山が最後の13牌を開けようとした、その刹那。
「三……」
それは、アカギから発された数字だった。
空気が張り詰め、皆アカギの方を見る。
もちろん舞美も例外でなく、胸を高鳴らせて彼をうっとりと見つめた。
「3って……まだ牌が開いてもいないんだぜ……」
南郷が口にする。平山はパタリと牌を倒した。
「な、何シャンテンだ……!」
舞美も牌に注目する。
(3シャンテン。)
それを認識した、その瞬間。
どくん、と舞美の鼓動が早まる。
そう、この一瞬で、舞美はホンモノのアカギと再会したことを実感した。
「アカギ……」
そして同時に、舞美はこの瞬間に全てを思い出す。
アカギの凄み、強さ、度胸、狂気。
加えて、それ以上にひしひしと感じた。
あの頃よりも一層強くなった、アカギに対するじぶんの想いを——
6.真と偽〈完〉