1.不良娘
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チンピラが仲間を助けようと躍起になっているのを少しだけ観察してから、舞美はひとりその場を離れた。じきに騒ぎになる。その時に警察に事情聴取などされたくない。
それに、おそらく、“彼” はもう海にはいないだろう。
舞美は、その小さな体で、まだ見ぬ“彼”を探しだしてやろうと決心した。
「絶対見つけてやる!」
こうして、彼女は自分のナワバリ……もとい、路地裏の散歩道を散策し始めた。
「ねえ、この辺を変なヤツが通らなかった?」
「さあ……。そんな奴いくらでもいるから」
「そうだよね。ありがと」
中々目撃情報が見つからない。
もしかして、そんなヤツ本当はいないのでは?
もしかして、もう海に沈んでいるのでは?
そんなことを危惧しながらも、舞美は直感のままに、街をうろついて彼を探した。
「きっとどこかにいるはず」
そうこうするうち、舞美はようやく手がかりらしきものを見つけた。
「こ、これっ……」
それは、濡れた靴による、まだ新しい足跡だった。
彼は人目には触れない道を通ってはいるらしいのだが、残念ながら、舞美の目は欺けなかったようだ。
舞美は意気揚々として、その足跡を追った。
が、しかし。
「やだ、もう、どうしてこんな時に!」
まるで示し合わされたかのように降り出した雨。それは激しさを増し、その身1つで外に出ていた舞美の体を濡らしていった。
「ああ、足跡が」
唯一の手がかりが消えていくのを、舞美は呆然と見つめた。
こうなったら仕方がない。
とにかく、今近くにいることは間違いないんだから、そこらを駆け回って彼を探し出すしかない。
そう思い、一旦表通りに出ようとすると、何やら警察が聞き込みをしている様子。
「もうこんなところまで……!」
慌てて裏道に引っ込んだ舞美は、その会話を盗み聞いた。
もちろん、彼らが探しているのはチキンランの勝者だ。舞美は警察に後を越されないよう急がなければならないことを悟った。
「寒い」
雨に打たれ、身震いする舞美。
顔に垂れてくる水滴をぬぐい、彼女が顔を上げた瞬間。
遠くの方で、人影がさっと横切るのが見えた。
「白い髪……?」
ぞわりと鳥肌が立つ。
それは単に寒さのせいではなかった。
「いた」
舞美が雨の中を全力疾走したのは、この日が初めてだった。
それに、おそらく、“彼” はもう海にはいないだろう。
舞美は、その小さな体で、まだ見ぬ“彼”を探しだしてやろうと決心した。
「絶対見つけてやる!」
こうして、彼女は自分のナワバリ……もとい、路地裏の散歩道を散策し始めた。
「ねえ、この辺を変なヤツが通らなかった?」
「さあ……。そんな奴いくらでもいるから」
「そうだよね。ありがと」
中々目撃情報が見つからない。
もしかして、そんなヤツ本当はいないのでは?
もしかして、もう海に沈んでいるのでは?
そんなことを危惧しながらも、舞美は直感のままに、街をうろついて彼を探した。
「きっとどこかにいるはず」
そうこうするうち、舞美はようやく手がかりらしきものを見つけた。
「こ、これっ……」
それは、濡れた靴による、まだ新しい足跡だった。
彼は人目には触れない道を通ってはいるらしいのだが、残念ながら、舞美の目は欺けなかったようだ。
舞美は意気揚々として、その足跡を追った。
が、しかし。
「やだ、もう、どうしてこんな時に!」
まるで示し合わされたかのように降り出した雨。それは激しさを増し、その身1つで外に出ていた舞美の体を濡らしていった。
「ああ、足跡が」
唯一の手がかりが消えていくのを、舞美は呆然と見つめた。
こうなったら仕方がない。
とにかく、今近くにいることは間違いないんだから、そこらを駆け回って彼を探し出すしかない。
そう思い、一旦表通りに出ようとすると、何やら警察が聞き込みをしている様子。
「もうこんなところまで……!」
慌てて裏道に引っ込んだ舞美は、その会話を盗み聞いた。
もちろん、彼らが探しているのはチキンランの勝者だ。舞美は警察に後を越されないよう急がなければならないことを悟った。
「寒い」
雨に打たれ、身震いする舞美。
顔に垂れてくる水滴をぬぐい、彼女が顔を上げた瞬間。
遠くの方で、人影がさっと横切るのが見えた。
「白い髪……?」
ぞわりと鳥肌が立つ。
それは単に寒さのせいではなかった。
「いた」
舞美が雨の中を全力疾走したのは、この日が初めてだった。