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「相変わらず危機感がないね。酒は呑むなって、前にも言ったでしょ」

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「ん……。あ、れ？」

目をぱちくりさせる舞美。目を覚ますと、見知らぬ天井が目に映った。

「こ、ここは？」

驚いて勢いよく体を起こし、舞美は顔をうっとしかめた。頭がガンガンと痛い。それに記憶が曖昧で、どうやってここまで来たのかが明確に分からない。
もう当分酒はやめよう、などと思いながら、自分の状況を知るために辺りを見渡す。

やはり、知らない部屋だ。
寝床から離れて調べてみると、ここは街中にある宿だった。こんなところに泊まった覚えなどない。きっと酔いつぶれた自分を、誰かがここへ連れてきてくれたんだ。

「そう言えば、白い髪……」

もしかしたら、居酒屋から平山さんが追いかけて、ここに寝かせてくれたのかも。そうなら、今度お礼を言わなくては。

とりあえず、既にここの会計は済まされているらしい。あとは……そうだ。例えば書き残しのメモだとかがあったりしないかな。
舞美はきょろきょろと中を探したが、これといって伝言メモのようなものはなかった。

（書き残しもないなんて、クールな人）

舞美は宿を出て、自分の家へ戻る。
こんな朝帰りは、流石の舞美も初めてだった。

帰宅して初めて、新しい疑問が湧いた。
昨日安岡と平山には、連絡先の１つとして自分の住所を伝えておいたはず。

（どうしてわたしを、家ではなく、宿に届けたんだろう？）

首をひねりながらも、「女の家に上がるのが失礼だと思ったとかかな。平山さんって意外と奥ゆかしいのかも」と納得する舞美。

数日後。そんな彼女の元に、新たな朗報が届くのだった。