6.真と偽
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舞美が訳も分からぬ状態で死んだように眠りこけていると、そこにある青年が通りかかった。
彼ははじめ彼女を見下ろしていたが、ふとその顔を覗き込んだ。
若い女が道端で倒れていては、何をされるか分かったものではない。この青年にはその気がなかったようだが、他の男は何をしでかすか。
とにかく、舞美は運が良かったのだろう。
彼は舞美の頰をぺちぺちと叩いた。
「起きなよ」
舞美は頰に刺激を感じたので、眉間にシワを寄せ、不快そうに唸った。
「仕方ねぇな……」
「うーん」
また眠りに落ちようとすると、舞美は急に腕を引かれた。
そこでようやく、流石に起きなくては、と舞美の理性が目を覚ます。
「だれ……?」
目をつむったままそうボヤくと、誰かの笑い声が聞こえた。彼の声、聞いたことがある。
「立てるか」
「むり……」
声を知ってるってことは、危険な人物じゃないんだろう。そう当たりを付けて、舞美は身を委ねることにした。両腕を前方に伸ばし、甘えるように声を出す。
「おんぶ」
「……。」
舞美は紛れもなく、酔っていた。
青年はそんな彼女を見つめてから、しぶしぶ背を向けてしゃがみ込み、彼女を背中に乗っけた。
「乗り心地は保証しないけど」
「んー」
そのスリムながら筋肉質な背中におぶられ、舞美は目を閉じたまま記憶をたどっていた。
ええと、これは誰だろう……?
でも彼の背中の居心地が良いせいか、安心しきって力が抜けてしまう。
こうして男の人の体温に触れたのは、結構久しぶり……というか、中々ない。
それに、彼が舞美の尻の下に腕を回し、よいしょ、といったように舞美の体を持ち上げても、特に嫌悪感を抱かない。
こんな風に気を許した相手、いただろうか。
これも全部、酒のせい……?
「ん……」
舞美は揺られながら、寝ぼけ眼をなんとかこじ開けて彼の姿を見た。
後ろからなので顔は見えないし、暗いから姿形もぼんやりとしか分からない。おまけにアルコールが邪魔をする。
それでもなんとか、舞美は彼の他の人にはない、ある身体的特徴をその目に映すことができた。
街灯というのは素晴らしいもので、舞美はその一瞬を見逃すことはなかった。
——彼の髪が白くきらめいた、その瞬間を。
彼ははじめ彼女を見下ろしていたが、ふとその顔を覗き込んだ。
若い女が道端で倒れていては、何をされるか分かったものではない。この青年にはその気がなかったようだが、他の男は何をしでかすか。
とにかく、舞美は運が良かったのだろう。
彼は舞美の頰をぺちぺちと叩いた。
「起きなよ」
舞美は頰に刺激を感じたので、眉間にシワを寄せ、不快そうに唸った。
「仕方ねぇな……」
「うーん」
また眠りに落ちようとすると、舞美は急に腕を引かれた。
そこでようやく、流石に起きなくては、と舞美の理性が目を覚ます。
「だれ……?」
目をつむったままそうボヤくと、誰かの笑い声が聞こえた。彼の声、聞いたことがある。
「立てるか」
「むり……」
声を知ってるってことは、危険な人物じゃないんだろう。そう当たりを付けて、舞美は身を委ねることにした。両腕を前方に伸ばし、甘えるように声を出す。
「おんぶ」
「……。」
舞美は紛れもなく、酔っていた。
青年はそんな彼女を見つめてから、しぶしぶ背を向けてしゃがみ込み、彼女を背中に乗っけた。
「乗り心地は保証しないけど」
「んー」
そのスリムながら筋肉質な背中におぶられ、舞美は目を閉じたまま記憶をたどっていた。
ええと、これは誰だろう……?
でも彼の背中の居心地が良いせいか、安心しきって力が抜けてしまう。
こうして男の人の体温に触れたのは、結構久しぶり……というか、中々ない。
それに、彼が舞美の尻の下に腕を回し、よいしょ、といったように舞美の体を持ち上げても、特に嫌悪感を抱かない。
こんな風に気を許した相手、いただろうか。
これも全部、酒のせい……?
「ん……」
舞美は揺られながら、寝ぼけ眼をなんとかこじ開けて彼の姿を見た。
後ろからなので顔は見えないし、暗いから姿形もぼんやりとしか分からない。おまけにアルコールが邪魔をする。
それでもなんとか、舞美は彼の他の人にはない、ある身体的特徴をその目に映すことができた。
街灯というのは素晴らしいもので、舞美はその一瞬を見逃すことはなかった。
——彼の髪が白くきらめいた、その瞬間を。