6.真と偽
名前変換はコチラから
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
しかし。
「……今は、アカギの居場所は分からないってわけね」
安岡に尋ねても分からないアカギの行方。
舞美はため息をつく。そりゃそうだろうとは思ったけど。
しかし安岡は神妙な顔をしてこう言った。
「まだ、そうとは限らない」
「え?」
「今、ある組にコイツを絶賛売り出し中なんだが……そこの若頭がどうやら“ホンモノ”を嗅ぎまわっているようだ」
「それって……平山さんが偽者ってバレたってこと?」
「いや。今はまだ半信半疑みたいだ。しかし一度アカギを見たことあるのならば、中々難しいかもしれん」
「ちぇ、アカギってどんなヤツなんだよ」
平山が苦々しく言う。
「外見は似せたし、実際似てはいるんだろ? そんな分かるもんかなあ」
「ま……あいつはバケモンだからな」
「うん。アカギの真似できる人なんて、この世にいないんじゃないかって思う」
「そうなのか? でも話を聞く限り、麻雀が超人級に強いってのも怪しいもんだ。今はそんなに強くないかもしれないし」
「あーもう、全然分かってない! 」
「え、そんなに?」
「うん、そりゃ、平山さんも凄いけどさ……なんか、違うんだって。ね、安岡さん」
「……アカギの凄さは、アイツを見た者にしか分かんねぇよ」
「それは……そうかもしれない」
「どいつもこいつもアカギ信者かよ」
次々とアカギの話に花を咲かせる。酒が入っているのもあってか、話の盛り上がること盛り上がること。
舞美も最初こそ酒を呑みすぎないよう注意していたものの、ついつい呑みすぎてしまい。
そう言えばあの時も呑み過ぎるなと注意されたんだった——とそんなことを思い出している内に目はとろけ、あっという間に酔っ払いのできあがり。
唯一の救いは、舞美が身の危険を感じる前に、平山と安岡に別れを告げたことだ。
「本当に送っていかなくて良いのか?」
「うん、すぐそこだから大丈夫ー」
「分かった……もしアカギを見つけたら連絡するからな」
「ん。よろしく」
「おい、顔赤いけど大丈夫か? 水一杯飲んでいきな」
「ありがと」
そこにあったグラス一杯分の水を飲み干して、舞美は真っ赤な顔で店を出た。そして暗闇を見回す。
あの時アカギと別れてから数日は、黒服の男に幾度かアカギの行方を尋ねられたことがあった。もちろん、何をされても口を割らなかった。と言うのも、幸か不幸か、舞美は彼について何も知らなかったからだった。
しかしそれももう何年か前の話。今はもうそんな心配はない。舞美は安心して帰路を辿った。もしかしたら少し寄り道したかもしれない。
そして、あろうことか、居酒屋から少し離れた暗闇で、舞美は自分の異変に気付く。
体の様子がおかしい。
急に酔いが回ってきたかのようだ。
(なんで……?)
まずい、と思いながらも急速な睡魔に襲われ、舞美は横道にどさりと座り込む。
そして彼女はそのまま眠ってしまった。
一方その頃、安岡たちも顔を曇らせていた。
「おい、嘘だろ。最後に舞美ちゃんが飲んでったの、ウォッカじゃねえか……」
「……今は、アカギの居場所は分からないってわけね」
安岡に尋ねても分からないアカギの行方。
舞美はため息をつく。そりゃそうだろうとは思ったけど。
しかし安岡は神妙な顔をしてこう言った。
「まだ、そうとは限らない」
「え?」
「今、ある組にコイツを絶賛売り出し中なんだが……そこの若頭がどうやら“ホンモノ”を嗅ぎまわっているようだ」
「それって……平山さんが偽者ってバレたってこと?」
「いや。今はまだ半信半疑みたいだ。しかし一度アカギを見たことあるのならば、中々難しいかもしれん」
「ちぇ、アカギってどんなヤツなんだよ」
平山が苦々しく言う。
「外見は似せたし、実際似てはいるんだろ? そんな分かるもんかなあ」
「ま……あいつはバケモンだからな」
「うん。アカギの真似できる人なんて、この世にいないんじゃないかって思う」
「そうなのか? でも話を聞く限り、麻雀が超人級に強いってのも怪しいもんだ。今はそんなに強くないかもしれないし」
「あーもう、全然分かってない! 」
「え、そんなに?」
「うん、そりゃ、平山さんも凄いけどさ……なんか、違うんだって。ね、安岡さん」
「……アカギの凄さは、アイツを見た者にしか分かんねぇよ」
「それは……そうかもしれない」
「どいつもこいつもアカギ信者かよ」
次々とアカギの話に花を咲かせる。酒が入っているのもあってか、話の盛り上がること盛り上がること。
舞美も最初こそ酒を呑みすぎないよう注意していたものの、ついつい呑みすぎてしまい。
そう言えばあの時も呑み過ぎるなと注意されたんだった——とそんなことを思い出している内に目はとろけ、あっという間に酔っ払いのできあがり。
唯一の救いは、舞美が身の危険を感じる前に、平山と安岡に別れを告げたことだ。
「本当に送っていかなくて良いのか?」
「うん、すぐそこだから大丈夫ー」
「分かった……もしアカギを見つけたら連絡するからな」
「ん。よろしく」
「おい、顔赤いけど大丈夫か? 水一杯飲んでいきな」
「ありがと」
そこにあったグラス一杯分の水を飲み干して、舞美は真っ赤な顔で店を出た。そして暗闇を見回す。
あの時アカギと別れてから数日は、黒服の男に幾度かアカギの行方を尋ねられたことがあった。もちろん、何をされても口を割らなかった。と言うのも、幸か不幸か、舞美は彼について何も知らなかったからだった。
しかしそれももう何年か前の話。今はもうそんな心配はない。舞美は安心して帰路を辿った。もしかしたら少し寄り道したかもしれない。
そして、あろうことか、居酒屋から少し離れた暗闇で、舞美は自分の異変に気付く。
体の様子がおかしい。
急に酔いが回ってきたかのようだ。
(なんで……?)
まずい、と思いながらも急速な睡魔に襲われ、舞美は横道にどさりと座り込む。
そして彼女はそのまま眠ってしまった。
一方その頃、安岡たちも顔を曇らせていた。
「おい、嘘だろ。最後に舞美ちゃんが飲んでったの、ウォッカじゃねえか……」