6.真と偽
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「あー……、えっと、この人は一体?」
アカギではない、白髪の青年が困惑したように舞美を指して言う。安岡は「ああ」と声を出してから、
「ここでする話じゃないな。……とりあえず呑みに行くか。どうせここじゃもう金は取れないしな。舞美ちゃんもあるだろ? 時間」
と舞美を誘った。
「うん、時間あるし、色々聞きたいから行く。けど、安岡さんに“舞美ちゃん”って呼ばれた覚えがあんまりない……気のせい?」
「あー。ま、あん時は舞美ちゃんも子供だったからな。今となっては、中々立派に成長して……」
冗談っぽく舞美の体をじろじろ見る安岡に、舞美は
「もう! 男ってばみんなそう!」
と、肩をすくめて、雀荘を出る。
と言っても、全然怒ってはいない。懐かしい人に会えたことで、やっぱりあの夜の出来事は現実のことだったんだと再認識できた。それに、アカギへの手がかりも欲しくてたまらない。
青年と安岡はそのまま舞美に続いて店を出た。
場所を変えて酒とつまみに囲まれながら、ようやく安岡は舞美のことを青年に説明した。
「ふーん……アカギのツレねぇ」
「ツレってほど連れてないけど。それより、わたしにも説明してよ。この人は誰?」
「オレは……平山幸雄だ。今は安岡さんと組んで麻雀打ってる」
「ああ。赤木しげるって名前でな。いいビジネスだろ」
舞美はそれを聞いて、図らずもむすっとしてしまう。アカギに会えると思って来たのにな。
「怒ってるのか? ハハ、悪かったよ」
「別に怒ってはないよ……。もちろん、平山さんが本物のアカギじゃないっていうことも他言しないし」
「お……それはありがたいな」
「それが心配でわたしを誘ったのもあるんでしょ。抜かりないんだから」
言うと、安岡は黙ってビールをちびりと呑んだ。図星だったのだとすぐ分かる。その様子を見て、舞美と平山は顔を見合わせて笑った。
「ところで、平山……さん? って、アカギの偽者なわけでしょ」
「まあ……そういうことになるな」
「思ったんだけど、かなり麻雀打てないと偽者にもなれないよね。麻雀、得意なの?」
舞美が首をかしげる。さっきの雀荘ではこの2人、勝っていたようだ。何かイカサマの技術でも持ってたりするのだろうか。
尋ねると、安岡は嬉しそうに平山の才能を話しだした。
それはアカギとはまた別の才能であったが、確かに人間離れしているもので、彼もまた一種の天才なのであった。
今までアカギのような人物には他に巡り会えなかったが、世の中にはこういう人もいる。また“夜”にハマってしまいそうな舞美は、根拠のない希望的観測を抱いていた。
(……もしかしたらわたし、アカギにも会えるのかも)
アカギではない、白髪の青年が困惑したように舞美を指して言う。安岡は「ああ」と声を出してから、
「ここでする話じゃないな。……とりあえず呑みに行くか。どうせここじゃもう金は取れないしな。舞美ちゃんもあるだろ? 時間」
と舞美を誘った。
「うん、時間あるし、色々聞きたいから行く。けど、安岡さんに“舞美ちゃん”って呼ばれた覚えがあんまりない……気のせい?」
「あー。ま、あん時は舞美ちゃんも子供だったからな。今となっては、中々立派に成長して……」
冗談っぽく舞美の体をじろじろ見る安岡に、舞美は
「もう! 男ってばみんなそう!」
と、肩をすくめて、雀荘を出る。
と言っても、全然怒ってはいない。懐かしい人に会えたことで、やっぱりあの夜の出来事は現実のことだったんだと再認識できた。それに、アカギへの手がかりも欲しくてたまらない。
青年と安岡はそのまま舞美に続いて店を出た。
場所を変えて酒とつまみに囲まれながら、ようやく安岡は舞美のことを青年に説明した。
「ふーん……アカギのツレねぇ」
「ツレってほど連れてないけど。それより、わたしにも説明してよ。この人は誰?」
「オレは……平山幸雄だ。今は安岡さんと組んで麻雀打ってる」
「ああ。赤木しげるって名前でな。いいビジネスだろ」
舞美はそれを聞いて、図らずもむすっとしてしまう。アカギに会えると思って来たのにな。
「怒ってるのか? ハハ、悪かったよ」
「別に怒ってはないよ……。もちろん、平山さんが本物のアカギじゃないっていうことも他言しないし」
「お……それはありがたいな」
「それが心配でわたしを誘ったのもあるんでしょ。抜かりないんだから」
言うと、安岡は黙ってビールをちびりと呑んだ。図星だったのだとすぐ分かる。その様子を見て、舞美と平山は顔を見合わせて笑った。
「ところで、平山……さん? って、アカギの偽者なわけでしょ」
「まあ……そういうことになるな」
「思ったんだけど、かなり麻雀打てないと偽者にもなれないよね。麻雀、得意なの?」
舞美が首をかしげる。さっきの雀荘ではこの2人、勝っていたようだ。何かイカサマの技術でも持ってたりするのだろうか。
尋ねると、安岡は嬉しそうに平山の才能を話しだした。
それはアカギとはまた別の才能であったが、確かに人間離れしているもので、彼もまた一種の天才なのであった。
今までアカギのような人物には他に巡り会えなかったが、世の中にはこういう人もいる。また“夜”にハマってしまいそうな舞美は、根拠のない希望的観測を抱いていた。
(……もしかしたらわたし、アカギにも会えるのかも)